メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

科学的な信仰?

幸福の科学」が如何なる教義を説いているのか知らないけれど、まずは信仰に「科学」という言葉を用いているところが奇妙に感じられてしまう。

トルコのアドゥナン・オクタル師もイスラム教を科学的に説明しようとしていた。それが何とも胡散臭かったのである。およそ科学的な信仰や宗教などは有り得ないと思う。

トルコでは脱宗教的な政教分離主義者が、宗教を非科学的であると言って非難してきた。とはいえ、こうして宗教を否定する人たちも、いったいどのくらい科学的なのか? 

例えば、無信仰の私は、余り科学的な思考にも堪えられそうではない。そもそも無信仰と言いながら、世間の決まり事の多くを何の疑いもなく信じている。未だかつて結婚や家族の在り方などを科学的に考えてみたことはなかった。

先日、SNSにトルコの人が、「我々は皆中央アジアから来たトルコ人である」として、その理論的な証明を延々と書き込んでいるのを見て驚いてしまった。

おそらく、「オスマン帝国イスラム教徒が共和国以降『トルコ人』と括られるようになった」という説が広範に受け入れられ始めたので、一部のエスニック的な民族主義者が焦りを感じているような気がする。

彼らの中には、宗教を非科学的と言って否定する人も少なからずいるだろうけれど、その理論は全く科学的と言えない。

各々のルーツを確かめたいのなら、今は遺伝子を調べるという科学的な方法があるはずだ。それによれば、中央アジアのテュルク系の人々とアナトリアトルコ人の間に見られる遺伝子上の関係は微々たるものだそうである。

30年ほど前、始めてトルコに来た頃は、「中央アジアモンゴロイドトルコ人が、アナトリアに来てコーカソイド風になったのは気候の変化によるものだ」なんていう説を良く聞かされたりした。「鼻の形を見れば、トルコ系の何部族の人なのか解る」と大真面目に語る政教分離主義者もいた。

果たしてそういった説の何処に科学的な根拠があったのだろう?

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