メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

城壁の上の激しい抱擁

“テオドシウスの城壁”は、シリヴリ・カプ(門)とベルグラド・カプ(門)の間の区間でも、城壁の上に登ることができた。
そして、城壁の上を歩きながら、3ヵ所ある望楼にも、一つ一つ登ってみることにした。この辺りは、観光客が殆ど来ないらしく、城壁の上には全く人影がなかった。
しかし、まず一つ目の望楼に登ったところ、思わぬ先客がいた。男女がひしと抱き合っていたのである。直ぐに引き返したが、見た瞬間、ちょっと驚いて、「おお!」と小さく叫んでしまった。
服は着ていたから、それほど驚くような光景でもないし、引き返す必要はなかったかもしれないけれど、人っ子一人いない城壁から、さらに望楼にまで登って抱き合っているカップルが、観光や散策の途中、たまたま人目が無いのを良いことに、一瞬抱き合っただけとは到底思えない。
おそらく、わざわざ人目につき難い場所を探して来たのだろう。カップルは、私が次の望楼に登って振り返った時も、まだそこで抱き会っていた。やはり、あそこは遠慮しておいて良かったに違いない。
このカップルの女性は、頭に何も被っていなかったが、スカーフを被っていながら、人目につく路上で抱き合ったり、キスしたりするのは、もう珍しいことでもなくなっている。
4~5年前、ビュユック島の山道から、ほんの少し入った林の中で、スカーフをきっちり被った若い女性が、木の幹に座った男と、腰の辺りから跨るようにして抱き合い、激しくキスしているのを見た時は、随分驚いた。さらに、10分ぐらいして、またその道を戻って来たら、まだ激しく絡み合っていたので、もう一度驚かされた。
あるトルコ人の友人の解説によれば、この手のカップルは、ある程度、信仰心があるため、その先へ進むことが出来ず、そこまでの行為を延々と続けてしまうものらしい。
しかし、考えて見ると、日本でそういう激しい場面を見たことはないような気がする。日本は、性がかなり自由になっているけれど、大概の日本人は、人前で抱き合ったりするのを嫌がるんじゃないかと思う。
それなのに、性のタブーが多いはずのトルコで、これほど良く“目撃”してしまうのは、いったいどういう訳なのかと首を捻りたくなる。 
2週間ぐらい前だったか、乗っていたバスが、立体交差の下の停留所で止まったところ、陸橋の柱の影で、未だ15~6歳に思える学校制服のカップルが抱き合っているのを見てしまった。後ろ向きだったが、顔の角度からして、多分、キスしていたのだろう。女子はスカーフを被っていた。
最近、中学校(第5学年~第8学年)でもスカーフの着用が許されるようになったと言って、政教分離主義者の親たちは、また悲鳴を上げているけれど、その前に、スカーフなど絶対に被らない自分たちの娘が、男子生徒と何処まで進んでいるのか心配してみた方が良いのではないか。スカーフを被っていても、あれなのだから、もう一線を越えているかもしれない・・・。

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