メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2011年の3月

10年前の3月、イスタンブールに住んでいた私は、8日から13日にかけて、ヤロバ、アンカライズミルを仕事で回っていた。

ヤロバからアンカラの道程は大雪の中、8時間も掛かり、翌9日もアンカラでは雪が降り続いて所々交通がマヒしたため、「これは大変だ!」と悲鳴をあげたりした。

しかし、なんとか日程も無事に済み、夕刻前のフライトでイズミルへ移動する。イズミルは天気も良く、雪とは無縁の世界だった。

10日には気温も上がり、春の到来が感じられた。その翌日、11日の朝、ホテルの部屋でトルコのニュース番組を見ていたところ、速報として「日本で大きな地震が発生した」と伝えられた。

仙台の市街が映し出されたものの、倒壊した家屋などは見当たらず、トルコ人のアナウンサーも「日本の建物は耐震性に優れているので被害はないようです」と落ち着いた声で伝えていた。

ところが、その直後に津波の映像が入って来たのである。自動車や家屋が次々と押し流されて行く凄まじい状況にアナウンサーの声も震え、私は呆然とテレビの画面に見入っていた。

アンカラの大雪で悲鳴をあげたりしたが、雪の中を歩いたのは僅かな間であり、多くの時間を暖かい車の中や室内で過ごし、夜はイスタンブールの自宅より遥かに暖かいホテルの部屋で寝た。悲鳴をあげなければならない状況など何処にもなかった。なんと有難いことだったのか!

あれから10年が過ぎた。2013~16年にかけては、トルコでも悪夢のような出来事が相次いだけれど、私は未だこうして元気に生きている。その幸運に感謝しなければならないと思う。

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