メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「はい、解りました」と言わないトルコの人たち

2000本安打を達成したラミレス選手、日本の野球で成功する為には、以下の三つの言葉を理解しなければならないと語ったそうだ。
「しょうがない」「はい、解りました」「頑張ります」。
これって、野球界に限らず、日本の社会の何処ででも通用する言葉だと思う。また、ラミレス選手は敬虔なクリスチャンで、2000本安打達成の際も「神様に感謝します」と答えていたけれど、この三つの言葉は、彼の信仰にも繋がっているような気がする。
「しょうがない」-運命の受容。「はい、解りました」-神への従順。「頑張ります」-自助努力。ということじゃないだろうか? ちょっと違うかもしれないが、「しょうがない」を、日本人の自然信仰の顕れとする見方もあるらしい。
私は、このラミレス選手の談話を聞いて、98年に名古屋で会ったトルコの人たちを思い出してしまった。
彼らは名古屋市内の解体屋で働いていたようだが、社長の命令に直ぐ従う日本人の同僚たちが理解できないと話していた。
「俺たちは、理由の解らない命令には従わない。だから、『なんでそんな作業しなければならないの?』と必ず訊く。社長も最初は、『いいからやれ!』と怒っていたけれど、そのうち俺たちトルコ人だけには理由を説明するようになったよ」となかなか得意そうだった。
でも、現場での指示に、いちいち理由を説明したりするのは、殆どの場合、時間の無駄じゃないかと日本人の私は考える。
クズルック村の工場でも、理由を聞きたがる従業員は多かったが、作業の意味を理解してもらわないと困る工程では、逆に日本人の管理者がしつこいくらい説明を繰り返すので、「もう解っているよ」と嫌がる従業員もいた。
そのくせ、トルコの人たちは、停電になっても、断水しても、ガスが止まっても、余り文句を言わない。日本で、明確な理由もなく1時間以上停電したら、大変な騒ぎになるだろう。お上に対しては、トルコ人のほうが遥かに従順であるような気がする。
まあ、いずれにしても、あの名古屋のトルコの人たちは、日本の社会でラミレス選手みたいに成功しなかったと思う。

merhaba-ajansi.hatenablog.com