メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

脱宗教への信念

www.gakushuin.ac.jp

この論説に、パキスタンの科学者が、天国の速度を算出したり、精霊からエネルギーを抽出しようとしたりする話が紹介されていた。

日本にも変なオカルト科学者はいるだろうけれど、筆者のフッドボーイ氏が、わざわざそういう極めて希少な例を持ち出して、自国のネガティブな面を強調したようにも思えない。この手の妄信が、正常な研究活動を妨げてしまうほど蔓延っているということなのだろう。これはちょっと恐ろしいかもしれない。
天国と言えば、トルコのイスラム学の権威であり、イスラム主義者として有名なハイレッティン・カラマン教授が、コーランの56章に出て来る“天女の恩恵”について述べたくだりをお伝えしたことがあった。

 ここで、カラマン教授は、“天女”なるものが、地上の人間を善へ導く為に、地上の人間が知っている好ましい恩恵として示されただけであると説明している。このカラマン教授に、「天国の速度の算出」について訊いたら、おそらく「ナンセンスだ」と言われるんじゃないだろうか?
トルコでは、がちがちのイスラム主義者として政教分離主義者たちから非難されているイスラム学者がこうなのだから、科学の分野にも、それほどオカルト科学者がいるとは思えない。パキスタンの例とは、何かが根本的に違っているような気がする。
しかし、脱宗教を主張するラディカルな政教分離主義者の中には、イスラムの妄信に纏わる様々な例を上げて、自国のネガティブな面を強調しようとする人もいる。これは結局、却って信心深い人々の反発を招いてしまうばかりか、トルコの評判も貶めることになるけれど、彼らの脱宗教への信念は揺るぎないようである。
それは、「不信心の優越性と不信心を他者に押しつける神聖な権利についての絶対的な信念」と言えるのかもしれない。

merhaba-ajansi.hatenablog.com