メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アルメニア人の才能

先日、アゼルバイジャンアルメニアの紛争について書かれたトルコ紙の記事を読んでいたところ、「ロシアのラブロフ外相はアルメニア系」という記述があった。ちょっと調べてみたら、ウイキペディアの英語版にも「父親はアルメニア人」と記されていたので、おそらく事実ではないかと思う。

ロシアでは、ソビエト時代のミコヤン外相がアルメニア人だったことが良く知られているけれど、アルメニア人は政治に限らず、世界の様々な分野で活躍してきたようだ。

日本で馴染みのある例を挙げるならば、「ロッキード事件」のアーチボルト・コーチャン氏もアルメニア人であるという。私は、30年ぐらい前、神田辺りの書店で立ち読みした本の記述から、この「コーチャン氏はアルメニア人」を知るに至った。書籍の表題すら覚えていないが、それは「アルメニア人が如何に優秀で恐るべき民族」であるかを明らかにした一冊であったと記憶している。

その中で、コーチャン氏について記された件は、まさしくアルメニア人の恐ろしさを際立たせるものだった。著者によれば、米国の意向を気にせず独自の外交を展開しようとした田中角栄首相は、トルコとの協力関係も築こうとしていたため、トルコを恨むアルメニア人のコーチャン氏が自ら犠牲になって田中首相を罠に嵌めたというのである。

もちろん、これの何処までが事実を反映しているのか解らない。そもそも、田中首相がトルコに接近していたというのは本当だろうか?

日本では、マクドナルドの藤田田氏がアルメニア人の商才を「ユダヤ人が3人束になっても敵わない」なんて評した話も「何処に根拠があるのか?」と批判されているけれど、それと同じ類の俗説であるような気がする。

トルコでも、「アルメニア人の商才云々」という話は出回っているものの、商才に関しては「ユダヤ人」のイメージが一層強いのではないかと思う。

それより、トト・カラジャ氏やオンノ・トゥンチ氏に代表されるように、「芸術的な才能のある人たち」というイメージが勝っているかもしれない。

私にとってもアルメニア人は、イスタンブールアルメニア教会で美しい讃美歌に魅了された経験もあり、「音楽的な才能」が真っ先に思い浮かんでくる。ハチャトリアン作曲の旧ソビエトアルメニア共和国国歌も実に素晴らしい。


Anthem of the Armenian SSR (With English Subtitles!!!)