メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

“人間らしく”飲む?

昨日は、ベイオールにある“アヴェスタ”という出版社の方に呼ばれて出掛けたけれど、せっかくだから、メジディエキョイから歩いて、ゲズィ公園、タクシム広場も通って見た。
公園に集まった人たちは、テントも用意して長期戦の構えだ。相変わらず、歌ったり踊ったりして楽しそうにやっている。
しかし、周囲の商店の中には、渋い顔をしている人たちもいた。客足が途絶えて、売り上げに響くという切実な理由もあるが、公園で、これ見よがしにビールを飲んでいたりするのも不愉快なようだ。
酒類販売規制の強化”をやり過ぎだと論じていた人まで、「そのぐらい締め付けてやった方が良いのでは・・・」と言い出している。我々“酒飲み”にとっては、こちらの方が切実な問題だろう。
アヴェスタ出版の催しは、1991年、憲兵に謀殺されたヴェダット・アイドゥンというクルド人に関する講演だったが、全てクルド語による講演で、トルコ語の通訳もなかったから、ちょっと困ってしまった。

ただ、講演の模様を撮影している青年が、エロル・ミンタシュという映画監督に良く似ていたので、声を掛けて見たら、彼はエロル氏の弟だそうで、まあ、わざわざ来た甲斐があったかもしれない。
エロル氏とは、昨年の夏、詩人の高橋睦郎さん、作家の澁澤幸子さんとベイオールの居酒屋“ボンジュク”で飲んでいたところ、隣席となって少し話したことがある。こうして縁が出来たから、また何処かで会えるのではないかと期待したい。
講演会場を後にしてから、そのベイオールの居酒屋の辺りにも足を延ばしてみた。未だ5時頃じゃなかったかと思うが、何処の居酒屋も多くの人たちで賑わっていた。
酒類販売規制の強化”が、予定通り9月以降に実施されたとしても、販売時間が制限されるのは小売店だけで、居酒屋等に営業時間の制限は設けられないようだから、この賑わいが変わることもないと思う。もっと賑わったりして・・・。
今日、あの黒海地方のユンエで教員やっている友人から電話があったので、「これから、“酒飲み”が白い目で見られるようになりはしないかと心配です」と訊いてみた。
友人は敬虔なムスリムで、もちろん酒は飲まないが、この問いに、「居酒屋などで“人間らしく”飲んでいる人に、私たちは何の不愉快も感じていないから心配しないで・・」と笑って答えてくれた。
“人間らしく”は、“アダム・ギビ”というトルコ語の訳だけれど、この“アダム・ギビ”は、いつも何と訳して良いのか困ってしまう。
トルコのツボルグ・ビールは、最近、「“アダム・ギビ”ビール!」と宣伝している。これを“人間らしいビール”とは訳せない。“真っ当な”“堂々とした”という意味になるんだろうか? 

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