メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

傀儡国家の失敗

ウイキペディアで満州国の項目にざっと目を通したところ、「満州国に国籍法はなかった」という記述が出て来た。二重国籍を認めない日本からの移民を増やすためだったそうである。 それどころか、日本統治下の朝鮮にも「日本の国籍」を明確に規定するものはな…

日韓併合~満州建国

1910年の日韓併合については、韓国の識者の中から一定の評価を与える意見も出ているようだが、現在の日本の立場でこれを擁護するのは難しいだろう。国際世論からも非難されるのではないかと思う。 なにより、韓国の人たちにとって、併合は非常に屈辱的な…

反日種族主義~戦後の平和という虚構

「反日種族主義」という本が話題になっている。著者の李栄薫教授は、これを「韓国人の自己批判書」と説明したそうだ。書評を読むと、かなり画期的な内容らしいが、韓国の人たちが歴史等について自己批判的な発言を試みるのは、もちろんこれが初めてではなか…

質素倹約派と贅沢三昧派?

ネパール人就学生らと接していて、もう一つ気になることがあった。平気で食べ物を捨てる人が多いのである。コンビニで買い込んで来たパンや弁当を送迎車の中で食べ、半分近く残してゴミ箱へ入れてしまう者もいた。 あまり「もったいない」という感覚がないよ…

ネパール~トルコの喫煙事情

この頃、外国の人たちと出会う機会が殆どない毎日の中で、福岡のネパール人就学生たちとの交流を懐かしく思い出しているけれど、当時、気に障って堪らなかったのが、彼らの喫煙率の高さだった。 もっとも、私も20代の頃は喫煙者だったから、それほど文句も…

鶴橋のコリアタウン

福岡では、ネパールやベトナムの就学生らと一緒に働きながら、いろいろ新しい見聞を得ることもできた。ところが、こちらへ越して以来、全くそういう刺激がない。この街に、外国の人たちは殆ど住んでいないようである。なんだか、寂しい感じがする。 勤務地は…

オスマン帝国の秘宝探し?

一昨日、トルコの古い友人から電話があった。「コンクリートの中に埋まっている金属を透写できる機器が日本にあるはずだ」と言う。 また、何か金儲けのネタでも考えているようだ。 「昔、金属探知機で地中の秘宝を探した人たちがいたけれど、そういう話?」…

シリアのアサド政権の存続?/ハタイ県のアンタキア

これから、シリアの問題がどのようになるのか解らないが、仮に、トルコ政府がアサド政権の存続を認めて問題が解決されたとしても、それほど驚くべきことではないかもしれない。 2005年に、かつて敵対していたトルコとシリアが急速に友好を深めた時も驚か…

北イラク・クルド自治区と北シリア

昨日、ワシントンで開かれた反IS連合の外相会議に出席したチャヴシュオール外相は、トルコによるIS掃討戦の過程を説明すると共に、シリアのクルド武装勢力YPG/PKKがテロ組織であることを改めて強調したという。 10日ほど前には、北イラク・クル…

エルドアン大統領とトランプ大統領の会談/ トルコ語のラテン文字化

エルドアン大統領とトランプ大統領の会談は、特に成果もなかったけれど、とにかく米国との関係が維持されたことでトルコ側は満足しているようだ。 サバー紙のメフメット・バルラス氏は、トランプ政権も、来年の選挙を乗り切るまでは、思い切った手が打てない…

「ついにヒロシマの仇を討った!」

2001年の「911」、クズルック村の工場で事件の第一報を聴いた時も驚いたが、翌日、トルコの新聞を見てぶっ飛んだ。 一面に大きく「ついにヒロシマの仇を討った!」というような見出しが躍っていたのである。 記事は、テロを敢行したのが日本赤軍であ…

アタテュルクの命日

昨日、11月10日は、アタテュルクの命日だった。トルコの各紙のサイトは、アンカラのアタテュルク廟にエルドアン大統領ら政府高官が集まった記念式典の模様をトップページの筆頭で伝えていた。 しかし、非常にイスラム的なアキット紙のサイトを見ると、相…

米国を中心とする世界秩序の動揺?

トルコ大統領府の首席アドバイザーであるギュルヌル・アイベット氏は、出演したニュース専門局CNNトルコの番組で、現在、欧米は、1945年以来続いて来た世界秩序の動揺により、各々の機構に亀裂が生じて意思統一が図れない状態に陥っていると指摘して…

米国の「大中東プロジェクト」は破綻した?

この2002年12月30日付けのインタビュー記事で、退役海軍中将のアッティラ・クヤット氏は、米国によるイラク戦争へトルコも参戦しなければならないと論じていた。 クヤット氏の主張は、既に決定づけられている参戦へ人々の理解を求めるような調子であ…

トルコの新聞記事/ムスリムによる政教分離の可能性

旧ホームページの「メルハバ通信」には、トルコの新聞記事を訳して掲載する欄を設けていた。 2011年の12月まで、252回に亘って続けていたけれど、私のPC上に保存してあったのは、2005年4月の137回までで、残りは手違いから削除されてしま…

ベルギー国籍のIS構成員の送還

トルコ国内で身柄を拘束されたベルギー国籍のIS構成員を、トルコ政府はベルギーへ送還すると発表している。 ところが、ベルギー政府は、IS構成員の国籍を剥奪して送還を拒み、「拘束された国で裁かれるように・・・」などと通達してきたそうだ。 トルコ…

イスラムはどういう宗教なのか?

日本でイスラムの社会について解説された記事を読んでみると、イスラムの教義から説き起こしている例が少なくない。 しかし、トルコでは、敬虔な信者であっても、教義を事細かに知っている人はそれほどいないだろう。 その多くは、礼拝のやり方や飲食などの…

偽りても賢を学ばんを賢といふべし

私の偏見かもしれないが、既存の権威に対する抵抗として生まれたキリスト教と違って、イスラム教は、元々為政者の側に立っているように見える。そのためか、権威に対する反抗は悉く戒められているという。異教徒が支配する社会で、イスラムの信仰を実践する…