メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

天才の自尊心?

《2014年10月31日付け記事の再録(2)》 私はこの「カシアス・クレイ (1972年) 」を、中学生の頃に読んだのではないかと思う。不世出の天才ボクサー“モハメド・アリ”の半生が綴られている。 著者のトレス氏もライト・ヘビー級の名チャンピオンとし…

イズミルの地震/ユルマズ元首相の訃報

イズミルの地震は、今朝、トルコ人の友人がフェイスブックに投稿したメッセージで知らされた。 イズミルは、1991年に初めてトルコを訪れて1年暮らした思い出深い街である。私のトルコにおける故郷と言っても良い。とは言うものの、1999年に半年ほど…

[キンシャサの奇跡]

《2014年10月31日付け記事の再録(1)》 1974年の10月30日、コンゴのキンシャサで挙行されたボクシングのヘビー級タイトルマッチで、モハメド・アリがチャンピオンのジョージ・フォアマンを8回KOに降した。これを、私たちのようなファン…

「何故、宗教を信じるのだろう?」

《2019年12月9日付け記事を再録》 パキスタンの物理学者パルヴェーズ・フッドボーイ氏は、2001年に著した「ムスリムと西洋 - 9 月 11 日の後」(学習院大学教授田崎晴明氏訳)という論説の中で、「イスラム教は- キリスト教、ユダヤ教、ヒンド…

「イスラムの問題/優越と劣等の葛藤」

《2019年12月7日付け記事を加筆して再録》 2015年の12月に“Haberturk”で放送された番組でメルヴェ・カヴァックチュ氏(女性)は、アメリカのイスラムフォビアを変動局面的な問題であるとして、かなり楽観的に見ていたものの、ヨーロッパのイス…

米国の社会でも「分断と対立」

大統領選挙を前にして、米国でも「分断と対立」が騒がれているようだ。 私に米国の状況は良く解らない。確かに、人種差別の問題もあり、あまり穏やかにまとまっている印象は得られないが、その「分断と対立」は、いつ頃から現れていたのだろう? 有色人種が…

トルコの社会の「分断と対立」

私はトルコで、まず1991年~94年まで3年間暮らし、それから4年間のブランクを経て1998年~2017年まで過ごした。 私が初めてトルコを訪れてから、既に30年が過ぎようとしている。この30年の間で最も大きな変化は、やはり産業化、そして都…

淡路島へ・・・

今日、夜勤明けの空がとてもすっきりしていたので、舞子浜の駅で途中下車して明石海峡大橋を渡り、淡路島の洲本まで行ってきた。 三ノ宮を出る前に、海峡大橋を渡るバスの時間ぐらいは調べていたけれど、行った後は何を見てどう帰って来るのか殆ど考えていな…

何でも折衷させるのが巧いトルコの人たち

Ma Lana Mawlan SiwAllah - ASFA Temiz Kalpler Korosu (TRT) このYouTubeの動画は、2018年の「ラマダン祭」にイスタンブールのエユップ・スルタン・ジャーミー(モスク)前に設けられたイベント会場で、児童コーラスグループがアラビア語の宗教歌を歌っ…

犠牲の羊も切られる前には頭をなでられる?

キプロス問題の変遷を振り返ってみると、トルコのEU加盟交渉とはいったい何だったのかと思わされてしまう。 EU側の示した条件には「キプロス問題の解決」があったけれど、要するに「北キプロスを手放せば」ということだった。この北キプロスに限らず、民…

北キプロスの大統領選挙

一昨日(10月18日)行われた北キプロス共和国の大統領選挙で、現職のムスタファ・アクンジュ氏が敗北し、エルシン・タタル氏が新大統領に選出された。 南キプロス(国際的に承認されているキプロス共和国)との再統合を目指していたアクンジュ氏が、独立…

マルカル・エサヤン氏の訃報

アルメニアとアゼルバイジャンの紛争が報道されて以来、私は、アルメニア人のマルカル・エサヤン氏がこの問題に対して、どのような意見を述べるのか気になっていた。 トルコの政権党AKPの議員であるエサヤン氏は、アクシャム紙に週2回コラム記事を書いて…

アルメニア人の才能

先日、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争について書かれたトルコ紙の記事を読んでいたところ、「ロシアのラブロフ外相はアルメニア系」という記述があった。ちょっと調べてみたら、ウイキペディアの英語版にも「父親はアルメニア人」と記されていたので、…

中央アジアからやって来た「トルコ人」がアナトリアにもたらしたものは?

中央アジアからやって来た「トルコ人」は、アナトリアに何をもたらしたのだろう? まず、「セルジューク朝」という権力機構をもたらし、それから「オスマン帝国」を築き上げた。 オスマン帝国は、イスラム教を統治理念に掲げ、トルコ語にアラビア語やペルシ…

トルコ語は強い言語?

イランで、アゼルバイジャン(アゼリー)系のハメネイ師がトルコ語を話すことは知られていたが、あのアフマディネジャード前大統領も、それほど上手くはないものの結構トルコ語を話すようだ。 アフマディネジャード前大統領は、アゼルバイジャン系の住民が多…

トルコ語の時代?

2014年に亡くなったクルド人の友人は、まだ元気だった頃に、イランを旅行していた。2010年か2011年だったと思う。 友人は西北部のタブリーズで、非常な歓迎を受けたそうだ。タブリーズの辺りは南アゼルバイジャンとも言われ、住民の殆どがアゼル…

トルコのアルメニア人とユダヤ人

1992年の7月、イスタンブールの学生寮のホールで、テレビを観ていたところ、ニュースがトト・カラジャという女性演劇人の訃報を伝え始めた。 前に座っていた学生に訊くと、「優れたトルコの演劇人で非常に残念です」といったような哀悼の意を表する。し…

車椅子の乗客:日本とトルコの相違

先日、JR三ノ宮駅のホームで、電車から降りる車椅子の乗客を2人の駅員が手伝っている光景を見た。 まず、電車とホームの間に専用のプレートを敷き、その上を通して慎重に車椅子をホームに降ろし、駅員の1人が先導する後を、もう1人の駅員が車椅子を押し…

トルコにおけるアルメニア系・アゼルバイジャン系の人々

トルコでは、アルメニアとアゼルバイジャンの紛争に対して、アゼルバイジャンへの支持を叫ぶ右翼的な人たちがデモ行進したりしているらしい。中には、アルメニア教会の前でアゼルバイジャンの国旗を掲げて行進する連中まで現れたため、いくつか新聞のコラム…

アルメニアとアゼルバイジャンの紛争

ナゴルノカラバフを巡るアルメニアとアゼルバイジャンの紛争、日本では、いったいどれくらいの人たちが注目しているのだろう? 紛争や戦争には興味があっても、アルメニアとかアゼルバイジャンが何処にあるのか、そんなことにさえ大して関心を抱いていない人…