安倍元首相が暗殺されてから、いよいよ2年が過ぎようとしている。
しかし、今もって真相が判然としたわけではないらしい。まだ裁判も始められない状況で、逮捕された山上氏は未だに勾留中であるという。これは非常に異例な事態と言えるそうだ。
問題は、果たして致命傷を与えた弾丸が、山上氏の改造銃から発射されたものであるかどうかに掛かっているが、これに関する新たな事実が明らかにされたわけでもない。
というより、この事件は、裁判が始まる前から、既に忘れ去られてしまったかのように、大手メディアはその後の経過を殆ど報じていないのである。
SNSで元外交官の孫崎享氏が、不可解な点を繰り返し伝えているけれど、これほど納得が行く情報は他に見当たらないのではないかと思う。
安倍氏が銃撃を受けた直後に搬送された病院の医師によれば、致命傷を与えたのは、山上氏のいた後方からではなく、前方から入った弾丸であるという。これが最も大きな問題であり、検証しなければならないと孫崎氏は指摘しているのである。
孫崎氏を始めとするこういった主張に対して、SNSには様々な反論が寄せられているものの、いずれもその根拠に乏しい。
興味深かったのは、暗殺を「中国の仕業」とした投稿だろう。これは、「実行犯は米国の機関」という仮説に反論したようだけれど、「致命傷を与えたのが山上氏の弾丸」でないことは明白に認めているのである。
果たして、山上氏の他に狙撃者がいたとすれば、いったいどういう人物、あるいは機関がそれを実行し得たのか? それは「米国の機関」をおいて他になさそうである。
生前、安倍氏は、ロシアのプーチン大統領がNATOの東方拡大に不信感を懐いていたと明らかにしながら、「不信感の中で、領土的な野心ではなく、防衛と安全確保の観点から動いた」と、プーチン大統領を擁護している。
孫崎氏も述べていたように、こういった発言が「米国の機関」を刺激したとしても不思議ではないだろう。
おそらく、鈴木宗男氏のように、もとより反米・親露的な人物が、同様の発言を行ったとしても無視されているはずだ。
しかし、日本の保守親米派に大きな影響力を持っていた安倍氏の発言は看過できなかったのかもしれない。
いずれにせよ、政治家としての誠意から発言を躊躇わなかった安倍氏の命日を前にして、その冥福を祈りたいと思う。
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