メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

少数民族の言語による教育

中国では「中国語による教育」が少数民族にも適用されるようになり、反発の声が高まっているという。つまり、最近までは「少数民族の言語による教育」が行われていたらしい。私は却ってこれに驚いている。

1998年頃に大阪で知り合ったウイグル人の留学生は、新疆省の出身で西安の大学を出てから日本に留学したそうだが、「これが二度目の外国留学であるように感じています。西安でも中国語で苦労しました」と語っていた。おそらく、彼は新疆省でウイグル語による教育を受けていたのだろう。

その後、トルコで「クルド語による教育」の是非をめぐる論争が激しくなり、これに弱い頭を悩ませていた私は、中国の「ウイグル語による教育」をすっかり忘れていた。

トルコでは、公用語トルコ語に限られていて、以前は「クルド語の教育」、つまりクルド語を教える教育さえ認められていなかった。というより、クルド語の存在自体が否定されていた。

近年ようやく選択科目による「クルド語の教育」が始まったものの、「選択者を少なくするよう妨害している」「「いや、クルド語を学びたい生徒が少ないだけだ」といった論争が「クルド語による教育」の論争と共に繰り返されている。

しかし、「イマーム・ハティップ」と言われる「イスラムの教育に重点を置いた高校」でも、選択科目には「宗教」より「英語」や「数学」を取る生徒が多いそうだから、実際、クルド語を選択する生徒は存外少ないかもしれない。

宗教やクルド語を学ぶことによって得られる経済的な利益などいくらもないからだ。

イマーム・ハティップ」の場合、選択科目で「宗教」を取らなければ、一般高校のカリキュラムと変わらなくなってしまうという(一般高校にも宗教の授業はある)。

それでも「イマーム・ハティップ」へ進学する生徒がいるのは、「風紀が良いのでは」という親の期待感によるらしい。そのため、「イマーム・ハティップ」では女生徒の割合が非常に高い。

中国の状況は解らないが、経済的なチャンスが飛躍的に増大した中国で、そのチャンスを得ようとするなら、最初から「中国語による教育」を受けていた方が有利だろう。新疆省から西安の大学へ「留学」する事態も避けられるに違いない。

ウイグル語の教育」はどうなるのか解らないが、以下の駄文で記したように、「母語は得られるのであって、教えられるのではない」と主張するクルド人の識者もいる。

そもそも、明治以来、日本でも公用語は日本語(標準語)だけであり、アメリカン・スクールのような例外を除けば、全ての学校で「日本語(標準語)による教育」が行われて来た。

かつて沖縄では、教室で標準語以外の使用が禁じられ、沖縄語(ウチナーグチ)を話して廊下に立たされた生徒もいたそうだ。

25年前、川崎でダンプの運転手をしていた頃は、業務無線で「ウチナーグチ」を話して社長から叱責された沖縄出身の同僚もいた。

業務無線には「意味不明の暗号等で交信してはならない」という規約があるため、社長は無線使用の許可が取り上げられることを恐れていたらしい。

「日本語の方言」と決めつけておきながら、使用を禁じたりしたのは酷い話だと思ったが、東北地方の方言などにも同じような状況は見られたのではないだろうか? 

他国の問題を論う前に、私たちは自国の歴史等をもっと調べてみるべきであるかもしれない。

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