メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

愛国歌

94年頃、イスタンブールで出会ったロシア人の青年は、ソビエトが大嫌いだったと言うのに、私が「ソビエト国歌」の冒頭をちょっと口ずさんで見せたら、スクッと立ち上がって最後まで朗々と歌い、「でも、この歌だけは好きだった」と話していた。

ソビエト国歌」は、後に歌詞を変えて、「ロシア国歌」として復活している。私もあの歌のメロディは大好きだ。数ある国歌の中でも最高の傑作じゃないかと思う。私たちの世代までなら、「オリンピックで、米国国歌と共に最も多く演奏された曲」として、そのメロディが耳に馴染んでいる方も多いに違いない。

しかし、「ソビエト国歌」を朗々と歌ってくれた青年が「ソビエトは大嫌いだった」と表明していたように、「国歌」が好きなのと、その「国家」が好きであるかは全くの別問題だろう。

さて、「古今の国歌の中から5曲を上げよ」と言われたら、「ソビエト国歌(現ロシア国歌)」と共に、イスラエルの「ハティクバ」、旧ソビエトアルメニア共和国の国歌、ブラジルの国歌、そして韓国の「愛国歌」を上げたい。

「愛国歌」は韓国で、「この国は嫌いでも、この歌だけは好きだ」と言う人もいるのかどうか分からないが、多くの人たちから愛されているため、「反日」以外で使える希少な国民統合の装置であるような気もする。もっとも、作曲の安益泰氏も作詞の尹致昊氏も極めて親日的な人物だったらしい・・・。

87年の大統領選挙で、当時、反政府感情の激しかった光州に遊説した盧泰愚候補は、卵や様々なものが投げつけられる中、防弾ガラスに囲まれて選挙カーの上に立ったものの、何か話しても聞いてもらえるような状況ではないと判断したのか、「皆さん! 一緒に愛国歌を歌ってください!」と叫び、独りマイクを手に愛国歌を熱唱していた。

ところで、ウイキペディアで「愛国歌」のページを見ると、「韓国の市民権を得るための試験のひとつに、『愛国歌の1番を(何も見ずに)歌う』という項目がある」なんて記されているけれど、それなら私は少なくとも試験のこの項目を楽々とパスすることができる。

87年、ソウルは延世大学語学堂の授業で、しっかり教えられたうえ、もともと好きなメロディだったから、今でも1番はすらすら歌うことができる。けれども、トルコの語学学校では、そういう授業がなかったため、トルコの国歌は殆ど歌うことができない。


韓国国歌 愛国歌 애국가


Государственный гимн СССР


Anthem of the Armenian SSR (With English Subtitles!!!)


Israeli National Anthem - "Hatikvah" (HE/EN)


Brazilian National Anthem - "Hino Nacional Brasileiro" (PT/EN)