メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ゲズィ公園騒動

小説「イエシル・ゲジェ(緑の夜)」:自分の世界のごたごたで忙しい本来の民衆

「イエシル・ゲジェ(緑の夜):Yeşil Gece」は、トルコ共和国成立後の1928年に出版されたレシャット・ヌーリ・ギュンテキン(Reşat Nuri Güntekin:1889~1956)の小説で、オスマン帝国が崩壊して共和国革命に至る激動の時代を背景にしている。 小説の…

「ゲズィ公園騒動」~ブラジル~「天安門事件」

トルコでは、この「ゲズィ公園騒動」を米国によって焚きつけられた騒乱と見做す“陰謀論”が盛んに論じられていたけれど、今、その後の展開を振り返って見ると、確かに、まったく根も葉もない“陰謀論”としては片づけられないような気もしてくる。 そもそも、事…

ゲズィ公園騒動デモ隊の不甲斐なさ?

エルドアン大統領とAKP政権は、発足した2002年~2009年頃まで明らかに親欧米の政権と見做されていた。 それで、EU加盟交渉にも熱心に取り組んでいたけれど、反対派は「EUはトルコ軍の弱体化を狙っている」と主張していた。中には「EUの要求…

ゲズィ公園騒動の背景

2013年6月の騒動の舞台となったゲズィ公園の辺りには、オスマン帝国時代に軍の兵舎として設営された建物があったらしい。 この建物は、1940年にアンリ・プロストというフランス人建築家の都市計画にもとづいて取り壊され、その跡地がゲズィ公園にな…

2013年6月1日の「ゲズィ公園騒動」

今日(6月1日)であの「ゲズィ公園騒動」から8年が経過したことになる。 私は4年前の6月1日にも「トルコの“激動の4年間”」という駄文を書いて、「ゲズィ公園騒動」から過ぎた4年間を振り返ってみた。 その中で、“激動の4年間”の要因がアフメット・…

2013年6月1日の「ゲズィ公園騒動」

今年の4月に閉鎖となったホームページ(メルハバ通信)の「トルコ便り」に掲載されていた駄文をこのブログに再掲載する作業もなかなか進まないので、とりあえず、2013年6月の分を先に終わらせてみた。 あの「ゲズィ公園騒動」が勃発した6月である。 こ…

トルコの“激動の4年間”

2013年6月のゲズィ公園事件から4年が過ぎた。トルコにとっては、まさしく“激動の4年間”だったと言える。ゲズィ公園事件の当時も、トルコでは、この事件を外国によって焚きつけられた騒乱と見做す“陰謀論”が盛んに論じられていたけれど、今、その後の“…

イスラム勢力が再び結束?

昨日、ジェマート(教団)の友人と久しぶりに会って話した。5~6年ぶりだったのではないかと思う。ジェマート(教団)とは、フェトフッラー・ギュレン師のジェマート(教団)。かつて、彼らはジェマート(教団)と呼ばれるのを嫌がっていたけれど、最近は…

イリアスの韓国語訳

6月1日は、タクシム広場近くの韓国料理店“タクシム”で、韓国製(?)催涙ガスの匂いを嗅ぎながら、中国式の“マンドゥ(餃子)”を御馳走になったが、その前に、タクシムにあるもう一つの韓国料理店“カヤ”にも寄ってきた。“タクシム”は、93年頃にイズミル…

アサドの問題はその母堂

AKPは、既に8ヶ月後の選挙に向けて準備を始めたようだが、第一野党のCHPは何をしているのだろう? CHPは、今回の騒動が始まる遥か前、AKP市政が再開発計画を発表した時点で、ショッピングモールなどにより不利益を被る周囲の自営業者らに呼びか…

恐るべしエルドアン

この2週間ぐらい、日本でも連日トルコ関連のニュースが報道されていたようだ。“YouTube”に、「トルコ」で検索をかけると、毎日新しいニュースが必ずいくつかヒットしていた。中には、公園を占拠した若者たちのテントを訪れて、なかなかロマンティックに取材…

抱擁・無料!

抗議デモ騒動の経緯、日本でも大袈裟に報道されていたようだから、皆さん御存知ではないだろうか。エルドアン首相は、工事の中止を求めていた訴訟に対する裁判所の決定を待ち、尚且つ住民投票を行うと譲歩を示したが、一部のデモ隊がそれでも公園を占拠し続…

イスラム教導師養成高校

昨年の5月、黒海地方ユンエで歴史科の教員を務めている友人ネヴザットさんの長男が結婚し、私もその式に参席して来た。ネヴザットさんは敬虔なムスリムで、彼の親族には“イマーム・ハティップ・リセスィ(イスラム教導師養成高校)”を卒業した人が多い。弟…

フェトフッラー・ギュレン師の論述

一昨日のジュムヒュリエト紙に掲載されたフェトフッラー師の論述、元はフェトフッラー師のウエブサイトに掲載された記事らしい。 昨日は、ジュムヒュリエト紙の“独裁政権を作るな”という見出しと最後の部分だけ読んで、そうなのかと思ってしまったけれど、改…

陰謀説

今回の騒動、「樹木を守ろう」と言って、公園に立て篭もっていた人たちを、警官隊が放水車と催涙弾で、それも未明に奇襲するような手を使って排除しようとしたのが発端だった。これには、政治や宗教的な信条を異にする多くの人たちが反発を示した。警官隊が…

大丈夫か?

昨年、トルコ人の知人と飲んでいたら、彼がこんなことを言う。「トルコの建設会社の施工技術は、もう先進国に引けをとらない。だから、設計の面で先進国に協力してもらえれば、施工は我々だけで出来る」トルコの建設業界は、周辺国からたくさんの工事を受注…

“人間らしく”飲む?

昨日は、ベイオールにある“アヴェスタ”という出版社の方に呼ばれて出掛けたけれど、せっかくだから、メジディエキョイから歩いて、ゲズィ公園、タクシム広場も通って見た。公園に集まった人たちは、テントも用意して長期戦の構えだ。相変わらず、歌ったり踊…

“白いトルコ人”と“声無き民衆”

作家のアレヴ・アラトゥル氏は、今年になって「ベヤズテュルクレル・キュストゥ(白いトルコ人はむくれている-?)」という著作を上梓している。“白いトルコ人”というのは、西欧的な生活スタイルを身につけたエリート層を指す造語で、AKP政権に対してむ…

騒動の行方

フェトフッラー教団は、“クルド和平交渉”などで、AKP政権(特にエルドアン首相)との齟齬が取り沙汰されていたけれど、今回の騒動でも政権の対応を厳しく非難したりして、いよいよ対立が鮮明になって来たような気がして興味深い。 一説によれば、この対立…

騒乱はもうたくさん

一昨日の土曜日、タクシム広場から警官隊が撤退して一段落ついた後、やはり気になったのか、広場まで様子を見に行った崔さんは、韓国料理店に戻って来ると、「あいつらはデモのやり方も解っていないのか」と呆れていた。 「広場を占拠したら、直ぐ仮設の舞台…

戦いすんで一夜明けて

今朝、いつも通りに、オスマンベイの“韓人教会”に出かけたら、ミサはとっくに終わっていた。今日も、タクシムでデモが予想されていたため、2時間ほど早く始めたそうだ。 せっかくヨーロッパ側まで出て来たのに、そのまま帰ってもしょうがないから、雨が降る…

餃子は中国式、催涙弾は韓国製?

今日、ヨーロッパ側新市街の中心タクシムにある韓国料理屋に、イズミルから出て来ている崔(チェ)さんを訪ねたら、周囲は騒然とした状態だった。タクシムの広場に隣接する“ゲズィ公園”という緑地が取り壊され、跡地にショッピング・モールを備えた大きな建…