メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

2008-01-01から1年間の記事一覧

寒さと悲しさの相乗効果

リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲の冒頭、あの夜明けの場面を聴くと、何だか雄大な山の景色が迫ってくるように感じられますが、あれは果たして、本当に曲を聴いてから山の景色が連想されたのか、それとも、もともと“アルプス交響曲”と銘打ってある…

動物の屠殺

上記の駄文でお伝えした韓国人の御夫婦は、イズミルの近郊に農場を持っていて、この2001年の訪問では、農場の方にも案内してもらいました。 御主人のパクさんに案内されて農場についたら、いきなり大きなシェパードが躍り掛かって来たけれど、尻尾を振っ…

アレヴィー派の犠牲祭

犠牲祭が始まった昨日の昼、私は家から歩いて30分ほどのところにあるアレヴィー派の礼拝所へ出掛けました。犠牲祭を祝う人々で賑わう礼拝所の広い敷地の一角には、大きな仮設テントが設けられ、中では生贄にされる羊たちがひしめき、外の“臨時屠殺場”では…

ほほにかかる涙

94年に3年暮らしたトルコから戻って来て川崎の産廃屋で働き始めた頃、川崎駅前のCD店で“ゴールド・コレクション”という60年代の洋楽を集めたCDを買って来て良く聴いていました。 ママス&パパスの「夢のカリフォルニア」とかプラターズの「オンリー…

多文化主義と国際交流

90年頃だったか、もう少し後のことだったか忘れてしまいましたが、韓国の政治家が日本のテレビ局のインタビューに答えて、「我々は大きなシンガポールを目指す」と語っていたのが印象に残っています。シンガポールのような多文化主義の国になるという趣旨…

日本の女性は必ず貞操を守る?

2000年には、都合4回に亘って北キプロス共和国へ足を運びました。今回の話は、その4回目のことじゃなかったかと思います。 例によって、タクシーを相乗りで利用しようと、空港で同乗者を物色していたところ、如何にも田舎丸出しで人が良さそうにニコニ…

イスタンブールでボーイ・ハント?

先月、トルコの新聞に掲載された「ノルウェイの森」の書評から、「・・・保守的で伝統を重んじる国と言えば、真っ先に思い浮かぶ日本で、しかも1968~9年に、人々は信じられないくらい気楽に性を営んでいる」という件を御紹介したけれど、こういう話は…

ノルウェイの森

2004年だったか、ギリシャへ行くバスに同乗していた韓国人の若い女性二人から、いきなり「ハルキ、読んだことあります?」と訊かれた時は、ちょっと面食らってしまいました。 韓国では、既に“ハルキ”で通っているんでしょうか。しかし、彼女たち、旅に出…

多様性は豊かさなのか?

オスマン帝国の時代、シリア正教の総主教座はマルディン県に所在していましたが、現在はシリアのダマスカスにあります。スリヤーニと呼ばれるシリア正教徒の方から聞いた話では、共和国の初期(1932年)に当時の総主教が亡くなり、後継者はマルディンで…

韓国人の親戚

昨日、「少なくとも明治以降、親族に韓国人がいたという話は聞いていません」と記しましたが、親族に韓国人の女性と結婚した男性はいます。父の叔母の次男で、まあ“親戚のおじさん”です。 父の家は戦前、浅草で料理屋をやっていたそうで、父の叔母はそこの板…

韓国人の血

89年、韓国の会社の東京支社で働いていた時、来日した本社の連中と取引先を回ってから、上野駅近くのホテルに案内したところ、「まあ貴方も一杯やっていきなさい」と誘われたので、一つの部屋に5~6人の一行全員が集まって始めた酒盛りに私も座らせても…

吉田茂とアタテュルク?

日本へ里帰りしていた友人が買って来てくれた以下の本を読みました。 日本の歴史の中でも、とりわけこの辺りの事情は殆ど解っていなかったので非常に新鮮でした。 20年前、韓国へ行った頃は、日本の歴史について問われたり、議論を吹っかけられたりしたも…

トルコの魅力は「親日」だけなのか?

トルコは良く親日国と言われているものの、トルコのマスコミで日本が話題になることは滅多にないし、全般的に日本への関心は極めて低いように思えます。 トルコの人々に、アンケートで“好きな国”を問うた場合は、日本が上位に登場するそうですが、日本と答え…

産廃屋の思い出

この4月から6月にかけて内輪のネット・サークルに、昔、産廃屋でダンプの運転手をやっていた時の思い出話を綴っていたら、結構興味深いものに思われたようなので、少し手直ししたうえ、ここにも掲載することにしました。尚、登場する人たちの名前は私を除…

辞書を引け!

先日、6月22日の“便り”に、“乱痴気騒ぎ”と書かなければならないところ、『“らんちき”?“らんきち”?』と迷ったあげく、“乱キチ”とする大間抜けをやらかしてしまいました。 最初に“らんちき”と打って変換したら“羅んち器”と出てしまい、『あれっ、違ったか…

ワールドカップの思い出

昨日の“便り”でサッカー欧州選手権を観戦する人々の熱狂ぶりをお伝えしたけれど、私はサッカー欧州選手権についてとんでもない勘違いをしていました。この選手権は毎年行なわれるものだと思っていたのです。確かに、4年に一度の大会では熱狂したくもなるで…

トルコ大勝利!

6月20日の晩は、“誕生パーティー”の後、スルタンアフメットからタクシムに出て、いつものようにコズヤタウ行きのバスに乗りました。 タクシムを11時5分前ぐらいに出発したバスは、人々がトルコ対クロアチア戦を放映するテレビの前に釘付けになっている…

どうぞ貴方が説明して下さい

いつだったか、敬虔なムスリムが多く集まるファティフ区のチャルシャンバという街へ出掛けた時のことです。茶を飲みに入ったカフェで、敬虔な3人のムスリムに囲まれ、望みもしないのにたくさんイスラム教の話を聞かされてしまいました。 一人は、鍔のない白…

トルコ・コーヒー

コーヒーハウスは、オスマン帝国の時代、17世紀にイスタンブールで開業したのが発祥と伝えられているくらいで、トルコにはコーヒーを嗜んできた長い歴史があります。その伝統的なコーヒーは、豆を粉末状に挽いて煮出し、濾さないまま粉がカップの底に沈殿…

自由恋愛のすすめ

先日、前にも何度か顔を合わせ、いろいろ話を聞いてみたかったトルコ人男性に偶然会ったので、良い機会だと思って長々話し込んでしまいました。 男性は教養のある40代の妻子持ち。宗教は信じないと言い、イスラム的な傾向やスカーフの女性を痛烈に批判して…

結婚の為の三高条件?

いつも朝は7時半に起きるつもりでいるのに、最近は7時前に目が覚めてしまうことが多く、『また血圧が高くなっているんじゃないか』と心配です。寝るのは1時ぐらいだから、そんなに睡眠が足りていないわけでもないけれど、昔は朝目覚ましを掛けなければ、…

ビュレント・エジェビット氏

昨日の昼、家の前の道路を通行止めにして、大きな音を立てながら掘り返していたので、『何の工事だろう?』と作業をしている人に尋ねたら、インターネット用の新しい回線を敷設する工事なんだそうです。今私たちの利用しているインターネットは時々接続が切…

職人気質

ちょうど1年前の6月の“通信”に、「目標は大西洋」と題して、イスタンブールとイズミルの靴メーカーにおける見聞を記したけれど、先月、このイズミルの婦人靴メーカーを再訪する機会に恵まれました。今回は、経営に携わっている次女と三女に、もう少し詳し…

何の御用でしょう?

先週の木曜日、近所のドライ・クリーニング取次店に初めてワイシャツを三枚お願いしたところ、受付にいた愛想の良い兄貴は、私の名を尋ねてそれを台帳に書き込み、「土曜日には上がっていると思います」と言うだけで、伝票も切りません。 まあ、こういうアバ…

居眠り運転

昔、長距離トラックで東名高速を往来していた頃、どうにも眠くて危険を感じた場合には、良く豊橋のバリアを越えたところの駐車スペースで一休みしたものです。その際、後ろの寝台を使うとと朝まで寝てしまうし、運転席のシートを倒しただけでも、かなり長い…

続・ペンキ屋のおじさん

ペンキ屋のおじさん、コミュニストだなんて言うから、もともと宗教色の薄いエーゲ海地方の出身なのかと思ったけれど、出身地を訊くと、これがアナトリア東部のシヴァス県なんだそうです。それで、もしやと思い、「貴方の信仰は?」と探りを入れてみたところ…

ペンキ屋のおじさん

前回と同様にエーゲ海地方へ出かけていた時のこと。壁の塗装に精を出しているペンキ屋さんから話しかけられて、暫く話し込みました。 そのペンキ屋さん、40歳ぐらいでしょうか、自分はコミュニストであると言い、「日本にはコミュニストがいますか? 労働…

山を呼び寄せる男

1ヵ月ほどエーゲ海地方に出かけていて、昨日、イスタンブールへ戻ってきました。 エーゲ海地方はトルコでも宗教色が薄い地域ですが、ここで二人の若いトルコ人エンジニアと思いがけず宗教談義を楽しんできました。 宗教談義と言っても、私の知識では語り合…

野茂投手、1000日ぶりにメジャー登板

“時に感じて 花にも涙を濺ぎ、別れを恨んで 鳥にも心を驚かす”という詩は、つらい時世に何を見ても悲しくなり、何を聴いても心穏やかでいられない心境を詠んだものと教わったけれど、『それだけ何にでも感動していたってことじゃないのかなあ』と思ったりも…

ある老舗菓子店での出来事

去る1月の末、金曜日の昼時に有名な老舗菓子店の近くを通りかかったので、「小腹が減ったから菓子でもつまんで行くか」と思いながら寄ってみたところ、入口のガラス戸に“金曜礼拝の為、×時×分まで営業を休止しております”という伝言板がかけられていて、店…