メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ギュレン教団

米国に20年前イラクへ侵攻した当時の「力」は未だ残っているのか?

21年前、米国によるイラク侵攻が迫った2002年12月30日、トルコのラディカル紙に、ネシェ・ドゥゼル氏(女性)がトルコ海軍の退役中将アッティラ・クヤット氏にインタビューした記事が掲載されていた。 クヤット氏は、この戦争にトルコは米国と共に…

創価学会と統一教会

創価学会の池田大作氏が亡くなり、様々な論評が出ている。「民衆の信仰の場である創価学会に最盛期をもたらした」という肯定的な評価も多い。 私はその魅力が何処にあったのか良く解らないが、それは信仰を同じくする人でなければ共感できないものであるよう…

報道されないギュレン教団の実態

トルコでは、フェトフッラー・ギュレン師の教団が、2016年7月15日のクーデター事件を始めとする様々なテロを企図した「テロ組織」であると見做されている。 しかし、日本の全国紙にギュレン教団を「テロ組織」と見做すような記事が出ることはなかった…

トルコ共和国は地域の平和の要

上記の駄文でお伝えしたように、かつては反イスラム的と思われていた共産主義者のドウ・ペリンチェク氏も今はイスラムを否定していない。それと共に、オスマン帝国の歴史も肯定的に語るようになったのではないかと思う。 ペリンチェク氏に限らず、多くの左派…

統一教会の問題/ギュレン教団尊師の死亡説

安倍元首相の暗殺事件は「気が変になった男の犯行」という見方が有力で、今のところ「政治的なテロ」を疑わせる要素は見当たらないそうである。 気が変になった男の筋違いな逆恨みで暗殺されてしまった安倍氏は実に無念だっただろう。 しかし、犯人の逆恨み…

統一教会との奇縁?

1988年、ソウルの延世大学語学堂で韓国語を学んでいた頃、先生が教室に受講生名簿を置き忘れてしまったことがある。 私ら受講生がその名簿を開けてみると、数名の受講生の欄に赤い丸印が記されていた。 名簿を見ていた私たちの中に該当者はいなかったの…

中国のウイグル問題は、トルコのドウ・ペリンチェク氏が解決する?

1月29日、中国のウイグル問題について、トルコの祖国党(Vatan Partisi)党首ドウ・ペリンチェク氏が発言している。 祖国党は国会に議席を持たない弱小政党ではあるけれど、軍部に影響力があるとされ、現在、トルコ政界におけるドウ・ペリンチェク氏の発…

米国が介入した不可解な選挙?

米国の大統領選挙に大規模な不正があったという「陰謀説」も下火になったようだけれど、米国が他国の選挙に介入したり、政府の転覆を図ったりした「陰謀」は、イラン・コントラ事件のように後から露見してしまった例も見られる。 トルコでは、2016年の「…

「デトックス(解毒)と大手術」

《2016年2月2日付け記事の再録》 ウィキペディアの記述によれば、人間の“便”の大部分を構成しているのは、「水分(60%)」と「腸壁細胞の死骸(15%~20%)」「細菌類の死骸(10%~15%)」などで、食べ物の残滓は5%程度に過ぎないらしい。体内に蓄積…

トルコは制御不能か?

米国の中東専門家で元CIA局員だったグラハム・フラー氏が自身のサイトに掲載した「トルコは制御不能か?」という論説が、トルコでは話題になっている。 表題はトルコに対して否定的な印象を与えるものの、内容は決して否定的なものではない。トルコをイス…

中国の少数民族問題

中国政府のウイグル人やチベット人に対する弾圧は、かなり前から取り沙汰されている。最近、その「弾圧」は激しさを増しているらしい。 しかし、中国を訪れたこともない私に、実状がどうなっているのか判断するのは難しい。 トルコの「クルド問題」等々への…

米国大統領選挙:マイケル・フリン氏はどうしたのだろう?

米国の大統領選挙は、ようやくバイデン氏の勝利が確定したと報じられている。 最後に勝敗を分けたのがペンシルベニア州だったため、トルコでは、当地を根城にしている「ギュレン教団」が、どのくらいバイデン氏の勝利に「貢献」したのか、などという話も取り…

アメリカの大統領は誰になるのか?

米国の大統領選挙、未だに結果も明らかにならないまま混乱が続いているようだ。いったいどうなってしまったのだろう? トルコの識者たちも、「我々の民主主義にケチをつけて説教していた国がなんという有様だ」といったように呆れ返りながら論評している。 …

7月15日クーデター事件から1年/プーチン大統領の語ったクーデター事件

《2017年7月15日付け記事の再録》 2016年7月15日の夜、悪夢のようなクーデター事件が勃発した。しかし、イスタンブールの外れのイエニドアンの街に住んでいた私は、あの日、11時半頃に就寝したまま、事件には全く気が付かず、朝まで眠りこけ…

小池都知事の学歴詐称疑惑~ギュレン教団との関係は?

小池都知事の学歴詐称疑惑が話題になっている。 もちろん、私は小池知事についてテレビの画面を通して得た印象しか持ち合わせていない。それも、長い間日本を離れていたので、30年以上前のテレビキャスター時代の印象が強く残っている。 その印象は、まず…

米国の庇護下におかれているギュレン師

フェトフッラー・ギュレン師の教団は、1970年代の中頃にイズミルで形作られ、90年代以降、急成長を遂げた。その活動には、当初より欧米西側諸国からの支援があったのではないかと言われているけれど、冷戦の時代は、ギュレン師の教団に限らず、そうい…

トルコの10年前と現在

この10年のトルコの変化を振り返って見ると、与党AKPと野党CHPの立ち位置が逆転してしまったかのようである。10年前、CHPは野党ではあるものの、アタテュルクの政党として共和国体制の守護者をもって任じており、EU加盟を目標に掲げながらク…

歴史に「たら・れば」は無いが・・・

歴史に「たら・れば」は無いと言うけれど、もしも、2004年のキプロス国民投票で南側も統合を承認していたら、どうなっていただろう? 現在、シリアからリビアに至る東地中海の問題の中で、キャスティングボートを握っているのではないかとも言われ、ある…

イスラムの社会性?/ギュレン教団の宣教活動

2017年の2月頃だったと思う。トルコの時事討論番組でイスラム神学者と思われる出演者が、「ISやギュレン教団が、何故、あれほど歪な信仰に囚われているのか? それは彼らに“祖国”という概念がないからだ」と語っていた。 左派らしい出演者は、呆れか…

米国の「大中東プロジェクト」は破綻した?

この2002年12月30日付けのインタビュー記事で、退役海軍中将のアッティラ・クヤット氏は、米国によるイラク戦争へトルコも参戦しなければならないと論じていた。 クヤット氏の主張は、既に決定づけられている参戦へ人々の理解を求めるような調子であ…

トルコでいったい何が起こっていたのだろう?

旧ホームページに書いた数年前の駄文をこのブログで再掲載する作業を進めながら、トルコ関連の記事を読み返してみると、書いた当時は気づかなかったことに「おや?」と思ったり、「そういえばあれはどうなってしまったんだろう?」と考えさせられたりする。 …

トルコとアメリカの深層国家/トルコ軍による「平和の泉作戦」

深層国家(deep state)という表現は、米国でも使われているそうだけれど、これはトルコ語の「derin devlet(深層国家)」に由来しているらしい。 この「derin devlet(深層国家)」が、トルコでいつ頃から使われるようになったのか良く解らないが、2000…

2016年7月15日のクーデター事件

以前、ホームページの「トルコ便り」に掲載した駄文の数々をこのブログに再掲載する作業を進めているけれど、ようやく2016年7月の分まで終えることができた。この先は、多少ましな駄文だけにして、あとは切り捨てて行くつもりである。 2016年7月1…

トルコの最も愛国的な組織

死を覚悟して戦地へ赴く軍人の心理がいったいどういうものであるのか私には想像もつかないが、やはり合理的には考えられない激しい熱情に駆られているのではないだろうか? そして、その熱情を宗教的な信心であるとか、民族主義的なイデオロギーが支えている…

どちらが裏切ったのか?

トルコでは、アブドゥルラー・ギュル前大統領やアリ・ババジャン元副首相といったAKPの重鎮らによる新党結成がいよいよ実現するらしい。 エルドアン大統領は、これを裏切り行為であると詰りつけているけれど、どうなんだろう? AKPは、当初、「軍の影…

「ワインを飲むイスラム」と「イスラムのモディ首相」?

配送センターで働くムスリム・インド人就学生のサイードさんが、トルコ企業の社員となっている弟さんに電話して、イスタンブールの市長選挙などについて訊いたそうだ。 ギュレン教団系の学校でトルコ語を学んだという弟さんは、兄と同じく信仰に篤いムスリム…

オジャラン氏のメッセージ・・・

最近の週末は、部屋に籠ったままネットでトルコの新聞記事を拾い読みして、ここに駄文を書いたりするだけで終わってしまう。何だか何処で暮らしているのか解らなくなる。しかし、やはりトルコのニュースは気になって仕方がない。 先週は、イムラル島の特別な…

私の話し相手になってくれる就学生の友人たち

先々月以来、インターネットの無料電話を使ってトルコの友人たちと何度か通話した。その度に『下手なトルコ語がますます下手になっているなあ・・・』と思いながら、それでも一応会話が成り立っていたことに喜んでいる。というのも、この1年ぐらいの間、日…

ギュレン教団の怪

現在、英国でアクン・イペッキというトルコ人実業家が拘束されており、トルコ政府はこの人物のトルコへの送還を要求している。アクン・イペッキはギュレン教団のスポンサーであり、教団の活動に関わってきたからであるという。当初、イペッキは英国において…

クーデター事件から2年が過ぎた・・・

2017年7月15日(土) クーデター事件から既に2年が過ぎた。しかし、事件を企てたギュレン教団の摘発は、まだ半ばの段階であるという。軍部や司法、警察機構ではかなり進んでいるものの、教団の関係者と目される政治家の追及などは余り捗っていないらしい…