メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2018-01-01から1年間の記事一覧

寂しい年の瀬

今年も余すところ一日となりました。なんとなく慌ただしく働いていただけで、何もしないうちに一年が過ぎてしまったという感じです。そして、トルコへ復帰の目途も立たない中で、また新しい年を迎えることになります。来年はどういう一年になるでしょう? ト…

民主主義に第四の波は来るだろうか?

12月18日付けカラル紙のコラムで、イブラヒム・キラス氏は、サミュエル・ハンチントン氏の「第三の波」という著作を紹介しながら、「民主主義に第四の波が来るかもしれない・・・」と民主主義への希望を明らかにしていた。トルコで“イスラム的な知識人”と見…

身捨つるほどの祖国はありや

「マッチ擦るつかの間の海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや」という寺山修司の短歌、私でも知っているくらいだから、広く人口に膾炙している詩なのだろう。音の響きも素晴らしいし、なんとなく情景が目に浮かぶようで、やはり相当な傑作に違いない。と…

「風と共に去りぬ」は何故美しい?

池田信夫氏のブログに、人間の本質には利他的な傾向もあるといった説が紹介されていた。集団として行動する場合、個々が利己的な集団は、利他的な個々が団結した集団との戦いに敗れてしまうため、進化の過程で利他的な性格を発展させてきたそうである。しか…

風と共に去りぬ

半年ほど前、映画「風と共に去りぬ」を“YouTube”で購入して観た。全編通して観たのは、多分、三度目ぐらいだったのではないかと思うけれど、観るたびに感動を新たにしている。この映画には、南部の奴隷制度を肯定的に描いているといった批判もあるようだが、…

就学生制度の高いハードル

昨日は“勤労感謝の日”だった。日本の勤労の精神も大分廃れて来たと言われているけれど、ネパールやパキスタンの就学生らによれば、今でも日本人の多くは呆れるくらい良く働いているそうだ。逆に、良く働く日本の人たちが見たら、一部の就学生らの働きぶりは…

就学生は出稼ぎか?

「就学生の多くは出稼ぎの目的で日本に来ている」といった報道もあり、就学生らのビザ更新は少し難しくなったらしい。実際、就学生の中には、いくつものアルバイトを掛け持ちしながら、定められた週28時間という労働時間を大幅に超えて働く者も少なくない…

コンビニで働く就学生

最近、コンビニのレジで外国人アルバイトの日本語が拙いとして、「日本人はいないのか?」などと文句を言う客がネットでも話題になっていた。しかし、こういった“客”はどのくらいの割合で出現するのだろうか?私が送迎している配送センター等で働く就学生の…

AKPとMHPの関係に亀裂?

トルコでは、“地方選挙”が来年の3月に実施されることになったけれど、今年6月の“大統領・国政選挙”でAKPと連合を組んだMHPは、この地方選挙でAKPと連合しないそうである。 エルドアン大統領もMHPのバフチェリ党首も、連合の解消は地方選挙に限…

イスラム・スンニー派の盟主?

2015年の5月に放送された“Genc Ilahiyat”という番組で、当時の宗務庁長官メフメット・ギョルメズ氏は、母校であるアンカラ大学神学部を訪れて講演し、学生の質問に答えて次のように語っていた。「・・・しかし今日の生活に関わる問いの答えを求めて、常…

これから何が起こるのだろう?

私の話し相手になってくれる就学生の面々、最も年長であるインド人のサイードさんでも29歳であり、私とは大分歳が離れているけれど、私もまだ若いつもりでいるから、歳の差など関係なく和気藹々とやっている。しかし、時々、歳の差からくる認識の違いに愕…

私の話し相手になってくれる就学生の友人たち

先々月以来、インターネットの無料電話を使ってトルコの友人たちと何度か通話した。その度に『下手なトルコ語がますます下手になっているなあ・・・』と思いながら、それでも一応会話が成り立っていたことに喜んでいる。というのも、この1年ぐらいの間、日…

ギュレン教団の怪

現在、英国でアクン・イペッキというトルコ人実業家が拘束されており、トルコ政府はこの人物のトルコへの送還を要求している。アクン・イペッキはギュレン教団のスポンサーであり、教団の活動に関わってきたからであるという。当初、イペッキは英国において…

大坂なおみ選手の活躍

大坂選手の全米オープン優勝を私はミーハー的に喜んでいたけれど、その後の論争を眺めながら、14年前にトルコのエムレ・アキョズ氏が書いたコラム記事を思い出した。 その記事の中で、アキョズ氏は、トルコ国籍を取得してトルコ代表となったエチオピア人陸上…

もう9月になってしまった

世の中、悪いことの後には必ず良いことがあると思っているけれど、実際はそんなに巧い巡り合わせばかりじゃない。トルコからも「リラ下落」の後、なかなか良いニュースが伝わって来ない。 しかし、最近、インターネットで通話したトルコの友人ふたりの話を聞…

福岡暮らしも早や1年

福岡に来てから1年が過ぎた。日本に帰国してからは1年と3カ月になる。 しかし、時間的にも経済的にもあまり余裕がなく、例えば、日本国内の様々な情報なども、ネットのニュース等にざっと目を通すだけなので、得られる量はイスタンブールにいた時と殆ど変…

「ジャパニーズ・ドリーム」

2年前の7月16日、トルコで軍事クーデターが市民らの抵抗によって阻止された事件を欧米各国や日本の報道は、まるでクーデターの成功を望んでいたかの如く冷ややかに伝えていたようである。ところが、あの日、韓国のKBSニュースは、軍事クーデターの失…

トルコとアメリカの文民統制

7月17日付けサバー紙のコラムでマフムート・オヴュル氏が明らかにしたところによると、大統領令により参謀本部は国防省に従属することになった。これまでは、1960年の軍事クーデター以来、58年に亘って、参謀本部は大統領府に直属していたそうであ…

クーデター事件から2年が過ぎた・・・

2017年7月15日(土) クーデター事件から既に2年が過ぎた。しかし、事件を企てたギュレン教団の摘発は、まだ半ばの段階であるという。軍部や司法、警察機構ではかなり進んでいるものの、教団の関係者と目される政治家の追及などは余り捗っていないらしい…

「いじめゼロプロジェクト」

福岡市は、「いじめゼロプロジェクト」とやらに取り組んでいるらしい。市内の方々の小学校などに、「いじめゼロ」を謳ったスローガンが掲げられている。日本の社会で、“いじめ”をなくすことが可能であるとは、とても考えられないが、配送センターで働くネパ…

死刑の是非

昨日、オウム真理教の麻原彰晃が処刑されたというニュースが伝えられた。トルコで、やはりカルト教団を率いて国家の転覆をはかり、多くの方が亡くなったクーデター事件を主謀したフェトフッラー・ギュレン師も、日本の法律で裁かれれば、間違いなく死刑の判…

死刑復活?

トルコでは、MHPのバフチェリ党首が死刑復活をあらためて主張して、死刑の是非をめぐる議論が再燃しているらしい。これまで何度も盛り上がっては立ち消えになってきたけれど、今回はかなり現実味があるような気もする。 2週間後には、2016年7月15…

議席数で過半数に達しなかったAKP

トルコでは、産業化にともなって農村から都市へ移り住んだ保守的な人々が、次第に経済力をつけて新興中流層となり、この人たちがAKP政権を支えていると論じられてきた。保守的な彼らは、伝統的なイスラムの信仰も都市部へ持ち込んだため、スカーフを被っ…

富国強兵のトルコ

エルドアン氏が再選されたトルコの大統領選挙は、ほぼ政権側のメディアが予測した通りの結果になった。政権側メディアは、「エルドアン大統領の勝利は確実と思われるが、これまでの選挙と同じく拮抗した戦いになるだろう」として、支持者へ必ず投票するよう…

親米左派?

トルコ軍による北イラクへの越境作戦は、日本でも報じられている。これはPKKの基地を攻撃する作戦であり、PKKのシリアにおける組織と言われるPYD~YPGをあからさまに支援している米国の反応も注目されているようだ。PKKはもともと左派革命の…

福岡マスジド・アンヌールイスラム文化センター

昨日は、スイミングを休んで、箱崎駅の近くにあるモスクを訪れてみた。まだラマダンのイードの期間中だったので、トルコの人に出会う機会があるかもしれないと思ったからだ。しかし、礼拝の時間ではなかったため、モスクは閑散としていて、インドネシアの留…

ネパール料理“ナングロ・ガル”

昨日は、市民体育館プールで泳いだ帰りに、吉塚駅近くの「ナングロ・ガル」というネパール料理屋で夕飯を食べた。ネパール人就学生らに訊くと、この店の評判が非常に良い。それで、機会があれば寄ってみようと思っていた。店に入って、案内された席について…

ゴールデンウイークも博多どんたくも・・・

配送センターは正月も休むことなく稼働していた。そのため、正月に私が屋久島へ帰省している間は、他の社員の方が送迎の仕事を代わってくれていたのである。日曜日の昼から月曜日の夕方にかけての“休暇”も同様で、私の代わりに必ず誰かが送迎を行っている。…

大陸と島国の違い?

昨年の11月、送迎の運転手を始めるまで、私はネパールについて何も知らなかったに等しい。『インドの一部のようなもので、やはりインド・アーリア系の人たちが暮らしている』ぐらいに思っていた。そのため、まずはその風貌の多様さに驚かされた。もちろん…

帰国から一年

昨年の4月、イスタンブールから慌ただしく帰国して以来、ちょうど1年が過ぎた。 1年前の“トルコ便り”を振り返って見ると、「憲法改正の国民投票」について雑文を書いたりしているけれど、この憲法改正に基づく大統領選挙は、予定されていた2019年8月を待…