メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

近づくトルコの地方選挙

トルコでは3月31日に地方選挙が行われる。

この選挙で最も注目されているのは、「イスタンブール市長の座をCHP(共和人民党)の現職イマムオール氏が守るのか、対立候補に元閣僚のクルム氏を抜擢した政権与党AKPがその座を取り戻すのか」だろう。

CHPは、昨年の大統領選挙と同様、分離独立を主張するクルド系市民やこれを容認する政党と共闘を組んでいるため、与党側はこれを激しく非難して、この市長選にも「国土の不可分の統一」といった議論を持ち込もうとしていた。

「国土の不可分の統一」はアタテュルクが定めた国是であり、これにより「アタテュルクの政党CHP」の支持層を切り崩そうとしているようだが、昨年の大統領選でもこの戦略がどのくらいCHPのコアな支持層に対して効果的だったのかどうかは良く解らない。

西欧的なライフスタイルを好むCHP支持者の中には、南東部地域の如何にも中東風なクルド・アラブ系の人々を嫌がり、「さっさと独立してもらいたい」と思っている人が存外少なくないかもしれないのである。アタテュルク主義を標榜しながら、「国土の不可分の統一」には殆ど関心がなかったりするのだ。

また、イスタンブールは「トルコで最もクルド系国民の多い地域」と言われているくらいなので、CHPの戦略はそれほど的を外していないと考えることもできる。

ところが、選挙を前にして、現職イマムオール氏の周辺では、奇怪な不正疑惑が取り沙汰されて問題になっている。

イマムオール氏に近い人物のオフィスへ、スーツケースで運び込まれた札束を関係者らが数えてテーブルの上に積み上げている場面が防犯カメラの記録から暴露されたのである。

これは2019年12月の記録らしいが、何故、今頃になって暴露されたのか不可解な点が少なくないという。

しかし、既に検察は捜査を始めており、投票日直前になって、一層イマムオール氏に不利となる何かが明らかにされる可能性もある。

いずれにせよ、CHPが今でも「アタテュルクの政党」と言えるのかどうかは解らないけれど、「アタテュルクの国家」が与党側についているのは間違いないように思われる。軍や司法を始めとする国家の中心的な機構もそうだろう。

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