メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

世界は多極化するのだろうか?

米国の中東専門家で元CIA局員だったグラハム・フラー氏が自身のサイトに掲載した「トルコは制御不能か?」という論説の最後には以下のように記されていた。

「・・・米国は国際政治の中で支配的な力を徐々に失っていくため、新しい地域的なパワーを認めなければならなくなる」。

これは、中東、そしてトルコについて語られた論説だが、極東でも状況は変わらないような気もする。トルコでは、トランプからバイデンへと政権が変わっても、トランプ政権下で明らかにされた覇権縮小の流れは変わらないのではないかと論じる識者もいる。米国は、自分たちの代わりに中国が世界の覇権国になったら困るが、地域的なパワーで留まるのであれば構わないというスタンスなのだろうか?

トランプ大統領は「中国叩き」に日本も加わるよう要求していたものの、同時に駐留米軍の縮小にも言及していた。これは「中国が覇権国になるのを思い留まってくれたら、後は極東の皆さんが勝手にやって下さい」という意味にも解釈できる。

日本の立場からしたら、中国が地域的なパワーで留まったとしても充分脅威には違いないけれど、それは米国の知ったことじゃないはずだ。

トランプ大統領は、任期の末期、昨年9月の国連総会の演説で「各国が自国民を大切にして国益を優先すべき」と語ったそうである。要するに、「自分の身は自分で守ってくれ」という意図だったのかもしれない。

いずれにせよ、日本は米中の対立がこれ以上激化しないよう努めなければならないと思う。「衝突」などという事態になって、最も大きな被害に見舞われるのは、おそらく日本だろう。それなのに「衝突」を煽る人たちがいるなんて・・・。

この前、友人が「俺たちの世代は、80年代に日本の一番良い時を見ることが出来ただけでも幸せじゃないか。今の若い人たちはもっと可哀想だよ」なんて話していたけれど、いったいどうなるのか?

中国も世界の覇権までは望んでいないような気がする。多極化した世界で米中は結構巧くやっていくのかもしれない。その中で日本はどういう位置にいるのだろう? 私が心配してもしょうがないことだけれど・・・。

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