メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アルメニアとアゼルバイジャンの紛争

ナゴルノカラバフを巡るアルメニアアゼルバイジャンの紛争、日本では、いったいどれくらいの人たちが注目しているのだろう? 紛争や戦争には興味があっても、アルメニアとかアゼルバイジャンが何処にあるのか、そんなことにさえ大して関心を抱いていない人も少なくないような気がする。

トルコも2016年7月の「クーデター事件」を境にして、大規模なテロは起きていないが、それと共に日本のメディアで取り上げられることも滅多になくなってしまったようだ。たまに話題になっているのは止まらないトルコ・リラの下落ぐらいだろうか?

なんて言いながら、私もナゴルノカラバフの紛争については格別な関心があるわけでもなく、特に詳細を調べたこともなかった。コーカサス地方は、この200~300年来、オスマン帝国ロシア帝国の狭間に位置したため紛争が絶えなかった。年代はもっと遡ることができるかもしれない。私の認識もそんなところに過ぎない。

現在は、暇な時間もそれほどない所為か、今回の紛争に関しても『ああまた始まったか』ぐらいの印象で、トルコの新聞の各関連記事をネットから拾い読みしている程度だ。

もちろん、トルコは友邦のアゼルバイジャンを支持しているから、多くの記事がアルメニアに対して批判的である。「経済的に困難な状況にあるパシニャン政権が国民の関心を逸らすために企図した」などという論説も見られたが、それに近いところはあるかもしれない。

アルメニアは、周囲をアゼルバイジャングルジア、トルコ、イランに囲まれ、海に面していないばかりか、ロシアとも国境を接していない。国内にこれといった産業もないから経済運営は非常に難しいだろう。

トルコには、もう随分前から出稼ぎに来ているアルメニア人がたくさんいた。エンジニア等の職種に従事している人もいたそうだが、その多くは家政婦といった仕事に就いていたようである。

私の友人の家にも、一時期、アルメニアから来た家政婦さんがいて「アルメニアの料理を作ってくれる」なんて話していたものの、それをもともとトルコに住んでいるトルコ国民のアルメニア人に伝えたら、「それは田舎の料理で私たちの料理とは全く違います」とつまらなそうに言われてしまった。トルコのアルメニア人の料理としては「ムール貝のピラフ詰め」が有名だけれど、海のないアルメニアでは無理な料理に違いない。

さて、サバー紙のハサン・バスリ・ヤルチュン氏のコラム記事によれば、親西欧のパシニャン政権が誕生して以来、親ロシア的だったアルメニアとロシアの関係は悪化していた。そのため、今回もロシアは積極的にアルメニアを支援しようとしていない。

おそらく、ロシアは、アルメニアアゼルバイジャン領内に確保している7地域の内、5地域をアゼルバイジャンが奪回するまで静観してから調停に乗り出すのではないか、このようにヤルチュン氏は見ているようだ。

いずれにせよ、トルコもロシアも大々的に介入するつもりはないようだから、この紛争が大規模な戦争に至る可能性は余りなさそうだ。また、そう祈りたい。

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