メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ロシア

ロシア人にとってウクライナ人は同胞なのか?

ウクライナ軍は東部ドネツク州アブデーフカからの撤退を余儀なくされ、いよいよ困難な状況に陥っているらしい。 戦争は2年以上の長期に至ったが、ロシアは長い時間をかけて、ようやく目的に近づいたのではないかとも言われている。 トルコでは、当初より、…

プーチン大統領によるイスラムの挨拶

トルコのメディアが「プーチン大統領によるイスラムの挨拶」を報じている。 ロシア国内のイスラム教徒との対話集会に出席したプーチン大統領は、ロシアのイスラム教指導者がイスラム式にアラビア語で「アッサラームアライクム」と挨拶してからロシア語で質問…

北朝鮮の新たな役割り?

金正恩総書記とプーチン大統領の会談に関しては、様々に異なる視点から論じられているのではないかと思う。 トルコの政治学者ハサン・バスリ・ヤルチュン氏は、9月14日付けサバー紙に掲載された「北朝鮮の新たな役割り」という表題のコラム記事で、北朝鮮…

BRICS は「車が馬の前を走っている馬車」?

BRICSへサウジアラビアなど新たに6か国が加盟したのは、トルコでも大きな話題となっている。 トルコは長い間、EUへの加盟交渉で門前に立たされたまま、疎外感を味わって来たため、BRICSの拡大に期待する向きもあるようだが、8月29日付けサバー紙のコラム…

プリゴジン氏死亡事件の背景

トルコの報道番組(時事討論番組)はとても長い、その多くが2~3時間に至る枠でやっている。 トルコに居た頃は、重要な事件があったりすると、そういう番組をYouTubeで最初から最後まで観ていたりしたけれど、今はとてもそんな時間がない。10~20分に…

プリゴジン氏の搭乗機が墜落。これは陰謀なのか?

反乱事件の後、その動向が注目されていたプリゴジン氏のプライベートジェットが墜落し、プリゴジン氏を含む搭乗者全員が死亡したという。 反乱事件の直後、収束までの経過を伝えるトルコの報道番組で、元軍人の評論家が「プリゴジン氏は近いうちに交通事故で…

コロナに関するプロパガンダ~ウクライナ戦争

トルコのサバー紙のコラムニスト、メリッヒ・アルトゥノク氏は、「コロナ騒ぎ」の期間中、ワクチンを拒否していたために狂人扱いされていたそうだ。 8月6日付けのコラムでは、当時、アルトゥノク氏の主張に奇異の眼差しを向けていた周囲の様子とその後の変…

プーチン大統領がトルコを訪問する予定

トルコの報道によれば、プーチン大統領は、いよいよトルコを訪れて、エルドアン大統領と会談するらしい。まだ期日は明らかになっていないが、訪土については、昨日の電話会談で合意が得られたという。 穀物輸出の再開が主な議題になると言われているけれど、…

ウクライナ戦争の終結は実現するだろうか?

イスタンブールを訪れたゼレンスキー大統領と会談したエルドアン大統領が、「ウクライナはNATO加盟に値する」と述べたのは日本でも大きく報じられた。 しかし、トルコでは、この発言の裏に『テロリストを保護しているスウェーデンは値しない』という含み…

ワグネルの反乱/トルコの実況放送

世界を震撼させた「ロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱」は2日も経たない内にあっけなく幕を下ろしてしまった。 しかし、未だに謎が多く、反乱に至る経過やその背景も明らかになっていない。 事件が勃発した当初は、まさしく海の物とも山の物とも解らない状…

トルコの大統領選挙・直前の波乱

トルコの大統領選挙、野党6党連合の候補クルチダルオール氏は、当選すれば欧米のロシア制裁に加わる意向を示したという。 ところで、つい数日前にトルコのチャヴシュオール外相は、シリア内戦の問題解決に向けて、モスクワで「トルコ・ロシア・イラン・シリ…

資源大国ロシアのしぶとさ?

近年、トルコは領域内の資源の開発ばかりでなく、軍事兵器の国産化にも力を入れて来た。これらを外国からの輸入に頼っている限り、自主独立は難しいと考えているからではないかと思う。 現在、ロシアは厳しい経済封鎖を受けているものの、それほどの窮地に陥…

トルコのユーラシア主義/それはトルコの道なのか?

トルコのアイドゥンルック紙へ論説を寄稿したユーラシア主義者のアレクサンドル・ドゥーギン氏によれば、ウクライナ戦争以前のプーチン大統領には、いくらか西欧寄りの傾向が見られたらしい。プーチン大統領は西欧との関係を何とか維持するように努めていた…

「第三のローマ」はロシアかトルコか?

トルコの放送局の取材に応じて、トルコへの熱い思いを語ったアレクサンドル・ドゥーギン氏は「私たちもチンギス・ハンの子孫である」と明らかにしていた。 ナポレオンの軍を迎え撃ったクトゥーゾフ将軍もモンゴル系の貴族だったそうだから、これはそれほど驚…

ロシアの思想家ドゥーギン氏が語るトルコへの熱い思い

2019年5月、「多極化世界におけるトルコ」という論説をトルコのアイドゥンルック紙に寄稿したロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は、2018年3月、トルコの放送局の取材を受け、トルコへの熱い思いを語っていた。その模様は以下のYouTube動…

多極化世界におけるトルコ

アレクサンドル・ドゥーギン氏は、2019年の5月以来、6回にわたってアイドゥンルック紙へ論説を寄稿しているようだ。 その第1回目となる2019年5月27日の「多極化世界におけるトルコ」という論説は、世界の多極化とトルコに対する考察が非常に興…

続・ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説/ロシアの道

アレクサンドル・ドゥーギン氏は、ドネツク州・ルガンスク州・ザポリージャ州・ヘルソン州の併合が、ロシアにとって最低限の勝利だとしている。 完全な勝利はウクライナ全土の併合に他ならない。 しかし、この場合でも、西欧は軍事的・戦略的、そして経済的…

ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説/ロシアの敗北は有り得ない

トルコのアイドゥンルック紙(Aydınlık Gazetesi)は、24日~26日、3回にわたって、ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説を掲載した。 親ロシア的なアイドゥンルック紙は「Gazete yazarı」とドゥーギン氏をあたかも同紙のコラムニストであ…

スウェーデンの「反イスラム」デモ/ロシアの「大スターリングラード作戦」

在ストックホルム・トルコ大使館の前でコーランが燃やされたデモは、スウェーデン政府の許可を得ていたという。 もちろん、これにトルコは「イスラムに対する冒涜である」と猛反発しているが、1月23日付けサバー紙のコラムで、ハサン・バスリ・ヤルチュン…

イスタンブールで見た逞しいロシアの人々

ソビエト崩壊後の92年~94年、私はイスタンブールで多くのロシア人を見た。 老若男女を問わず多くのロシア人がラーレリ辺りの歩道に様々な売り物を並べて商いに励んでいた。彼らは、それをロシアから長距離バスで何昼夜もかけて運んで来るのである。 歩…

ロシアと欧米の戦争

ロシア軍がウクライナ東部のソレダルを制圧したニュースは、トルコの様々な時事解説番組でも取り上げられているけれど、見た限りでは、「戦略的にそれほど大きな成果とは言えない」と論じる識者が多いようである。 以下のYouTube動画で女性キャスターの問い…

「妄想は知的行為全般の母である」(『田中宇の国際ニュース解説』より)

「コロナ騒ぎ」が始まって以来、私はこの騒ぎに何か裏があるのではないかという陰謀論めいたことも考えて来たけれど、上記の田中宇氏の論説「米諜報界が中国のために作る世界政府」は、そんな私の小さな想像力など吹き飛ばしてしまう迫力である。 田中氏は、…

プーチン大統領の奇行/上海の奇態

www.youtube.com 9月にサマルカンドで開催された上海協力機構の首脳会議に参席したプーチン大統領の奇行がトルコで話題になっていた。 奇行の場面は、上記のYouTubeの動画から見ることができる。プーチン大統領は会見するエルドアン大統領を待っている際に…

モルドバ共和国のガガウズ人

www.youtube.com このYouTubeの動画では、トルコ人のアルダ氏がモルドバ共和国のガガウズ自治区でトルコ共和国政府の協力によって設立された学校を訪れ、トルコ語の授業の様子などを紹介している。 モルドバ共和国の主要な言語はルーマニア語だが、自治区の…

すべては霧の中?/エリア・カザンがカメオ出演したトルコの映画

1988年制作のトルコ映画「Sis(霧)」、日本では89年か90年に封切りされ、私はそれを新宿の映画館で観た。既にトルコ語を学び始めていたから、少しでも単語を聞き取ろうしたが、解ったのは「メルハバ」といった挨拶の言葉ぐらいだった。 緊張感のあ…

ロシア人の皮を1枚めくるとトルコ人が現れる?

この「韓国人の血」という駄文に、韓国の人たちと激しい論争を経て仲良くなった話を書いたけれど、日本人やトルコ人とも同様の経験はあったと思う。やはり、言い争ったりして多少とも本音をぶつけ合うことで、人と人は一層親しくなれるのかもしれない。 規模…

戒厳令~プーチン大統領は法治主義者?

今朝、YouTubeで視聴した「Transatlantik」というトルコの番組で、オメル・タシュプナルという政治学者が、ロシアに併合された4州で戒厳令が発令された問題について語っていた。 タシュプナル氏によれば、この戒厳令は驚くに値しない当然の成り行きだそうで…

ウクライナ戦争の行方は?

トルコの報道を見ていると、欧州はかなり難しい状況にあるらしい。特に、天然ガスをロシアからの輸入に頼っていたドイツは、この冬をどうやって乗り切るかが大きな課題になっているという。それでも、対ロシア経済封鎖を推し進めようとする米国に従っている…

エルドアン大統領とプーチン大統領

来年、トルコでは大統領選挙が実施される。現在の強権化された大統領制は、2017年4月の国民投票で改正された憲法に基づき、任期は5年で2期務めることができる。 2018年6月の選挙で当選したエルドアン大統領は、この大統領制では1期目と見做され…

ロシアはウクライナの何処で核兵器を使用するのか?/ロシア人にとってウクライナ人とは?

「ロシアから最も近い所にある米国の核兵器は?」。それはトルコ南東部インジルリクの米軍基地(NATO基地)に配備されている核兵器である、とナイム・バビュルオール氏は指摘していたが、実際に使用される可能性については否定している。 元軍人の外交専門家…