メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ローザンヌ条約の密約?

昨日(8月31日)、イスタンブールの新興ビジネス拠点になっているマスラックまで出かけて来た。といってもビジネスとは何の関係もなく、韓国料理屋を経営する友人と会って来ただけである。友人の経営する料理店“カヤ”は、以前、タクシムにもあったけれど、あちらは1~2カ月前に閉店してしまった。
2年ぐらいマスラックには来ていなかったが、また少し高層ビルが増えたように思う。一昨日、“戦勝記念日”を祝った為か、いくつかのビルに巨大なトルコ国旗が掲げられていた。
戦勝記念日は、1922年の8月30日、アナトリアへ侵略してきたギリシャ軍に対して、キュタヒヤ県のドゥムルプナルで壊滅的な打撃を与えた勝利を記念している。
さらに進撃を続けたトルコ軍は、9月8日にイズミルを奪回して、侵略勢力をアナトリアから駆逐する。翌1923年の7月24日には、ローザンヌ条約が締結され、現在の領土がほぼ確定した。
そのため、毎年、この時期になると、ローザンヌ条約の是非を巡って様々な議論が蒸し返される。
多大な犠牲を払って、栄光の戦勝を得たのに、ローザンヌ条約では、“ミサク・ミッリ(国民の誓い)”に基づく領土の全域を回復できなかったところが、一部の人たちにとっては納得し難いようだ。
ローザンヌ条約の密約に纏わる話も、こういった納得していない人たちが伝えて来たのかもしれない。
密約の部分には、トルコが領内の石油資源等を開発しないといった条項も含まれていて、ローザンヌ条約の有効期限が切れると同時に、トルコはこの密約から解放されるというのである。
しかし、いつだったか、テレビの討論番組で、ある識者は、「ローザンヌ条約に有効期限があるなんて何処にも書かれていない」と反論していた。密約の有無どころか、「ローザンヌ条約の有効期限が100年で切れる」という前提条件にも根拠は見当たらないらしい。
昨日のヒュリエト紙のコラムで、タハ・アクヨル氏も、この有効期限云々を強く否定していた。「ローザンヌ条約の密約」というのは、一種の都市伝説のようなものだったのだろうか?

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