メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

エルドアン大統領の後継者は?/トルコと日本の文民統制

エルドアン大統領が4年後に任期満了で退任するとして、その後継者は果たして誰になるのだろう?

今のところ、現外相のハーカン・フィダン氏が有力視されているらしい。野党側は、対立候補に現イスタンブール市長のエクレム・イマムオール氏を擁立するのではないかという。

既に、地方選挙が始まるはるか前から以下のようなアンケート調査も行われていた。

街角で人々に「今、大統領選挙があれば、フィダン氏とイマムオール氏のどちらへ投票しますか?」と訊いているのだが、まだ両氏が候補になると決まったわけでもないし、いったいどういう意味があるのか良く解らない。

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フィダン氏は元々与党AKPのメンバーではなかったのだから、反AKPの有権者たちにもアピールできそうな気がするけれど、「エルドアンの後継者」というだけで拒絶反応を示す人も少なくないのだろう。

仮に、フィダン氏がエルドアン氏に次いで第13代大統領になれば、第7代のケナン・エヴレン以来となる軍人出身の大統領が誕生するそうだ。

トルコの大統領は、初代のアタテュルクから第7代のエヴレンまで、第3代のジェラル・バヤルを除けば全て軍人出身だったのである。

しかし、日本も戦前の歴代首相をみれば、軍人出身が多かった。幕末に武士として戦闘に加わっていた伊藤博文大隈重信も「軍人出身」と見做せば、かなりの割合になるだろう。

ところで、フィダン氏の経歴をちょっと見ていたら、「軍人出身の外相はイスメット・イノニュ以来」という記述があったので、何だか意外に思えた。

第2代大統領のイノニュは、アタテュルク大統領の時代に外相を務めたことがあり、フィダン氏はそれ以来の軍人出身の外相であるという。

戦前の日本も、外相は外交官出身が多かったけれど、野村吉三郎のような軍人出身の外相も何人かいたようだ。陸奥宗光も幕末の武士だったから「軍人出身」と見做して良いかもしれない。

なにしろ江戸期の日本は、司法から行政に至る全てを「武士」という軍人が担っていたのである。他の国々の歴史にこういった例は見られるだろうか?

オスマン帝国は軍と政治の区分けが結構出来ていたらしい。外務もほぼ専門の外交官が担っていたようである。

日本も戦後は、外相に限らず首相もその殆どが文民であり、職業軍人の出身者は、まずいなかったのではないかと思う。

そのため、現在の文民統制は、トルコよりも日本の方が遥かに進んでいると考えたくなる。

しかし、日本の政府は、駐留している米軍に対して何か指示することが出来るのだろうか?

あれでは「文民統制」と言えないような気がするけれど、果たしてどうなんだろう?

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