メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコ語の読書

小説「イエシル・ゲジェ(緑の夜)」:自分の世界のごたごたで忙しい本来の民衆

「イエシル・ゲジェ(緑の夜):Yeşil Gece」は、トルコ共和国成立後の1928年に出版されたレシャット・ヌーリ・ギュンテキン(Reşat Nuri Güntekin:1889~1956)の小説で、オスマン帝国が崩壊して共和国革命に至る激動の時代を背景にしている。 小説の…

「チャルクシュ(Çalıkuşu)」を歩きたい!

上記の駄文を書くにあたって、本山第二小学校の校舎が当時のものであるのか調べるために、ネットで検索していたら、「谷崎潤一郎の『細雪』を歩く」というもの凄いサイトを発見した。 「芦屋編」に始まり、「西宮編」「阪神大水害編」「京都編」「大阪編」「…

トルコ語の小説「チャルクシュ」

《2012年4月17日付けの記事を修正して再録》 文学が解るわけじゃないし、日本の小説も余り読んでいないけれど、せっかくトルコ語を学んでいるのだから、トルコの小説をもっと読まなければと思いながら、怠けてばかりいた。 それでも、読もうとする意…

小説「Aldatmak(不倫)」

芸能人の「トイレ不倫」とやらが話題になっている。これで私は10年ぐらい前に読んだトルコの小説を思い出した。その小説にも、スリルを求める異常な性行為が描かれていたけれど、世の中には、想像も及ばない性的嗜好というのがあるようだ。 以下は、その小…

「誕生から死に至るまでのイスラム主義」

日本と同様、トルコでも、西欧に対する思いは、なかなか複雑であるようだ。西欧は、あからさまに西欧化を主張してきた政教分離主義者だけでなく、イスラム主義者へも重くのしかかっていたのかもしれない。旧ザマン紙にコラムを書いていたミュムタゼル・テュ…

カメレオンのように色を変える人たち

コマーシャルとかテレビドラマのエキストラに駆り出されると、僅かとはいえ、一応出演料みたいなものを頂けるわけだけれど、3ヶ月ほど前に撮影があったドラマは、どうやら只働きになってしまったようだ。当初、通訳斡旋エージェントから「日本語の通訳」と…

トルコ語の小説「イエシル・ゲジェ」

昨年の11月以来、長いこと中断していたトルコ語の読書を再開した。レシャット・ヌーリ・ギュンテキンの「イエシル・ゲジェ」という作品。1928年に出版された小説で、オスマン帝国の末期を舞台にしているため、古い言葉がたくさん出てきて、とても難し…

トルコ語の小説「Aldatmak(不倫)」

小説「不倫」に出てくるOLたち、トルコでは昇進して役職につく女性も多いから、日本で言うOLとはイメージが違うかもしれない。それから、食事風景などの描写は実にリアルだと思ったけれど、情事の場面がどれほどリアルだったのか、私には経験がないから…

昼下がりの情事

昨日の昼、レヴェントのオフィス街にあるレストランでサンドイッチを食べていたところ、ギャルソンが来て「すみません。7人のお客様が来たので、窓側の席に移ってもらえませんか」などと言う。『まあ、こっちは軽食メニューだから文句も言えないか』と舌打…

小説“チャルクシュ”

文学が解るわけじゃないし、日本の小説も余り読んでいないけれど、せっかくトルコ語を学んでいるのだから、トルコの小説をもっと読まなければと思いながら、怠けてばかりいました。それでも、読もうとする意欲は多少あったから、文学に親しんでいそうなトル…

トップレフト

上記の記事で、筆者のサーデット・オゼン氏が紹介している黒木亮氏の著作「トップレフト」のトルコ語訳が「ビズィム・キタップラル」という出版社からようやく刊行されました。 2004年の秋、当時、ジャン・ヤユンエビという大手出版社の編集者だったサー…

プレゼント(贈り物)という名の女

もう4~5年前になりますが、「イスヤン・ギュンレリンデ・アシュク(反乱の日々の恋)」というアフメット・アルタン氏の小説を読み進めていた頃の話です。この小説は、以下の駄文でも話題にした「クルチ・ヤラス・ギビ(刀傷のように)」の続編で、オスマ…

ノルウェイの森

2004年だったか、ギリシャへ行くバスに同乗していた韓国人の若い女性二人から、いきなり「ハルキ、読んだことあります?」と訊かれた時は、ちょっと面食らってしまいました。 韓国では、既に“ハルキ”で通っているんでしょうか。しかし、彼女たち、旅に出…

名誉を綺麗にする?

先月の“通信”で紹介した「ヤプラック・ドキュム(落葉)」という小説の主人公アリ・ルザ・ベイ、この人物は余り信心深くない世俗主義的な教養人として描かれているものの、事が女性の貞操に至ると、私如きには何とも理解し難い拘りを見せていました。 長男が…

落葉という悲しい物語

先日、ヤプラック・ドキュム(落葉)というトルコの小説を読み終えました。今トルコでは、この作品をもとにして、舞台を現代に置き換えたテレビ・ドラマも話題になっていますが、残念ながらテレビ・ドラマの方は観る機会がありません。もとの小説はオスマン…

問題の猥褻個所は?

アフメット・アルタン氏の「スダキ・イズ(水に残る痕跡)」という小説を読んでいます。 出版社が記した前書によると、この小説は、85年7月に出版され、その翌年、「猥褻図書」であるという理由で回収処分を受けた後、出版社はこれを不服として、2年に及…

トルコでも読書の秋

昨日から、日本へ行っていたこともあって中断していたトルコ語小説の読書を再開しました。半年以上も中断していたのではないかと思うのですが、辞書を引き引きゆっくり読んでいたこともあって大筋は覚えており、中断した個所からそのまま読み始めています。…

禁断の恋

昔、イスタンブールで出会った日本人のおじさん、「イスタンブールには頭をスカーフで覆った女性が少ないんだね。僕はあれにそそられるんだよなぁ」と残念がっていた。彼がこの村に来たら大喜びだったに違いない。工場で、いつもきちっと髪をスカーフで覆っ…