メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

俺の墓に唾を吐け

前回、お伝えした趙甲済氏の「내 무덤에 침을 뱉어라(俺の墓に唾を吐け)」。大阪にいた97年~98年にかけて、私は「朝鮮日報」の連載から、この作品を第3巻まで読んでいた。私たち日本人にとって、最も興味深いのは、その 3巻の部分じゃないかと思う…

東洋の日本・中国・韓国

一昨日(25日)、全豪オープン女子テニスで、中国の李娜選手が栄冠を手にした。2011年、李娜選手が全仏で優勝して、テニス四大大会の一つを初めて東洋人が制した“快挙”には、テニスのルールさえ良く解っていない私も、大いに感動した。李娜選手が如何…

活躍する“悪魔”のようなイスラムの女性たち

イスラムでは、4人の妻を娶ることが許されていて、女性蔑視が甚だしいと言われているけれど、論語に出て来る“匹夫匹婦”が賤しい庶民の意になるのは、貴族であれば一夫多妻が当然だったかららしい。 日本の歴史を振り返ってみれば、40年ぐらい前でさえ、有…

女性は悪魔か偽善者か?

“漱石の罠”なんてつまらない話を書いて、漱石が主張した“無意識の偽善”を批判したけれど、あれが“則天去私”を求め、この世の平和を願った夏目漱石の思想なのかもしれない。 例えば、“アッサラーム”と唱え、やはりこの世の平和を願ってイスラム教を起こしたム…

漱石の罠

夏目漱石の「三四郎」。物語が始まって間もなく、三四郎は美禰子と出会い、これがそのうち大恋愛に発展するのかと思って読んで行くと、物語の終わり近くになって、突然、美禰子の婚約者が現れ、三四郎は衝撃を受けてよろめき、読んでいる我々も大いに驚いて…

最大の敵:国民国家!

トルコでは、4~5年前でも、「“クルド語による教育”は“分離独立”をもたらす」であるとか、「このまま多様性を認めて行ったら国家は分裂してしまう」といった議論が激しく闘わされていた。イスラム化の問題と同様、こういった多様化の問題でも、私は、その…

韓国におけるモハメド・アリ

98年だったか、ソウルを訪れ、日本人の知り合いとタクシーでカンナム方面に向かっていたところ、イーテウォンにある大きなモスクが見えたので、指差しながら知人に説明していると、日本語で何を話しているのか気がついた運転手さんは、「お客さん知ってま…

神は信じる者の心の中にいる

「給与は、アッラー(神)から得られる」と即答したメフメットさんに、「アッラー(神)は何処にいるのか?」と訊いてみたことがある。この時も、彼の返答は早かった。「アッラー(神)は、信じる者の心の中にいる」これは凄い話だと思った。「信じない者の…

お客さまは神さまです

いつだったか、イスタンブール市内のそれほど広くないカフェの中ほどに座って、軽く腹ごしらえしていたところ、未だ高校生ぐらいに見える店員が、目の前で掃除を始めた。昼過ぎの中途半端な時間帯で、客は私一人しかいないようだった。「埃が立つから、掃除…

オスマン帝国の近代化・西欧化

ビージーズのプロデューサーだったアリフ・マーディン氏は、預言者ムハンマドの後裔であるかもしれないという、このムラット・バルダクチュ氏の記事を読んで驚いたけれど、オスマン帝国末期の上流層は、一部のイスラム学者等も含めて、非常にモダンな人たち…

トルコの名家

一昨日、“YouTube”の「おすすめの動画」欄に、“The Atlantic Records Story”というのが出ていたので、少し観ていた。英語が解るわけじゃないし、ジャズにも特に興味はないので、2分ぐらい観てから、途中を飛ばして、最後の方の所をちょっと観た。場面は、ア…

西欧化の終わり

91年、イズミルで知り合ったトルコ人の学生、今から思えば、彼などは“白いトルコ人”の権化のような存在だったかもしれない。普通の中流家庭に育った普通の大学生で、特に優秀というわけでもなかったと思うけれど、初期の共和国の方針に忠実な“西欧志向”が…

白い東洋人?

“白いトルコ人”という言い方がいつ頃から使われているのか良く解らない。一説によると、アメリカの“wasp”から連想された造語らしい。西欧型のライフスタイルを身につけたハイソサエティなトルコ人という意味で使われていて、もちろん色の白さとは何の関係も…

トルコのイスラム(政教分離とイスラム)

AKP政権とフェトフッラー・ギュレン教団の争いを“イスラム主義者同士の内輪もめ”みたいに見る向きもあるけれど、今日(11日)のラディカル紙のコラムでオラル・チャルシュラル氏は、左派やリベラル派もこの争いによって二分されたと指摘している。敵の…

オザル大統領の夢

ソウルに滞在していた頃、88年の末だったと思う。韓国で長い間事業に携わっていた日本人の方にお話を伺ったところ、その方は「全斗煥氏には夢があった」としきりに懐かしんでいた。現職の盧泰愚大統領には、その夢が感じられないと言うのである。当時は、…

トルコのエスタブリッシュメント

インターネットから視聴できる24TVという政権寄りメディアの番組で、トルコにおける有数の国際派知識人であるジャン・パケル氏が、今回の“疑獄事件”について語っていた。まず、司会者から、「この事件について、“白いトルコ人”の考えを聞きたい」と切り…

民主主義の中のイスラム

1月5日付けのサバー紙で、“イスラムと民主主義”と題された、シュクル・ハニオウル氏のコラムを読んだ。ちょっと難しくて、何処まで理解出来ているか心許ないが、最後の部分だけを、以下のように拙訳してみた。 ********* ・・・ホセ・カサノヴァ…

AKP対教団?

トルコ民族主義には、二通りあると言われ、ひとつはかなりイスラム色の濃い民族主義。これを主張する人たちは“栄光のオスマン帝国”への郷愁を強く懐いていて、MHP(民族主義行動党)の支持者が多いものの、当初よりAKPを支持して来た人も少なくない。 …

トルコの権力闘争

エルドアン首相を始めとする政府要人らが日本を訪れている。これで他に大きなニュースがなかったら、日本がもっと話題に上るところだが、昨年の12月17日に始まった“疑獄事件”騒動は未だ治まる様子もなく、ニュースの主役に居座り続けている。まったく残念で…

韓半島の統一

先ほど、インターネットから韓国のKBSニュースを観ていたところ、就任一周年の記者会見で朴大統領が、「統一は“テバク(大舶)”だ」と語っていた。“テバク(大舶)”の意味が良く解らなかったけれど、どうやら統一への固い意志を強調した言葉であるらしい…

四海の内は皆兄弟

経済と気持ちの面で余裕のない生活を続けてきた所為か、正月に年賀状を出すのは、もう随分前に止めてしまった。それでも、一昨年ぐらいまでは、メールで新年の挨拶などを少し送ったりしていたが、それも殆ど書かなくなった。だから、私のところへも正月にメ…

アタテュルク主義者によるアタテュルク批判?

AKP政権を忌み嫌う人たちは、「AKPがアタテュルクを消そうとしている!」と反発している。アタテュルクは、今でも国父として敬愛の対象であり、消されそうになっているとも思えないが、以前と比べて、確かに扱いは小さくなった。でも、国父への崇拝が…

トルコの新年

大晦日の夜は、新年のカウントダウンなどがあったりして、ニシャンタシュやタクシム広場の辺りは、例年のように盛り上がったそうだ。他のイスラム諸国で、こういった新年行事は行なわれているのだろうか? おそらく多くの国が、公式にはグレゴリオ暦さえ採用…

2014年のトルコ

謹賀新年。明けましておめでとうございます。 2014年は、トルコにとって、どんな1年になるだろうか? 昨年は、“クルド和平のプロセス”がいよいよ現実味を帯びて来る中で、希望に溢れる1年の幕が開いたけれど、6月の“ゲズィ公園騒動”を境に影が差し始…