メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2020-01-01から1年間の記事一覧

83歳のマエストロは青春の真っ只中!

今年はベートーヴェンの生誕250周年であるそうだ。そのため、大晦日の恒例になっている「第9」の演奏会が各地でひときわ盛大に催されるはずだったが、これもコロナ騒ぎの影響を受けているかもしれない。 私にとってもベートーヴェンは、今まで最も良く聴…

宗教に対する偏見/イスラムへの誤解

2014年の8月、イスタンブールで在留日本人の方に「クリミア・メモリアル教会」を案内していただいた。 この方は業務でトルコに出向中のエンジニアで、熱心なプロテスタントのクリスチャンだったが、「トルコにいると、クリスチャンに対する偏見が感じら…

アルプス交響曲/侘しい年の瀬

《2008年12月29日付け記事を修正して再録》 リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲の冒頭、あの夜明けの場面を聴くと、何だか雄大な山の景色が迫ってくるように感じられる。 しかし、あれは本当に曲を聴いて山の景色が連想されたのか、それとも…

「イスラムの土葬」

《2017年6月22日付け記事の再録》 2016年の10月だったか、「韓国で、火葬の割合が80%に達した」というニュースを読んだ。1988年、私が韓国に滞在していた頃は、土葬が殆どであり、火葬には強い抵抗を示す人たちが多かったので、何とも言…

アラビア語の賛美歌/イスラムの聖歌

Mersin Rum Ortodoks Kilisesi Korosu - İfrahi Ya Bayta Aniya (Sevin Ey Beytanya) メルシン(トルコの地中海沿岸)の東方正教会の教会で、聖歌隊が歌う賛美歌。ギリシャ語ではなく、アラビア語で歌われている。 2010年の3月、メルシンを訪れた際、こ…

「ムルレア・ムルレア(糸車よ、糸車よ)」

《2017年2月19日付け記事の再録》 韓国への語学留学を準備していた86年頃だったと思う。東京の池袋で、韓国映画の会が催され、産経新聞の黒田論説委員の講演と共に、「ムルレア・ムルレア(糸車よ、糸車よ)」という作品が上映された。早めに出かけ…

幸せなクリスマス?

今朝、夜勤から帰って朝食を取り、1時間半ほど横になったら幸せな夢を見た。 私は暗い夜道で自転車を走らせている。ライトが故障して前が良く見えずに困っていると、後ろから自転車に乗った女性が近寄ってきて前を照らしてくれた。 夢の中の私は、その女性…

日本の嫌韓・韓国の反日

最近、韓国や中国を嫌う人たちと話して気がついたけれど、彼らは実際に韓国人や中国人と交流して反感を持つようになったわけじゃない。 「日韓の歴史の話とかごちゃごちゃうるさいんだよ」と言っても、それを直接韓国の人から聞いたこともないだろう。おそら…

神隠し?

《2007年4月15日付けの記事を修正して再録》 上記の駄文に、高校時代の思い出を一つ書いたけれど、果たして自分はあの三年間でいったい何を学ぼうとしていたのか、とんと思い出すことができない。 まずどんな本を読んでいたのかさっぱり思い出せない…

ヴィルヘルム・バックハウス最後の演奏?

《2007年4月12日付けの記事を修正して再録》 クラシック音楽で、「どの曲には誰の指揮が良い」なんていう付け焼刃の知識は、殆どが高校時代に同級生の友人から得たものである。 友人は御両親が音楽の先生であり、子供の頃からクラシック音楽に慣れ親…

「ベートーヴェンのロマンス」

《2014年12月10日付け記事の再録》 2014年の9月頃じゃないかと思うが、ネットに「ベートーヴェンは、なかなか艶福家だった」などという記事が出ていた。ベートーヴェンは、独身のまま一生を終えたので、あまり女性にはモテなかったのではないか…

エルドアン大統領に対する評価

トルコの報道によれば、ロシアのプーチン大統領は、17日、恒例の年末記者会見で、「エルドアン大統領とは意見の対立もあるが、彼は言を守る男だ。トルコの国益に適うと思ったことは最後までやり通す」と語ったそうである。 私はこれを読んで論語に出て来る…

科学的な信仰?

「幸福の科学」が如何なる教義を説いているのか知らないけれど、まずは信仰に「科学」という言葉を用いているところが奇妙に感じられてしまう。 トルコのアドゥナン・オクタル師もイスラム教を科学的に説明しようとしていた。それが何とも胡散臭かったのであ…

「幸福の科学」

《2012年11月27日付け記事の再録》 イスタンブールの“ブック・フェア”。今年(2012年)は、最終日の25日に出かけたところ、多くの来場者で立錐の余地もないような大盛況だった。人ごみの中を歩いていると、東洋人が二人、パンフレットを掲げて…

エルドアン大統領の謎

エルドアン大統領は、欧米が喧伝しているような「独裁者」では、もちろんないけれど、支持者らが主張するような「英雄」でもないと思う。 必ず矢面に立ち、リスクを避けたりはしないが、決して冒険を試みることはなく、バランスを保ちながら何事も慎重に時間…

「大中東プロジェクト」は破綻した?

《2019年11月7日付け記事の再録》 以下の2002年12月30日付けのインタビュー記事で、退役海軍中将のアッティラ・クヤット氏は、米国によるイラク戦争へトルコも参戦しなければならないと論じていた。 クヤット氏の主張は、既に決定づけられて…

トルコは民主主義の国なのか?

この「トルコは制御不能か?」という論説の中で、グラハム・フラー氏は「エルドアンが野党への圧力を強めているとはいえ、トルコは未だ民主主義の国である」と述べ、その例として、昨年の地方選挙における与党AKPの敗北を上げている。 あの敗北では、AK…

米国選挙の不正/CIAの謀略

米国ではトランプ大統領の支持者らが選挙の結果を不服として集会を開いているらしい。いったいどうなってしまったのだろう? トルコでも、エルドアン政権寄りでトランプ大統領にも好意的だったサバー紙のようなメディアで、例えば、サバー紙主筆のメフメット…

「王子と乞食」

《2014年3月10日付け記事の再録》 小学生の頃、区の図書館から本を借りて来て良く読んだ。その多くは、“少年少女文学全集”といった類の本で、海外の文学が子供向きに平易に訳されていた。ジュール・ベルヌの作品であるとか、ルパンやホームズが活躍す…

小津安二郎の生誕と命日

「12月」は、その作品を親しんで来た人たちの命日が多い月なのかもしれない。5日はモーツァルト、8日がジョン・レノンで9日は夏目漱石、そして今日、12月12日には小津安二郎が亡くなっている。 ジョン・レノンは訃報をリアルタイムで聞いて、かなり…

ポール・マッカートニー/ビートルズ

《2013年11月28日付け記事の再録》 ポール・マッカートニーの日本ツアー(2013年11月)、YouTubeで少し観たけれど、その若さにびっくりした。とても71歳には見えない、声もそれほど衰えていなかったそうだ。そのエネルギーは何処から湧いて…

トルコは制御不能か?

米国の中東専門家で元CIA局員だったグラハム・フラー氏が自身のサイトに掲載した「トルコは制御不能か?」という論説が、トルコでは話題になっている。 表題はトルコに対して否定的な印象を与えるものの、内容は決して否定的なものではない。トルコをイス…

「漱石の罠」

《2014年1月27日付け記事の再録》 夏目漱石の「三四郎」。物語が始まって間もなく、三四郎は美禰子と出会い、これがそのうち大恋愛に発展するのかと思って読んで行くと、物語の終わり近くになって、突然、美禰子の婚約者が現れ、三四郎は衝撃を受けて…

目指せピンコロ!/目指せダイバーシティ!

「ピンコロ」という言葉、最初は何のことやら解らなかったが、要するに「ピンピンに生きてコロリと逝ってしまう」という意味らしい。 私もこれを目指して、いつまでも元気でいられるよう「健康管理」だけはかなり気をつけている。もっとも私の場合、僅かな治…

「身捨つるほどの祖国はありや」

《2018年12月17日付け記事の再録》 「マッチ擦るつかの間の海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや」という寺山修司の短歌、私でも知っているくらいだから、広く人口に膾炙している詩なのだろう。音の響きも素晴らしいし、なんとなく情景が目に浮…

文化人の無理解とクルクルパーの運転手

冬になり、コロナの陽性者がまた増加しているため、「自粛」や「三密回避」が叫ばれている。飲食店などは堪ったものじゃないと思う。特に低料金の店が大変らしい。席を詰めてたくさんのお客さんに入ってもらわないと利益が上がらない店もあるだろう。 ところ…

モーツァルトの死とレクイエム

《2014年2月16日付け記事を省略して再録》 今日「12月5日」はモーツァルトの命日だそうである。モーツァルトの死に関しては、あの「レクイエム」に纏わる伝説が知られている。 モーツァルトは、作曲に取り掛かっていたレクイエムを完成させること…

インフルエンザの予防接種を受ける

今日、生まれて初めてインフルエンザの予防接種を受けて来た。勤務先で義務付けられているからしょうがない。 トルコでは薬局などで簡単に受けられるうえ、料金も安かったが、今日はクリニックへ行かされ、保険対象外で結構な金額を取られて驚いた。まあ、勤…

儒教文明の社会?/「正直者の直躬」

大坂にいた1997年頃、島之内の韓国街にあるビデオ屋さんで借りて来て観た韓国の連続ドラマだったと思う。 金持ちの家で住み込みの運転手として働く男の娘が、その美貌と才能で立身を遂げて行くというストーリーではなかったかと記憶している。 初回の場…

やっぱり「ふれあい:接触」は高くつく?

職場の近くに「神戸どうぶつ王国」という動物園がある。いつか夜勤明けに行って見ようかと思っていたが、先日、ネットで広報を見て驚いた。入園料が1800円もするのである。 どうやら、「ふれあい共生」をキャッチフレーズにしている同園では、動物との「…