メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

宗教全般

日本の亡国の危機/「祖国のために産めますか?」

私は1998年~2017年の間、それほど長くない一時帰国中の期間を除いて、トルコで暮らしていたため、その間の日本の社会の変化に気が付いていなかったりした。 「シャッター街」であるとか「廃墟と化した温泉街」なども言葉としては知っていたけれど、…

新年の読書「クオ・ワディス」

年末年始の休暇を利用して、以前から読んでみようと思いながら、なかなか手がつかなかった「クオ・ワディス」(全三巻:岩波文庫)を読んだ。 4日までの休暇中に全て読み終わらせるつもりでいたけれど、そう巧くは行かなかった。 しかし、下巻は、昨日、ほぼ…

創価学会と統一教会

創価学会の池田大作氏が亡くなり、様々な論評が出ている。「民衆の信仰の場である創価学会に最盛期をもたらした」という肯定的な評価も多い。 私はその魅力が何処にあったのか良く解らないが、それは信仰を同じくする人でなければ共感できないものであるよう…

ユダヤ人の強い意志は何に由来するのだろう?

おそらく30年以上前、友人から伝え聞いた話。日本に滞在しているイスラエルの若い女性が本を読みながら涙を流していたので、友人が何を読んでいるのか訊くと、それは「旧約聖書」だったそうである。 何の信仰も持たない私は、「宗教的な熱情によって突き動…

イスラムの葬儀は望まない!

トルコで非常にイスラム的な新聞として知られているイエニ・アキット紙に、今日(9月18日)、以下のような記事が出ていた。 「イスラムの価値に敵対しながら一生を終えた人たちも、モスクでイマームの祈祷により弔われることが論議を呼んでいるトルコで、…

クルド人難民支援活動で誰が救われたのか?

「クルド人難民」を支援する人たちの動機が何であるのか良く解らないけれど、15年以上続いた長い支援活動の過程で、いったい誰が救われたのだろう? 難民申請を繰り返しながら、長期にわたって日本に滞在し、解体業等でそれなりの収入を得た人たちはいるか…

トルコのイスラム化?

11年ほど前、トルコの宗教教育の状況を調べるために来た日本の研究者の方たちとイスタンブール市内のイスラム導師養成高校(イマーム・ハティップ・リセスィ/İmam Hatip Lisesi/イスラムの教育に重点を置いた高校)を訪れた。 そこは導師養成高校の中で…

イスラムの芸術/聖書を題材にした小説

イスラムにも美術的な作品は多い。モスクには美しい装飾が施されていたりする。 しかし、コーランが小説や映画の題材として適しているようにも思えない。そういった作品があったしても、それほど読んでみたいとは思わない。あまり面白くなさそうである。 聖…

イスラムは「之を知らしむべからず」なのだろうか?

「エデンの東」の最後の場面を観ながら、やはり聖書は読んでおくべきじゃないかと思ったが、これだけ長い間、ムスリムの人たちと交流を持ち、イスラムとは何なのか考えさせられてきたのだから、もちろんコーランも全編を読んでみなければならないだろう。 し…

エデンの東

最近、ネットからトルコ語で視聴するのは報道番組ばかりになってしまったが、以前は洋画のトルコ語吹き替え版を良く観ていた。その多くは「ローマの休日」といったクラシックな作品である。 もちろん、これはトルコ語の学習を兼ねている。しかし、トルコ語の…

アーシューラー「シーア派の熱狂とキリスト教」

《2020年8月28日付け記事を修正省略して再録》 昨日(2022年8月8日)は、イスラム暦によるムハレム月の10日目「アーシューラー」の日だった。 西暦680年のこの日に、イマーム・フサインが「カルバラーの戦い」で殺害されたため、シーア派…

マルディン~ハタイの復活祭ミサ

正教の復活祭(正しくは復活大祭と言うらしい)、トルコではパスカリヤ(Paskalya)と言われている。おそらく、ギリシャ語のパスハ(Πάσχα)に由来しているのではないかと思う。 今朝、「Paskalya」でYouTubeを検索してみたところ、トルコの南東部、マルディ…

Raks/バハイ教

「raks(ラックス)」というアラビア語起源のトルコ語は、辞書を引くと「踊る・ダンスする」となっているが、今では殆ど使われていないようだ。代わりに「dans(dance)」という外来語が幅を利かせている。 ひと昔前なら、この単語を聞いて、2…

統一教会との奇縁?

1988年、ソウルの延世大学語学堂で韓国語を学んでいた頃、先生が教室に受講生名簿を置き忘れてしまったことがある。 私ら受講生がその名簿を開けてみると、数名の受講生の欄に赤い丸印が記されていた。 名簿を見ていた私たちの中に該当者はいなかったの…

「恐ろしい宗教」

《2016年10月15日の記事を再録》 イスラム教徒・ムスリムと言えば、何だか、まるで価値体系の異なる宗教的な世界で生きている人々みたいな雰囲気で語られたりしているけれど、トルコでイスラム教徒の人たちと接している限り、これが実際の様相を伝え…

「イスラムはどういう宗教なのか?」

《2019年11月1日の記事を再録》 日本でイスラムの社会について解説された記事を読んでみると、イスラムの教義から説き起こしている例が少なくない。 しかし、トルコでは、敬虔な信者であっても、教義を事細かに知っている人はそれほどいないだろう。 …

男は皆オオカミなのだ!

《2014年10月19日付け記事の再録》 キリスト教では、「マタイ福音書」に以下のような記述があり、男が性的な欲情を懐くこと自体、悪と看做されているのかもしれない。「『すべて欲望をもって女を見るものは彼の心のうちですでに彼女を犯したのである…

宗教に対する偏見/イスラムへの誤解

2014年の8月、イスタンブールで在留日本人の方に「クリミア・メモリアル教会」を案内していただいた。 この方は業務でトルコに出向中のエンジニアで、熱心なプロテスタントのクリスチャンだったが、「トルコにいると、クリスチャンに対する偏見が感じら…

科学的な信仰?

「幸福の科学」が如何なる教義を説いているのか知らないけれど、まずは信仰に「科学」という言葉を用いているところが奇妙に感じられてしまう。 トルコのアドゥナン・オクタル師もイスラム教を科学的に説明しようとしていた。それが何とも胡散臭かったのであ…

「幸福の科学」

《2012年11月27日付け記事の再録》 イスタンブールの“ブック・フェア”。今年(2012年)は、最終日の25日に出かけたところ、多くの来場者で立錐の余地もないような大盛況だった。人ごみの中を歩いていると、東洋人が二人、パンフレットを掲げて…

「王子と乞食」

《2014年3月10日付け記事の再録》 小学生の頃、区の図書館から本を借りて来て良く読んだ。その多くは、“少年少女文学全集”といった類の本で、海外の文学が子供向きに平易に訳されていた。ジュール・ベルヌの作品であるとか、ルパンやホームズが活躍す…

アスリートを支える敬虔な信仰

1~2ヶ月ぐらい前、イチロー選手がメジャーリーグで年間最多安打の記録を打ち立てた活躍を回想するBS番組を観ていたら、イチロー選手の前の打席に何処か見覚えのある若い選手が入っていた。 まだ少年のような雰囲気の若い選手に『何処で見たんだろう?』…

「何故、宗教を信じるのだろう?」

《2019年12月9日付け記事を再録》 パキスタンの物理学者パルヴェーズ・フッドボーイ氏は、2001年に著した「ムスリムと西洋 - 9 月 11 日の後」(学習院大学教授田崎晴明氏訳)という論説の中で、「イスラム教は- キリスト教、ユダヤ教、ヒンド…

シーア派の熱狂とキリスト教/静かなスンニー派の礼拝

今日は、イスラム暦によるムハレム月の10日目「アーシューラー」の日である。西暦680年のこの日に、イマーム・フサインが「カルバラーの戦い」で殺害されたため、シーア派の人々は「フサインの殉教」を哀悼して盛大な行事を催すようになったという。 私…

偽りても賢を学ばんを・・・/私はあるがままの自分を見せられるだろうか?

《2019年11月1日の記事の再録》 私の偏見かもしれないが、既存の権威に対する抵抗として生まれたキリスト教と違って、イスラム教は、元々為政者の側に立っているように見える。そのためか、権威に対する反抗は悉く戒められているという。 異教徒が支…

コロナ騒ぎの違和感/正教会のイースター

今日は、東方正教会のイースターで、三ノ宮の教会へ見学に行くつもりだったけれど、教会のHPを見るとコロナ騒ぎのため拝観を規制しているようなので取り止めにした。楽しみにしていたから非常に残念。 しかし、このコロナ騒ぎ、当初より私は腑に落ちないも…

コロナと宗教?

先週の土曜日、トルコのイズミルに住んでいる韓国人の友人から電話があった。外出禁止令で暇を持て余したためだと思うが、「トルコにはもう仕事がない。日本で仕事探してくれ!」なんて言う。私は「日本だって大変ですよ」と答えてから、冗談に「今、日本で…

メリークリスマス!/С рождеством!(ス ラジェストヴォム!)

今日は、三ノ宮の正教会の教会でクリスマスを祝って来た。ロシア正教では、ユリウス暦を使っているので、グレゴリウス暦の今日1月7日が、12月25日になるそうだ。 イスタンブールでは、コンスタンティノープル総主教庁の正教会がグレゴリウス暦を採用して…

何故、人は宗教を必要とするのか?

何故、人が宗教を必要とするのかについて論じた書物を読んだ中で、今までもっとも納得させられたのは、この「漱石の『行人』」に出て来る『山を呼び寄せるモハメッドの話』」だった。 モハメッドは人々に「山を呼び寄せて見せる」と約束し、それを実行に移そ…

イスラムの社会性?/ギュレン教団の宣教活動

2017年の2月頃だったと思う。トルコの時事討論番組でイスラム神学者と思われる出演者が、「ISやギュレン教団が、何故、あれほど歪な信仰に囚われているのか? それは彼らに“祖国”という概念がないからだ」と語っていた。 左派らしい出演者は、呆れか…