メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「キンシャサの奇跡」

1974年の10月30日、コンゴのキンシャサで挙行されたボクシングのヘビー級タイトルマッチで、モハメド・アリがチャンピオンのジョージ・フォアマンを8回KOに降した。これを、私たちのようなファンは“キンシャサの奇跡”と呼んでいる。その前年に、…

高卒育成プラン

トルコは、産業化が急速に進んだと言っても、これといった自前の技術があるわけじゃない。その多くは、外国企業の下請け生産である。日本の場合、今でも、技術革新を担うエンジニアたちは、昼に夜におにぎりやサンドイッチを齧りながら研究を続けているのだ…

トルコの社会も忙しくなった?

バスの窓から見ていると、運転しながら携帯を使っている人が多いので驚くという話は、この前も書いたけれど、最近、立て続けに何度か、“運転しながらサンドイッチを食べている人”を見て、これまた驚かされた。しかも、携帯と違って、これは余りトルコの人ら…

名誉の殺人

2004年の3月、南東部のビトゥリス県で、妻子ある従兄と不倫して妊娠した未婚の女性が、部族社会の掟に従った実の弟に撃ち殺されるという衝撃的な事件が報じられた。保守的な南東部の村で、殺された22歳の女性は、危険を顧みずに既婚の従兄と逢瀬を重…

イスラムに同性愛はあるのか?

アブドゥルラフマン・ディリパク氏も、「イスラムに同性愛はあるのか?」というアヴシャル氏の問いに対しては、「イスラムでは、同性愛に限らず、あらゆる非合法的な性接触がハラーム(禁忌)とされている。もう一度言うが、貴方は、女性に一切触れないとい…

アブドゥルラフマン・ディリパク氏

先日の“賢人会議”には、アブドゥルラフマン・ディリパク氏のようなイスラム主義者のジャーナリストも参加していたし、どちらかと言えば政教分離主義に近いリベラルであるタルハン・エルデム氏のような識者も参加していた。様々なカテゴリーに属する人たちが…

街角の売店

新聞は殆どインターネットで目を通すようになってしまったが、日曜日は読む記事も多かったりするので、10分ぐらい歩く所にある売店まで買いに行くことが多い。今日(10月19日)も散歩がてら、のこのこ出かけて来た。売店には、新聞の他、チョコレート…

山を呼び寄せるモハメッドの話

夏目漱石の「行人」に以下のような話が出てくる。我執に苦しむ主人公の一郎(兄さん)に対し、友人のH氏(私)が宗教的な信仰を勧める場面である。 ****************** (以下引用)私がまだ学校にいた時分、モハメッドについて伝えられ…

目のやり場に困る

男は皆“狼”だからと言うわけでもないだろうが、2011年の2月には、コンヤ大学神学部のオルハン・チェケルという教授が、「ローブ・デコルテを着ている女性は、強姦されても文句が言えない」などと発言して物議を醸したことがあった。当時、ミリエト紙に…

天女の恩恵

トルコで、教養のある敬虔なムスリムに、「天国とはどういう所ですか?」と尋ねると、皆一様に口篭ってはっきり答えてくれない。「どういう所なのか良く解りませんが、とにかく良い所なので、私たちはそこへ行けるように善行を積まなければなりません」と説…

男は皆“狼”なのだ

キリスト教では、“マタイ福音書”にも、以下のような記述があり、男が性的な欲情を懐くこと自体、悪と看做されているのかもしれない。「『すべて欲望をもって女を見るものは彼の心のうちですでに彼女を犯したのである』と。もし右の目があなたを迷わすならば…

老人の説教

昨年の2月頃だったか、ある出版社を訪ねて、そこの編集者と話していたら、彼がイスラムとキリスト教を次のように比較したので、非常に興味深く感じた。「キリスト教には、感嘆を呼び起こし、人を興奮させる力があるようだ。これが彼らの発展に寄与したかも…

時間に厳しい男

いつだったか、週刊誌か何かで田中角栄に関する記事を読んだ。20~30年前だったかもしれない。角さんと面識があり、その人柄を良く知っていると思われる記者が、かなり好意的に書いていたように思う。その中に、「田中角栄は時間に厳しい男だ」という件…

報道の事実性

ソウルの延世大学語学堂に通っていた88年、多分、オリンピックが始まる1ヵ月ぐらい前じゃないかと思う。同じ教室の日本人受講生の方から、「新聞の取材に協力して下さい」と持ちかけられた。承諾して詳しく話を聞いてみると、どうやらその方も、同じく語…

旅の記憶

トルコの東部・南東部は、93年と94年の2度に分けて旅行している。94年の旅が6月だったのは確かだけれど、93年は暑かったことぐらいしか覚えていない。当時は、あとで何か書くつもりなど全くなかったから、写真は随分撮ったけれど、他に記録らしい…

非常事態宣言下の旅

クズルック村にいた頃(1999~2003)、近所に高圧電線敷設の技術を持った男がいて、時々、長期間泊り込みで地方へ出かけては、敷設作業に携わっているようだった。いつだったか、その男が南東部ディヤルバクル周辺の山間部で作業してきたと言う。当時、南東…

非常事態宣言下のビトゥリス

1987年~2002年にかけて、南東部のディヤルバクル県等は、非常事態宣言地域となっていた。当時は、PKKとの間で激しい武力衝突が繰り返されていたのだから、止むを得ない処置だったかもしれない。ウイキペディアのトルコ語版を見ると、正規ではな…

ビトゥリスの墓所と犬

10リラの城壁、眺めは素晴らしかったけれど、入場料を取るにしては、整備状況がお粗末だったような気もする。案内板は入口のところに簡単なのが一つあっただけで、望楼などが何処から上がれるようになっているのか、何の標識も出ていなかった。回廊の電気…

10リラの城壁

難攻不落を誇った“テオドシウスの城壁”は、1453年にオスマン帝国の攻撃を受けて陥落し、その後、オスマン帝国時代には修復されなかったのか、現在も多くの部分が崩れかけたままになっているけれど、マルマラ海側の起点近くには、整然とした威容を見せて…

観光ホテルの思い出

35年前に8ヵ月間住み込みでアルバイトした温泉街の観光ホテルは、副社長と専務という肩書きの兄妹である方たちが経営に当たっていた。妹の専務さんは、いつも和服を着こなしていて、いかにも“旅館の女将”という雰囲気だった。 オーナー社長は、65~75…

35年前の日本の信仰旅行

高校を卒業した年、日本の某地方にある温泉街の観光ホテルへ、アルバイトに行った。その年の9月から住み込みで働き始めて、翌年の4月までそこにいた。冬は一晩で2~3mの雪が積もる豪雪地帯で、12月の中旬から翌春にかけて、温泉街はスキー客で賑わう…

メッカへの大巡礼(ハッジ)

メッカへの大巡礼(ハッジ)は、犠牲祭が始まる日に終わるそうだ。トルコから巡礼へ出かけた人たちの日程がどうなっているのか良く解らないが、その多くは、今週中にでも帰路へつくのではないかと思う。 一昨年の10月、トラブゾンからイスタンブールへ帰る…

ISISの攻勢~クルド和平プロセス

ISISに纏わる陰謀論だが、3日付けのサバー紙で、コラムニストのマフムト・オヴュル氏は、昨年6月のゲズィ公園デモから年末の不正事件、そしてISISの攻勢に至る全ての騒乱が、“クルド和平プロセス”に対する妨害工作であるかのように述べている。 こ…

イスラムの屠殺法/ISISに纏わる陰謀論

日本のメディアでも、羊や牛の首を切るイスラムの屠殺法が、話題にされたようだけれど、何故、それの元になっている“ユダヤ教の屠殺法”への言及は少ないのだろう?ネットで検索してみると、各国の動物愛護団体から、「ユダヤ人の屠殺の仕方は残酷である」と…

犠牲祭/ISISのテロ

今日(10月4日)は、犠牲祭の初日だった。トルコの人たちにとっては、日本の正月のようなものじゃないかと思う。昼過ぎてから、サルガーズィまで歩いて行った。40分ぐらい掛かる。途中、方々で生贄が屠られているのを見た。年々規制が強まり、もうイスタン…

城壁の上の激しい抱擁

“テオドシウスの城壁”は、シリヴリ・カプ(門)とベルグラド・カプ(門)の間の区間でも、城壁の上に登ることができた。そして、城壁の上を歩きながら、3ヵ所ある望楼にも、一つ一つ登ってみることにした。この辺りは、観光客が殆ど来ないらしく、城壁の上…

城壁に登る

先週の金曜日は、ギリシャ正教の教会を後にしてから、“テオドシウスの城壁”に沿って、城壁のマルマラ海側の起点まで歩いてみた。ハリチ(金角湾)からマルマラ海まで、だいたい7キロぐらいあるらしい。城壁の上を歩けたら、なお良かったが、階段を上がって…