トルコの大統領選挙、5,2%で3位となったスィナン・オアン氏は、国土の統一を脅かすテロ組織PKKやギュレン教団と戦う姿勢を見せていたため、決選投票ではエルドアン大統領を支持するのではないかと言われていたが、どうやら対抗する野党6党連合のクルチダルオール氏(CHP党首)を支持するような気配である。
クルチダルオール氏は、支持を得るためにオアン氏の要求する条件を認めたのか、突然、これまでの融和的な態度を翻して、PKKとギュレン教団を激しく非難し始めた。
これに対して、協力関係にあったクルド民族主義政党HDPは猛烈な反発を示しているという。当然、決選投票では支持を取りやめる公算が大きい。
一方、ギュレン教団に近いとされるサッドゥラー・エルギン氏は、既にCHPの枠内で国会議員に当選しているので、今更、クルチダルオール氏がギュレン教団を非難したところでどうにもならないような気がする。
果たして、クルド民族主義者に限らず、クルチダルオール氏に投票した支持者らは、この豹変ぶりを何と評価するだろうか?
オアン氏と野党6党連合との間には、選挙後に様々な交渉があったようだが、エルドアン大統領側からはこれといったアプローチもなかったらしい。
オアン氏の得た5,2%の全てがオアン氏の支持者によるものではないと分析して、大統領側からオアン氏に働きかけることはなかったようだ。
オアン氏は、トルコ民族主義者のユミット・オズダー氏が率いる勝利党を中心とした連合から推挙されて立候補したけれど、議員選挙における勝利党の得票率は2,2%に過ぎなかった。
そのため、オアン氏が支持者から得た票もその程度ではないかと論じられたりしている。オアン氏はオズダー氏と近い関係にあり、支持者もほぼ同一と思われているからだ。
当初、オアン氏が大統領を支持するのではないかと思われるような態度を見せたのは、大統領側からアプローチがあれば自分を高く売り込むつもりだったのではないかという観測も出ている。何だか結構生臭い人物であるかもしれない。