メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

戦いすんで一夜明けて

今朝、いつも通りに、オスマンベイの“韓人教会”に出かけたら、ミサはとっくに終わっていた。今日も、タクシムでデモが予想されていたため、2時間ほど早く始めたそうだ。

せっかくヨーロッパ側まで出て来たのに、そのまま帰ってもしょうがないから、雨が降る中、ぶらぶらとタクシムまで歩いて行った。

昨日、大騒ぎになっていた広場と公園は、雨も降っていた所為か、それほど混雑もなく静かで、デモが起こるような気配はなかった。

公園では、抗議活動のメンバーと思われる若者たちが、殊勝にも、清掃に精を出していた。メーデーなどでも、「労働者の何とか~」と叫んで大騒ぎした挙句、ゴミを散らかしたまま帰って、いつも非難されていたから、なんとか名誉挽回に努めていたようだ。

しかし、ゴミ袋を運び出すのに、たくさんのメンバーを並べて手渡しリレーでは、なんとも気合が入らないように見えた。ゴミ袋を担いで行けば良いじゃないか。どうも楽をしたがるから困る。

広場では、昨日の騒動で破壊された警察の車両を囲んで記念写真を撮っている連中もいた。

イスティックラル通りに入ると、銀行のATMが至る所で破壊されている。デモに便乗した不良の仕業と思われるが、人々はこれを見て何と思うだろう。所々、商店の窓ガラスも投石で穴が開いていた。

今回の抗議デモ、MHP(民族主義行動党)のような右派からも参加者があったと報道されていたけれど、やはり左派政党支持者が圧倒的に多かったように思える。左派政党は、国政選挙で、大概20%ぐらいの得票率しか取っていない。“民衆の抗議運動”とは言い難いのではないか。

与党AKPも50%ほどの得票率で、微妙なバランスの上に乗っかっているから、選挙による政権の交代は充分可能なはずだが、その為には、大多数を占める中道右派支持層の心を掴まなければならないと思う。

この人たちは、それこそ額に汗して働く労働者であったり、なかなか休日も取れない中小の自営業者だったりして、公園の樹木などには余り関心がない。酒もそれほど飲む人は多くないから、酒類販売の規制にも抵抗は少ない。かなりの人たちが、今回の抗議デモを冷ややかな目で見ていただろう。デモによって営業を妨害された自営業者は尚更である。

昨日、警官隊の撤退を決断したエルドアン首相は、さらに「ショッピング・モールは決定事項ではない。まだ話し合いの余地がある」として、早くもショッピング・モールについては譲歩を見せた。

ショッピング・モールは、一部の自営業者にとって死活問題となるから、左派政党支持者もこれに焦点を合わせて、抗議活動すれば良かった。他にも、工事期間中の休業補償であるとか、いろいろ突っ込める問題はあったと思う。

それなのに「公園の樹木を守ろう」では、「私らの生活はどうでも良いのか?」と気分を悪くした人もいたに違いない。

抗議デモは未だ終結していないし、今後の政府の対応を見ないことには、何とも言えないが、この騒動で最もポイントを稼ぐのは、またもやエルドアン首相になってしまうかもしれない。

 

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