メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ゲズィ公園騒動デモ隊の不甲斐なさ?

エルドアン大統領とAKP政権は、発足した2002年~2009年頃まで明らかに親欧米の政権と見做されていた。

それで、EU加盟交渉にも熱心に取り組んでいたけれど、反対派は「EUはトルコ軍の弱体化を狙っている」と主張していた。中には「EUの要求を全て認めたら、トルコは去勢されてしまう」なんて比喩的に言う人もいた。

この伝に従えば、現在、欧米の理不尽な要求は撥ねつけてしまうエルドアン大統領のトルコは、去勢の危機を乗り越え、雄々しく「男」を主張しているかのようだ。

アヤソフィアの再モスク化やタクシムのモスクにも、そういった雄々しい男の主張が見えるような気もする。

その所為か、断固反米を貫いて来た共産主義者のドウ・ペリンチェク氏もこれには敢えて反対していないらしい。共産主義といったイデオロギーも宗教と同様、非常に雄々しいものであるかもしれない。

もちろん、ここで言う「男」には、「男女」の性別は含まれていない。日本でも、かつての激しい女性活動家たちは非常に雄々しかったのだろう。

私が1988年に韓国で目撃した民主化闘争の担い手たちも、男女の区別なく皆雄々しかった。そもそも、デモに加わる女性たちは化粧などしていなかったように思う。

今、正義連(挺対協)の問題で苦境に立たされている尹美香氏も、あの頃はなかなか頑張っていたに違いない。

この1988年当時の韓国民主化闘争に比べたら、2013年のトルコのゲズィ公園騒動は何とも頼りなかった。

末尾に添付した動画と写真でも明らかなように、女性たちは結構おしゃれしてデモに参加している。あれでは戦えないだろう。

もっとも、彼らはトルコの西欧化を望んでイスラム化に反対しているのだから、去勢されてしまうことに不満はないのかもしれない。

しかし、西成の壁に落書きされていた「男でありたい」まではともかく、「男で死にたい」が国の政治に反映されたら困るだろう。

幸い何事にも慎重なエルドアン大統領は、トルコ軍やドウ・ペリンチェク氏ほどには雄々しくも猛々しくもなさそうだから、何処かで巧くバランスを取るのではないかと思うけれど・・・。

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