メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの大統領選挙・直前の波乱

トルコの大統領選挙、野党6党連合の候補クルチダルオール氏は、当選すれば欧米のロシア制裁に加わる意向を示したという。

ところで、つい数日前にトルコのチャヴシュオール外相は、シリア内戦の問題解決に向けて、モスクワで「トルコ・ロシア・イラン・シリア」の各外相による4者協議を行っている。これに続いて、エルドアン大統領とアサド大統領の劇的な会談が実現するのではないかと言われていた。

しかし、万が一、政権交代ということになれば、シリアを巡る和平協議も中断されてしまうのだろうか? それとも、これまで協議のお膳立てを進めて来た軍部や外務省が新大統領を無理にでも説得して、協議を継続させるのだろうか?

選挙はいよいよ明日に迫ったが、この局面に至って、候補の1人であるムハレム・インジェ氏が撤退を表明し波乱が生じている。

2018年の大統領選挙では、CHPから党首のクルチダルオール氏が出馬せず、代わりにインジェ氏がCHPを代表して立候補し、エルドアン大統領に敗れた。

その後、インジェ氏はCHPを離党して新党を結成、今回の選挙に臨んでいたのである。

インジェ氏が撤退を表明したのは、自身に纏わるスキャンダラスなビデオが配信されたためだが、インジェ氏はこれをギュレン教団の仕業と断定している。

クルチダルオール氏を勝たせたいギュレン教団が、CHP支持者の票割れを防ごうとして陰謀を仕組んだということのようである。

インジェ氏によれば、クルチダルオール氏の敗北は既に確定的であり、仮に自分が撤退しなければ、敗因を全て自分に押し付けようとするだろう。だから撤退するのだと述べている。

これに対して、クルチダルオール氏は、陰謀を仕組んだのはロシアであると反論したものの、これは直ぐにモスクワから強く否定されている。

クルチダルオール氏が、何故、矛先をロシアに向けたのか、あまりにも不可解だが、「クルチダルオール氏の背後で全てを仕切っているのがギュレン教団すなわち米国だからである」と論じる識者もいる。

さて、クルチダルオール氏は、仮に当選したとしても、プーチン大統領とは全く会わないつもりなのだろうか?