メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ドウ・ペリンチェク氏の革命?

先週、トルコの友人に電話して近況を訊いた。CHPを支持する左派アタテュルク主義者の友人は、エクレム・イマムオール氏が再選挙でも勝利して再びイスタンブール市長に就任し、2年後には大統領になると息巻いていた。 

友人は左派の一般的な傾向と同様、イスラムへの敵意を示さなくなったばかりか、自分たちが不信心ではあってもムスリムに違いないことを当たり前に認めるようになっていたものの、AKPとエルドアン大統領にはやはり好意的ではないらしい。 

ところで、以前の革命への憧れや反帝国主義(つまり反米)はどうなってしまったのだろう?  

彼は、反帝国主義の革命家として、ドウ・ペリンチェク氏を称賛していたけれど、そのドウ・ペリンチェク氏は、選挙後、イマムオール氏を「アメリカの手先」と非難し、条件次第でエルドアン大統領に協力できると明らかにしていた。 

もちろん、ペリンチェク氏も以前のように反イスラムではないが、反米の方はは全く緩める様子もない。それどころか、ペリンチェク氏に限らず、軍や司法といった共和国の根幹を成す機構が、今ほど反米で一致したことはないという説もある。 

しかし、巷の元革命家たちはそれほどでもないようだ。ひょっとすると、“革命”とか“反帝国主義”などと言うのは洒落たブランドのようなものだったから、実際に対立が深刻になって、経済的な圧迫が加わり、軍事的な衝突も懸念されるようになると、たちまち嫌気がさしてしまうのかもしれない。 

一方、ペリンチェク氏は、エルドアン大統領に対する協力の条件として、「オザル大統領以来の経済政策の放棄」を上げたりして、相変わらず反帝国主義の革命を標榜している。 

10日ほど前には、中国の使節団と会談して、「中国と協力すれば、これからトルコの生産力は飛躍的に向上する」とぶちあげていたくらいだ。 

もっとも、現実的なエルドアン大統領は、G20開催中に日本でトランプ大統領との会談を予定しているそうだから、ペリンチェク氏の“革命”が実現する可能性は殆どないように思えるけれど・・・。

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