メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの新聞記事

北朝鮮の新たな役割り?

金正恩総書記とプーチン大統領の会談に関しては、様々に異なる視点から論じられているのではないかと思う。 トルコの政治学者ハサン・バスリ・ヤルチュン氏は、9月14日付けサバー紙に掲載された「北朝鮮の新たな役割り」という表題のコラム記事で、北朝鮮…

BRICS は「車が馬の前を走っている馬車」?

BRICSへサウジアラビアなど新たに6か国が加盟したのは、トルコでも大きな話題となっている。 トルコは長い間、EUへの加盟交渉で門前に立たされたまま、疎外感を味わって来たため、BRICSの拡大に期待する向きもあるようだが、8月29日付けサバー紙のコラム…

コロナに関するプロパガンダ~ウクライナ戦争

トルコのサバー紙のコラムニスト、メリッヒ・アルトゥノク氏は、「コロナ騒ぎ」の期間中、ワクチンを拒否していたために狂人扱いされていたそうだ。 8月6日付けのコラムでは、当時、アルトゥノク氏の主張に奇異の眼差しを向けていた周囲の様子とその後の変…

多極化世界におけるトルコ

アレクサンドル・ドゥーギン氏は、2019年の5月以来、6回にわたってアイドゥンルック紙へ論説を寄稿しているようだ。 その第1回目となる2019年5月27日の「多極化世界におけるトルコ」という論説は、世界の多極化とトルコに対する考察が非常に興…

続・ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説/ロシアの道

アレクサンドル・ドゥーギン氏は、ドネツク州・ルガンスク州・ザポリージャ州・ヘルソン州の併合が、ロシアにとって最低限の勝利だとしている。 完全な勝利はウクライナ全土の併合に他ならない。 しかし、この場合でも、西欧は軍事的・戦略的、そして経済的…

ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説/ロシアの敗北は有り得ない

トルコのアイドゥンルック紙(Aydınlık Gazetesi)は、24日~26日、3回にわたって、ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の論説を掲載した。 親ロシア的なアイドゥンルック紙は「Gazete yazarı」とドゥーギン氏をあたかも同紙のコラムニストであ…

マリウポリ陥落

トルコの新聞アイドゥンルック紙(Aydınlık Gazetesi)で5月9日から「ドンバス日記」というレポートが連載されていた。 アイドゥンルック紙は親ロシア派の政治家ドウ・ペリンチェク氏の傘下にあると言っても過言ではない報道機関であり、「ドンバス日記」…

ウクライナが譲歩する可能性?

トルコのウクライナに関する報道は、毎朝の出勤前と帰宅後にざっと眺める程度だが、このところ識者らの論じ方にも多少変化が見られるようだ。以前、「ロシアはNATOの罠に嵌った」と論じていた識者が「このぐらいの抵抗は想定済みだったのかもしれない」など…

カザフスタンの混乱

カザフスタンの混乱は、今後どのように推移するのか全く予断を許さぬ状況であるようだ。 その背景についても様々な説が飛び交っていて、いったいどうなっているのか皆目見当がつかない。 トルコのメディアを少し見ただけでも、「カザフスタンに影響力を行使…

2022年の世界/日本はロシア・中国・北朝鮮との関係を強化する?

1月2日付けのサバー紙のコラムで、ベルジャン・トゥタル氏は次のように書き出している。 「新しい世界の担い手であるトルコ・中国・ロシアが、お互いに、そして他の国々との結びつきを深めて行くのに対して、西欧諸国の中に見られるブロック化と分裂は、米…

「日本の作家は文学的なエロチズムの巨匠である」:サルマン・ラシュディー

この「ノルウェイの森」の書評のトルコ語原文をネット検索で探してみたけれど見つからなかった。 書評が掲載されたラディカル紙は、既に発行を止めているので多くの記事が失われてしまったようだ。日本語訳は、以前、私が拙訳して保存してあったものである。…

「ようやく学校の対面授業が再開される」(トルコのサバー紙より)

トルコのサバー紙で、半年前にも「人々を『生きる屍』に、社会を『禁止の地獄』に変えてしまってはならない!」と訴えていたメフメット・バルラス氏が、9月2日付けのコラムで、またコロナ問題を取り上げていたので、前半のその部分だけを拙訳してみました…

トルコ風の姓名を名乗らざるを得なかったアルメニア人の俳優たち

今日(7月2日)のハベルテュルク紙に、ムフスィン・クズルカヤ氏が非常に興味深い記事を書いている。 オスマン帝国の時代、イスラム教徒の女性たちが映画で活動するのは「はしたない」と思われていたため、演じる女優たちは皆、非イスラム教徒であったとい…

「人々を『生きる屍』に、社会を『禁止の地獄』に変えてしまってはならない!」(トルコのジャーナリスト)

トルコでコロナによる死者数の累計は2万9千に達したそうである。 政府は、最近になってようやく「普通の生活に戻そう!」と呼び掛け始めたらしいが、元医師のコジャ保健相が相変わらず危機的な状況を訴えたりして足並みがそろっていないようだ。 コジャ保…

アヤソフィア・モスクへの反発

アヤソフィアが再びモスクとなり、24日には金曜礼拝も執り行われた。これに対して、内外からの相当大きな反発が予想されていたけれど、どうやらそれほどでもなかったようだ。「エルドアン政権は、反発が激しければ、これを政治的に利用しようと思っていた…

日本の同調圧力と自画自賛

コロナ感染の事態により、トルコでは、65歳以上の人たちに対して、許可無く夕刻以降の外出を制限するような対策がまだ続けられているらしい。 これには不満の声も高まっているのか、7月19日付けサバー紙のコラムでメフメット・バルラス氏は、「コロナ感…

トルコにおけるクルド人の母語の問題

一昨日(6月3日)のハベルテュルク紙のコラムに、ムフスィン・クズルカヤ氏がとても興味深い記事を書いていた。 ムフスィン・クズルカヤ氏は、トルコ南東部のイラク国境に接するハッキャリ県出身(1966年生)のジャーナリスト。ハッキャリ県はディープ…

コロナという大義名分/トルコの識者の論説

米中の対立も軍事衝突に至ると思っている人は殆どいないだろう。だから安易に対決を煽ったりする。 米国は経済戦と情報戦でソビエトを崩壊させてしまったのだから、また同じようにやる算段なのかもしれない。 その大義名分として「コロナ」を掲げたり、「中…

沖縄の問題~クルドの問題

もしも沖縄の人たちが、この駄文を読んでいたとしたら、かなり不愉快に思う人も少なくないのではないかと恐れる。「我々の独立の主張をもっと真摯に取り上げてくれ!」と憤る方もいるかもしれないが、それとは真逆に「我々も普通の日本人である」と抗議する…

傀儡国家の失敗

ウイキペディアで満州国の項目にざっと目を通したところ、「満州国に国籍法はなかった」という記述が出て来た。二重国籍を認めない日本からの移民を増やすためだったそうである。 それどころか、日本統治下の朝鮮にも「日本の国籍」を明確に規定するものはな…

トルコの新聞記事/ムスリムによる政教分離の可能性

旧ホームページの「メルハバ通信」には、トルコの新聞記事を訳して掲載する欄を設けていた。 2011年の12月まで、252回に亘って続けていたけれど、私のPC上に保存してあったのは、2005年4月の137回までで、残りは手違いから削除されてしま…

トルコのNATO離脱?

スポーツの世界では、ボクシングのようにお互いの身体を痛めつけ合う競技であっても、試合が終われば健闘を称え合って抱擁を交わしたりする。 そういった経験のない私には解り難いけれど、人は死闘を繰り広げることで友情に近い気持ちを懐けるようになるのだ…

オランダは寛容だったのか?

3月13日付けカラル紙のコラムで、ハーカン・アルバイラク氏が、オランダについて書いている。 ドイツで生まれ育ったアルバイラク氏は、子供の頃、オランダに住んでいる親戚のもとへ、良く連れて行ってもらったらしい。 ある日、オランダの街で、兄とドイ…

国家の正統性/クルド人のアイデンティティー

2013年3月2日、サバー紙のコラムで、エンギン・アルドゥッチ氏は、当時の憲法改正議論に関して、以下のように述べていた。「現存する国家を過去のものにして、新たに全く異なる国家を築くのであれば、それは法改正とか国民投票などで出来るものじゃな…

トルコと韓国の民主化の歩み

2006年12月のミリエト紙で、ジャーナリストのジャン・デュンダル氏(現在、フランスに逃亡中)は、アンカラの韓国大使館で23年間にわたり、外交官として働いたぺク・サンキ氏にインタビューしながら、韓国とトルコの民主化について、以下のように述…

マイノリティの最も真実的な試験 / 偽りても賢を学ばんを賢といふべし

2014年の8月、「マイノリティの最も真実的な試験」というエティエン・マフチュプヤン氏のコラム記事(アクシャム紙-2014年8月24日付け)の後半部分を拙訳して、この欄に載せたけれど、非常に興味深い記事なので、今日、再びご紹介したいと思う…

我々は西欧が思っているほど愚かだろうか?/エティエン・マフチュプヤン氏のコラム記事

今日(7月28日)のカラル紙のエティエン・マフチュプヤン氏の記事を読んだら、西欧の冷ややかな態度に苛立つトルコの人たちの気持ちが解るような気がして、私も憤懣やる方なかった。しかし、マフチュプヤン氏は、西欧の態度の背景を冷静に分析して、トル…

トルコは“テロリスト国家”なのか?

6月30日付けラディカル紙のコラムに、オラル・チャルシュラル氏が「トルコは“テロリスト国家”なのか?」という非常に興味深い記事を書いていたので、以下のように拙訳してみました。 *********** トルコは“テロリスト国家”なのか?: 平行構造…

マイノリティの最も真実的な試験

現在、アクシャム紙にコラムを書いているエティエン・マフチュプヤン氏の日曜日の記事「マイノリティの最も真実的な試験」が非常に興味深かったので、後半の部分を以下に拙訳でお伝えします。この記事は、3週間前の「マイノリティの最も真実的な問い」とい…

最大の敵:国民国家!

トルコでは、4~5年前でも、「“クルド語による教育”は“分離独立”をもたらす」であるとか、「このまま多様性を認めて行ったら国家は分裂してしまう」といった議論が激しく闘わされていた。イスラム化の問題と同様、こういった多様化の問題でも、私は、その…