今年はベートーヴェンの生誕250周年であるそうだ。そのため、大晦日の恒例になっている「第9」の演奏会が各地でひときわ盛大に催されるはずだったが、これもコロナ騒ぎの影響を受けているかもしれない。
私にとってもベートーヴェンは、今まで最も良く聴いた作曲家じゃないかと思う。「ピアノ協奏曲4番」であるとか「バイオリン協奏曲」「ロマンス1~2番」など、いったい何回聴いたのか見当もつかない。ほぼ毎日のように聴いていたこともある。
しかし、「第9」は余りにも長大である所為か、全曲通して聴くことは滅多にない。大概の場合、合唱付きの第4楽章だけ聴いたりしている。
「第9」に限らず、交響曲などを全曲最後まで聴き通すと結構疲れる。それで、その時の気分に合った楽章だけ聴いて終わりにすることが多い。
「田園」の第2楽章は、小学生の頃、図書館の閉館のBGMに使われていたのを聴いて好きになって以来、半世紀に亘って聴き続けてきたけれど、これも殆ど第2楽章だけで他の楽章まで聴くことはなかった。
ベートーヴェンの交響曲であれば、全曲通して聴くのは「第7」が最も多いと思う。何故なのか解らない。メリハリが利いていて聴きやすいためかもしれない。
以下のYouTubeの動画は、その「第7」を81歳のカール・ベームが日本公演で指揮した演奏である。
演奏が終わると、着物姿の女性が舞台に現れ、ベームに花束を贈呈する。ベームは軽く握手して、その花束を受け取っている。
ところがである。2年後の日本公演で「第5」を指揮した時の模様もYouTubeで観ることが出来るけれど、演奏が終わって舞台に現れた着物姿の女性は、前回より遥かに若くて可愛らしい感じがする。
そしたら、ベームは握手だけで済まさず、彼女をぐっと引き寄せて頬を撫で、ブチュっと熱烈にキスしてから花束を受け取り、喜色満面の笑みを浮かべたのだ。
当時、ベームは83歳! 『なんていうエロ爺さんなのか!』と驚いたが、マエストロは青春の真っ只中にいたのかもしれない。そのぐらいじゃないと、とても音楽なんてやっていられないのだろう。還暦の鼻たれ小僧はまだまだ頑張らなければと思った。
それでは、皆さま良いお年を!
貝姆指揮貝多芬第七交嚮曲 (東京) Beethoven Symphony No.7, Karl Böhm
Beethoven Symphony 5 VPO Karl Böhm 1977