メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

オランダは寛容だったのか?

3月13日付けカラル紙のコラムで、ハーカン・アルバイラク氏が、オランダについて書いている。

ドイツで生まれ育ったアルバイラク氏は、子供の頃、オランダに住んでいる親戚のもとへ、良く連れて行ってもらったらしい。

ある日、オランダの街で、兄とドイツ語を話していたところ、聞きとがめたオランダ人の娘さんに、「ドイツ人なの?」と詰問され、「いや、トルコ人です」と答えると、娘さんはにっこり微笑んで、「それなら好いわ」と言ったそうだ。

これほど、トルコ人に寛容だったオランダで、何故、ウイルダースの自由党が勢いを増してきたのか、アルバイラク氏は、2009年に、オランダの外務省関係者に尋ねたことがあるという

アルバイラク氏が、当時、その外務省関係者から聞き出して、コラムに書き記した内容は、非常に興味深く感じられたので、その部分を以下に拙訳してみた。

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問題は、自由党の伸張だけに限られていない。伝統的な左派と右派の各政党に票を投じている人々も、その多くは異邦人を好んでいないのである。

私たちは、社会全体を取り巻く問題に直面している。元来、私たちの社会は、いつの時代でも、異邦人に敵意を持っていた。

しかし、第二次世界大戦後に醸成されたアンチ・ファシスト的な雰囲気の中で、それを表には出そうとしなかった。ナチスに例えられまいとするため、異邦人を好きであるかのように振舞い、ムスリムたちに笑顔を見せて来た。

夕方、家に帰ってからは、「なんで、我々がトルコ人やモロッコ人のために不愉快な思いをしなきゃならんのだ?」と文句を並べていた。

テオ・ファン・ゴッホ、ピム・フォルタインのような人たちが、急に人気を得て来たのは、彼らが社会の気持ちを代弁していたからだ。

本当の顔をさらす勇気のない社会は、イスラムへの敵意をあからさまに表現したアーチストや政治家を支持することによって、ムスリムたちに懐いていた感情を示して見せた。

その過激さが問題になると、「民主主義」や「表現の自由」を持ち出して、「特殊な考え方も許容しなければならない」などと言いながら、実のところは、「素晴らしい! 良くやった。ムスリムたちを叩き続けてくれ!」と思っていたのである。
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*3月13日付けカラル紙のハーカン・アルバイラク氏の記事
Hakan Albayrak/Karar-13-3-2017
http://www.karar.com/yazarlar/hakan-albayrak/hollanda-3529