メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコ大勝利!

6月20日の晩は、“誕生パーティー”の後、スルタンアフメットからタクシムに出て、いつものようにコズヤタウ行きのバスに乗りました。

タクシムを11時5分前ぐらいに出発したバスは、人々がトルコ対クロアチア戦を放映するテレビの前に釘付けになっている所為で嘘のように空いてしまった道路をひた走り、あっという間にボスポラス海峡大橋を越えて、11時20分には私が降りる停留所に着いていました。普段なら40分~1時間は掛かるところです。

試合は11時30分に終了するというので、早足で歩いてちょうど11時30分に我が家へ辿り着いたけれど、暫く経っても、階下からは実況中継の音声が伝わって来て、時々短いどよめきの声が上がったりするから、未だ試合の継続していることが解ります。

その後、「オオーッ」という少し長いどよめきが聞こえたものの、何の騒ぎも起こらず、クラクションを鳴らす車もなかった為、『あらら、トルコ負けちゃったかな?』と思った矢先、階下から「ウォーッ! ゴール!」という地鳴りのような大絶叫、上の住人たちは足を踏み鳴らし、何かを叩きながら、これまた「ゴール! ゴール!」と大絶叫、どうなったのか気になってネットの速報を見たら、“トルコ-クロアチア/1対1”と表示されていて、さすがにサッカー音痴の私でも、『ああ、これからPK戦ってヤツだな』と状況が飲み込めました。

そして、緊張の感じられる低い唸り声と短い歓声が何度か繰り返された後、突如として「ワーッ」という雄叫びが上がり、一斉にクラクションが鳴らされ、お決まりの乱痴気騒ぎが始まったから、トルコの勝利は明らかで、もうネットの速報なんて見る必要はありません。

窓の外からは、クラクションと大歓声に交じって、パンパンと乾いた発砲音も聞こえて来るけれど、これがピストルで実弾をぶっ放す“祝砲”というから恐れ入ります。

この前のチェコ戦大逆転勝利では、こういった“祝砲”の流れ弾で5人も負傷したそうです。もちろん、この狂態はイスタンブールのどの街でも繰り広げられるわけじゃなくて、特定の地域に限定されているものの、残念ながら、私たちの住んでいる街はその特定地域の一つに他なりません。それで、騒ぎが始まる前に家へ辿り着こうと思っていたのです。

しかし、彼らも勝ったら喜んでとことん騒ぐけれど、負けたら何事もなかったかの如く静かに引き上げて、腹いせに暴動を起こすこともなければ、負けた選手たちを非難するようなこともありません。この辺りが、トルコの人々の優しいところじゃないかと思います。