メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「細雪」を歩く・桜

谷崎潤一郎の「細雪」を読んだのは20年ぐらい前だったと思う。その頃は既に大阪で2年ほど暮らした後なので、梅田や心斎橋、天王寺といった地名が出て来ると、その辺りの現況を思い浮かべながら読んでいた。一方、主な舞台となった神戸の方になると、三ノ…

照ノ富士優勝!/横綱鶴竜が現役引退

スポーツを観戦して最も感動するのは、やはり逆転勝ちや復活の場面じゃないだろうか。感激しながら、「俺も頑張ろう」と決意を固める。そして、一週間ぐらいで元の自堕落に戻る。これでは駄目だが、一週間でも頑張る気持ちなれたら良い。 しかし、今場所優勝…

エキストラの配役(中国の銀行の支店長?)

《2013年10月5日付けの記事を一部省略して再録》 İKİ KAFADAR CHINESE CONNECTION'IN ÇiNLiLERi - TEASER 2013年のトルコ映画にエキストラとして出演した私の役回りは、中国の銀行の支店長だった。 この予告編の場面では、トルコ人に偽手形を掴ま…

ウイグルの問題はどのように解決されるのか?

以下のYouTubeから視聴できるトルコの報道番組で、ジャーナリストのエミン・パザルジュ氏が述べたところによれば、3月25日、トルコを訪れた中国の王毅外相に対して、チャヴシュオール外相は、新疆省のウイグル人の問題に言及し、中国の政策を批判したもの…

トルコ語の小説「チャルクシュ」

《2012年4月17日付けの記事を修正して再録》 文学が解るわけじゃないし、日本の小説も余り読んでいないけれど、せっかくトルコ語を学んでいるのだから、トルコの小説をもっと読まなければと思いながら、怠けてばかりいた。 それでも、読もうとする意…

少数民族の言語による教育

中国では「中国語による教育」が少数民族にも適用されるようになり、反発の声が高まっているという。つまり、最近までは「少数民族の言語による教育」が行われていたらしい。私は却ってこれに驚いている。 1998年頃に大阪で知り合ったウイグル人の留学生…

同性愛~同性婚の問題

この「似非進歩主義~同性愛の認識」で、同性愛とは「受け」の方だけだと思っていて、「入れるのは、女のアソコだろうと、男のケツだろうと、羊やロバの穴だろうと、変わりないじゃないか!」と言い放ったトルコ人の男を散々こき下ろしたけれど、実のところ…

恋愛は人も社会も発展させるのだ!

《2014年10月27日付け記事を修正して再録》 2004年の3月、南東部のビトゥリス県で、妻子ある従兄と不倫して妊娠した未婚の女性が、部族社会の掟に従った実の弟に撃ち殺されるという衝撃的な事件が報じられた。保守的な南東部の村で、殺された2…

飲酒と同性愛

《2013年6月23日付け記事を修正して再録》 2009年、アルトヴィン県で知り合ったメフメットさんの家族は、夕食に夫婦揃って子供たちの前で酒を飲んでいた。それどころか、共産主義者を自称する高校生の娘もビールを口にしていた。 このため、私は…

トルコの同性愛者(ビュレント・エルソイ氏)

《2016年6月21日付け記事の再録》 エルドアン大統領夫妻と並んでイフタル(断食明けの夕食)の席に座っていたビュレント・エルソイ氏は、1952年の生まれで、現在64歳(2016年当時)。エルドアン大統領と握手している写真は、服装が異なるか…

「似非進歩主義~同性愛の認識」

《2013年5月31日付け記事を修正再録》 「自由恋愛!」という記事に、自分は勝手気ままに複数の女性と遊んでいながら、「それでは、貴方の奥さんもそうやって遊んで良いのですね?」と問われるや、「殺す!」といきり立った“進歩主義者”の話を書いた。…

自由恋愛!

《2008年6月11日付けの記事を一部省略変更して再録》 2008年の6月、イスタンブールで知り合って間もない同年輩のトルコ人とお互いの恋愛観などについて論じあったことがある。 この男は妻子持ちで、宗教は信じていないそうだ。教養があり、自由…

1985年の「テヘラン救出劇」

1985年3月19日、イラン・イラク戦争の最中に、トルコ航空機が、テヘランに残された日本人を救出したという。これは、2004年にNHKのプロジェクトXでも取り上げられた。当時、イスタンブールに居た私に番組を視聴する機会はなかったが、内容を…

男は皆オオカミなのだ!

《2014年10月19日付け記事の再録》 キリスト教では、「マタイ福音書」に以下のような記述があり、男が性的な欲情を懐くこと自体、悪と看做されているのかもしれない。「『すべて欲望をもって女を見るものは彼の心のうちですでに彼女を犯したのである…

ボクシングの名試合とベートーヴェンの四重奏曲

昨日、ハグラー氏を追悼する駄文を書いてから、1981年9月に挙行された「シュガー・レイ・レナード対トーマス・ハーンズ」のウェルター級タイトル統一戦を久しぶりに観た。ハグラーのボクシングは実に芸術的だったものの、最初から相手を圧倒してしまう…

マービン・ハグラーのボクシングと河本元通産大臣の美学?

ボクシングの元ミドル級チャンピオン、マービン・ハグラー氏が亡くなったと伝えられている。66歳の若さだった。コロナワクチンを接種した後で急に体調が悪くなったという情報もネットに出回っているけれど、はっきりしたことは解っていないらしい。 私は小…

「アレム・ダー(山)の野良犬たち」

《2014年9月18日付け記事の再録》 月曜日(2014年9月15日)は、我が家の近くのタシュデレンから、アレム・ダー(山)の山麓を歩き、ポロネーズ・キョイ(村)まで行ってみようと思って出発した。果たして、その道がポロネーズ・キョイ(村)へ…

「イスタンブールには船で行け!」:ラフマニノフのピアノ協奏曲

「イスタンブールには船で行け!」。誰の言葉だったのか忘れてしまったが、1991年の4月に初めてトルコへ渡航する前、何かの本で読んでいたのではないかと思う。 そのため、1991年の4月、私はイスタンブールの空港に降り立つと市街地へ足を踏み入れ…

守るべき「祖国」とは?

イスタンブールに居た2016年の10月、当時、ISが支配していたイラク北部モースルの奪回作戦に関する討論番組を観ていたところ、ある識者は、「古来より中東を大きく二つの地域に分けるならば、それはペルシャの領域とローマ(ルム)の領域である」と…

コロナ・ワクチン接種

警備員とはいえ、一応「医療従事者等」という接種優先の枠内に入るので、昨日、早々とコロナ・ワクチンの接種を受けて来た。21日後に2回目の接種が実施されるらしい。 これに先立って、職場では、接種を受けるように強く要請されてから、リストの「可・不…

2011年の3月

10年前の3月、イスタンブールに住んでいた私は、8日から13日にかけて、ヤロバ、アンカラ、イズミルを仕事で回っていた。 ヤロバからアンカラの道程は大雪の中、8時間も掛かり、翌9日もアンカラでは雪が降り続いて所々交通がマヒしたため、「これは大…

世界は多極化するのだろうか?

米国の中東専門家で元CIA局員だったグラハム・フラー氏が自身のサイトに掲載した「トルコは制御不能か?」という論説の最後には以下のように記されていた。 「・・・米国は国際政治の中で支配的な力を徐々に失っていくため、新しい地域的なパワーを認めな…

綾部山の梅林

今日は姫路の少し先にある綾部山へ梅を見に行ってきた。 2月に行った岡本の梅林は、かつて「梅は岡本、桜は吉野」と歌われたそうだが、今再読中の「細雪」にも描かれている昭和13年の阪神大水害で梅林の殆どが土砂と共に流されてしまったという。そのため…

「人々を『生きる屍』に、社会を『禁止の地獄』に変えてしまってはならない!」(トルコのジャーナリスト)

トルコでコロナによる死者数の累計は2万9千に達したそうである。 政府は、最近になってようやく「普通の生活に戻そう!」と呼び掛け始めたらしいが、元医師のコジャ保健相が相変わらず危機的な状況を訴えたりして足並みがそろっていないようだ。 コジャ保…

ドウバヤズィット/イサクパシャ宮殿

《2009年10月9日付け記事を再録》 「何だもう下りて来たのか、もっとゆっくりしてくれば良いのに」。2時間ほど前に、イサクパシャ宮殿の遺跡まで送ってくれたタクシーの運転手が親しげに声をかけてきた。1994年の6月、私は、トルコも東の果て、…

「主題が祖国であれば残りは瑣末な事柄である!」(アタテュルク)

アタテュルクの言葉に「Söz konusu vatansa gerisi teferruattır.(主題が祖国であれば残りは瑣末な事柄である)」という有名な一節がある。 アタテュルクは祖国を守るため、ラディカルな西欧主義者やイスラム主義者とも手を組んだらしい。カラル紙のイブラ…

「どうぞ貴方が説明して下さい」

《2008年6月13日付け記事を修正して再録》 いつだったか(2006~8年頃)、敬虔なムスリムが多く集まるイスタンブール・ファティフ区のチャルシャンバという街へ出掛けた時のことである。 茶を飲みに入ったカフェで、3人の敬虔なムスリムに囲ま…

トルコの社会の思想的な対立?

トルコでは「イスラム主義」と「政教分離主義」の思想対立が長い間取り沙汰されてきた。私も双方の主張を聞きながら対立の激化を恐れていたけれど、最近は、それよりも外交政策にまつわる「親欧米派」と「ユーラシア派(反米)」の対立が鮮明になってきたよ…

中国とトルコのホスピタリティ

2010年の11月、イスタンブールの市バスの車内で、人の良さそうなおじさんから、「中国人ですか?」と声をかけられた。おじさんは、北京や上海を訪れて来たばかりだそうである。 50歳ぐらいに見えたが、観光旅行で中国へ行けるほどの余裕がありそうに…

韓国の社会の分断と対立?

韓国に語学留学していた1988年頃だったと思う。 左翼の運動家である韓国の女子大生が身分証明書を偽造したうえ、労働者として工場に入り込み、組合活動を企図して、公文書偽造の罪により逮捕された。 その後、数ヶ月だか1年だかの懲役に服していた女子…