メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

傀儡国家の失敗

ウイキペディアで満州国の項目にざっと目を通したところ、「満州国に国籍法はなかった」という記述が出て来た。二重国籍を認めない日本からの移民を増やすためだったそうである。

それどころか、日本統治下の朝鮮にも「日本の国籍」を明確に規定するものはなく、「併合によって日本国籍が付与された」と見做されていただけらしい。

どうやら「日本人」になることは、その当時から難しかったようだ。

満州から日本統治下の朝鮮へ移住した友人兄弟の父親の立場はどうなっていたのだろう? 満州建国から日本の敗戦、韓国の独立から朝鮮戦争へ至る激動の歴史の中で翻弄され続けた半生だったのではないかと思う。

しかし、日韓併合も当時は国際社会において認められていた。日本が孤立して行くのは満州事変以降である。その後の満州建国は、今考えたら「無謀な傀儡国家の建設」に他ならないものの、当時の国際社会では、それほど異様な事態とは言えなかったかもしれない。

欧米がオスマン帝国から独立させた国々は、全て傀儡国家じゃなかっただろうか? その先例となったギリシャ王国の建国など、西欧の火遊びだったとしか思えないようなところがある。

「国王」も西欧の王家の出身であり、ギリシャの伝統も民衆も無視した政策によって破綻すると、また他の王家から「国王」を送り込んだりしたらしい。英国のエディンバラ公エリザベス女王と結婚するまでは、ギリシャ国王の王位継承権を持っていたそうだ。

以下の記事を読むと、オスマン帝国から独立させられた王国のギリシャ人らも自分たちの身の上に何が起こったのか良く理解していなかったのでないかと考えさせられてしまう。

最近のギリシャ共和国の経済破綻とその後の経緯を見たら、その「火遊び」は西欧とギリシャの間で未だ続けられているのかもしれない。

イラクとシリアに至っては、軽く「火遊び」と言うのも憚られるような気がする。米国は、それでも懲りずに「クルディスタン」という傀儡国家を作ろうと躍起になっていた。

彼らは自分たちが叩き潰した日本の失敗から何も学んでいなかったのかと心配になる。