メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ネパール~トルコの喫煙事情

この頃、外国の人たちと出会う機会が殆どない毎日の中で、福岡のネパール人就学生たちとの交流を懐かしく思い出しているけれど、当時、気に障って堪らなかったのが、彼らの喫煙率の高さだった。

もっとも、私も20代の頃は喫煙者だったから、それほど文句も言えないが、最近、日本の大学生たちはタバコを吸わなくなったらしい。日本に限らず欧米でも、高学歴者には殆ど喫煙が見られなくなったそうだ。

ネパール人の彼らも決して学歴が低いわけじゃない。日本で大学への進学を目指している就学生もいた。それなのに、タバコを止める気配さえ見せないのは、なんだか時代錯誤のように思えた。

しかし、今はどうなっているか解らないが、トルコも「高学歴者はタバコを吸わない」の類型に当て嵌まっていなかったかもしれない。というより、一部の左派インテリには喫煙を愛する傾向さえ見られた。何故なら、彼らが蛇蝎のように嫌うエルドアン大統領は「過激なタバコ嫌い」として知られているからだ。

敬虔なムスリムであるエルドアン大統領は、もちろんアルコールも全く受け付けないけれど、他人の飲酒に関しては「量を控えるように」と注意を促す程度で禁酒を強要したりしないという。現閣僚の中にも酒を嗜む人はいるだろう。

ところが、喫煙に対しては、かなり厳しい態度で臨んでいるようだ。おそらく喫煙者の閣僚はいないと思う。肥満体がいないのも明らかである。

これに対して、左派インテリの中には、「アタテュルクは酒も飲めばタバコも吸った!」と言い、アタテュルクが喫煙している映像をYouTubeで拡散して喜んでいる者までいる。これこそ時代錯誤の極みに違いない。

大半が左派である映画や演劇の関係者たちも酷かった。撮影の合間に、多くのスタッフが示し合わせたかのように、手巻きタバコを吸うのである。良く見れば、その奇抜な髪型なども彼らの間では一定の類型が見られたりした。あれでどうやって豊かな創造性を発揮し得たのだろう? そして、一様にエルドアンを憎み嫌うのである。

もちろん、真っ当な左派インテリは欧米の例に漏れず、喫煙を嫌っていると思う。CHP元党首デニズ・バイカル氏の夫人は、エルドアン大統領のエミネ夫人から、「主人の政策で何か気に入ったものはありませんか?」と訊かれて、「禁煙法」と答えたそうだ。