メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの新聞記事

「1915年:トルコは何が出来るか?(2)」

アルメニア人のトルコ国民であるエティエン・マフチュプヤン氏が、先月(2013年4月)ザマン紙に掲載したコラム記事を拙訳してみました。マフチュプヤン氏の記事はとても難しく冷や汗ものですが・・・・。 「1915年:トルコは何が出来るか?(2)」 **…

欺瞞の平和

2008年に、日本では“ブタがいた教室”という映画が公開されたそうだ。ある小学校の先生が、子供たちに“命の大切さ”を教えるため、「ブタを皆で飼育して最後に皆で食べる」という計画を実行しようとする話。映画が公開された時は、賛否両論が渦巻いたらし…

トルコが育てた日本の作家(ヴァタン紙)

2005年2月9日付けのヴァタン紙からです。トルコが舞台として登場する日本の経済小説「トップ・レフト」(祥伝社)と著者の黒木亮氏を、サーデット・オゼン氏が紹介しています。 ****(以下拙訳) 近年、世界の文学作品でトルコについて書かれるこ…

ディヤルバクルから強制的に移住させられたクルド人の家族(ラディカル紙/ジェラル・バシュラングチ氏のコラム)

2005年3月28日のラディカル紙よりジェラル・バシュラングチ氏のコラム。バシュラングチ氏は、南東部に非常事態宣言が出されていた90年代初めの頃、イラク国境に近いジズレで起きた事件の思い出から語り始め、クルド問題の民主的な解決を呼びかけて…

シリア大統領ベシャル・アサド氏へのインタビュー(サバー紙)

2005年2月25日付けのサバー紙、ヤヴズ・ドナット氏のコラムから、シリア大統領アサド氏へのインタビューの部分を訳してみました。インタビューはダマスカスの大統領官邸で実現しています。先代の故アサド大統領の時代を考えるならば、とても信じられ…

トルコ化に生涯を捧げたユダヤ人(ミリエト紙)

20051月30日付けのミリエト紙日曜版から。オスマン朝の末期から共和国の初期にかけて、トルコ化に生涯を捧げたユダヤ人モイズ・コーヘンの伝記を著したユダヤ人リズ・ベフモアラス女史(トルコ国民であると思います)にフィリズ・アイギュンドュズ記…

かつてはギリシャ人も自分たちを「ビザンチンの子孫」であるとは思っていなかった(ザマン紙/ヘルキュル・ミルラス氏のコラム)

2005年1月11日付けのザマン紙よりヘルキュル・ミルラス氏のコラムの前半の部分を訳しました。シラク大統領の「我々は全てビザンチンの子孫である」という発言から始まった議論に対し、トルコ国籍のギリシャ人であるヘルキュル・ミルラス氏がその見解…

ボブ・ディランの先祖はトルコからの移民だった(ラディカル紙)

2005年1月11日付けのラディカル紙よりエニス・ユルドゥルム記者の記事。ボブ・ディランはその著書で、ルーツがトルコのカルス県であることを明らかにしたそうです。ユルドゥルム記者は早速地元カルス県の反応を取材しています。 ****(以下拙訳)…

我々はフランス人の千倍もビザンチンの子孫である(ラディカル紙/ネシェ・ドュゼル氏のコラム)

2004年12月27日のラディカル紙よりネシェ・ドュゼル氏のコラムを訳してみました。 フランスのシラク大統領が、「我々は全てビザンチンの子孫である」と述べたことが、トルコでは反発を招きました。この問題について、ドュゼル氏はバフチェシェヒル大…

アルメニア人の食卓(ラディカル紙/マリアンナ・イエラスィモス氏による書評)

2004年11月28日付けのラディカル紙より、トルコ国籍のギリシャ人であるマリアンナ・イエラスィモス氏(女性)による書評を訳してみました。 トルコ国籍のアルメニア人であるタクヒ・トヴマスヤン女史が著した「ソフラヌズ・シェン・オルスン(食卓を…

宗教を遠ざけてきたトルコの知識人(ラディカル紙/モスクワ特派員スアト・タシュプナル氏のコラム)

2004年11月16日のラディカル紙より、モスクワ特派員スアト・タシュプナル氏のコラムを訳してみました。 宗教と縁遠くしている為に、宗教的な祝祭がいつ始まるのかも解らなくなっているトルコの知識人。タシュプナル氏は、トルコにおける宗教と社会の…

亡命したオスマン朝皇子の回想録(ラディカル紙/ジェム・エルジエス氏の記事)

2004年11月16日のラディカル紙より、ジェム・エルジエス氏の記事を訳してみました。 オスマン朝の皇子であった亡父の回想録がトルコで出版されたのを機会に、英国在住のオスマン朝後裔オスマン・セラハッディン・オスマンオウル氏はイスタンブールを…

声なきマイノリティーの見た悪夢(ザマン紙/ヘルキュル・ミルラス氏のコラム)

2004年11月16日のザマン紙より、ヘルキュル・ミルラス氏のコラムを訳してみました。トルコ国籍のギリシャ人であるミルラス氏が、見た夢に託してマイノリティーの気持ちを吐露しています。 ****(以下拙訳) 今トルコでは、マジョリティー側の人…

トルコはマイノリティーの寄せ集まりである(ラディカル紙/テュルケル・アルカン氏のコラム)

2004年10月16日付けのラディカル紙より、テュルケル・アルカン氏のコラムを訳してみました。 クルド人活動家のレイラ・ザナ氏がEUの委員会へ、「我々はトルコにおいてマイノリティーではなく、マジョリティーを構成する要素である」と発言したこと…

ヨーロッパに比して階級の区別が明確になっていないトルコの社会(ラディカル紙/ムラット・ベルゲ氏のコラム)

2004年10月10日付けのラディカル紙よりムラット・ベルゲ氏のコラムを訳してみました。オスマン朝に由来するトルコ社会の特性が説かれています。 ****(以下拙訳) オスマン朝の歴史を記す達人であるハリル・イナルジュクがもう随分前に明らかに…

作家アフメット・アルタン氏とヒディヴ邸(2)

『作家アフメット・アルタン氏とヒディヴ邸(1)』で批判されているアフメット・アルタン氏が「gazetem.net」に書いた記事(04年5月31日)を読んで見たところ、これは、カラジャ女史の趣旨と同様に、民衆を扱き下ろすエリートを非難する「自己批判」的…

作家アフメット・アルタン氏とヒディヴ邸(ザマン紙/ニハール・ベンギス・カラジャ氏のコラム)

2004年6月8日付けのザマン紙からニハール・ベンギス・カラジャ氏(女性)のコラムを訳してみました。カラジャ氏は、イスタンブールの名所「ヒディヴ邸」で結婚式を挙げる市民を扱き下ろした作家アルタン氏のことを辛辣に批判しています。 ****(以…

トルコの美しい女性アナウンサーたち(ミリエト紙/レシャット・チャルシュラル氏の記事)

2004年4月2日付けのミリエト紙よりレシャット・チャルシュラル氏の記事を拙訳しました。チャルシュラル氏は、民放のニュース番組で活躍している美しい女性アナウンサーたちを、トルコに出現した新しいタイプの女性として歓迎しています。 ****(以…

トルコにおけるムスリムによる政教分離の可能性(ラディカル紙/アヴニ・オズギュレル氏のコラム)

2004年3月11日付けのラディカル紙より、アヴニ・オズギュレル氏のコラムを訳してみました。アタテュルクには反宗教的な考えがなかったとか、政教分離の体制に対してイスラム主義の立場から反抗したエルバカン氏の活動が却って体制とイスラム主義者の…

「ポルノに出演したって良いじゃないか」と言えるのだろうか?(ミリエト紙/オメル・オズギュネル氏のコラム)

2004年3月12日付けのミリエト紙よりオメル・オズギュネル氏のコラム。金熊賞受賞映画『Gegen Die Wand』で大胆なセックスシーンを演じた主演女優シベル・ケキッリが話題になっていますが、このコラムで、オズギュネル氏は、娘のポルノ出演を悲しむ父…

トルコのモダンな顔とモダンな化粧(ザマン紙/エリフ・シャファック氏のコラム)

2004年3月7日付けのザマン紙日曜版。アメリカで暮らしている若手女流作家のエリフ・シャファック氏のコラムを訳してみました。新進気鋭の作家とあって原文はなかなか凝った調子であり、巧く訳すことが出来ずに、かなり意訳となってしまいました。 **…

兄弟に撃たれた女性は見殺しにされたも同然だ(ラディカル紙)

2004年3月1日付けのラディカル紙。不倫の子を生んだ女性を実の兄弟が拳銃で撃ち殺した事件の詳細が明らかにされています。 ****(以下拙訳) ギュルドュンヤは死の影に怯えながら数ヶ月を過ごしている。その間、2度に亘って死の危険が迫った。 警…

フランスにおけるムスリム女性のスカーフ着用問題とトルコ(ラディカル紙/ネシェ・ドゥゼル氏のコラム)

2003年12月29日付けのラディカル紙、ネシェ・ドゥゼル氏が「トゥルバン」の問題についてガラタサライ大学哲学科のトゥリン・ブーミン教授(女性)にインタビューしています。 トゥルバンとはムスリム女性が頭に被るスカーフの一種で、通常のスカーフ…

クルド語作家メフメドゥ・ウズン氏へのインタビュー(ラディカル紙/ネシェ・ドゥゼル氏のコラム)

2003年12月1日付けのラディカル紙。ネシェ・ドゥゼル氏(女性)が、シンポジウムに参加するため、トルコへ一時帰国したスウェーデン在住のクルド人作家メフメドゥ・ウズン氏にインタビューしています。 ****(以下拙訳) Q:先だってディアルバ…

冷戦後の日本からトルコを読む(ザマン紙/イブラヒム・オズテュルク氏の論説)

2003年8月4日付けのザマン紙。マルマラ大学講師のイブラヒム・オズテュルク氏が寄稿した、冷戦後の日本とトルコの関係に関しての小論文を訳してみました。小泉首相の靖国神社参拝についても触れられています。 ****(以下拙訳) 第二次大戦後に構…

元祖「ナターシャ」

トルコではロシアから春を売りに来る女性たちを「ナターシャ」と呼ぶことがある。ここでは、トルコの新聞ラディカル紙から、ゼキ・ジョシュクンという人の記事(2000年6月24日付け)を拙訳で御紹介する。****ナターシャは20世紀の初頭に生まれ…

トルコでは女性も負けていない

イスラム系ザマン紙の報道によれば、最近トルコでは経済水準の向上に伴って重婚が増えているという。 例として、18年間連れ添った妻と4人の子供をブルサ市に残したまま、仕事の都合から滞在するようになったイスタンブールで、別の女性と結婚していた男の…

イラク参戦はエジェビットの時代に決定されていた(ラディカル紙/ネシェ・ドゥゼル氏のコラム)

2002年12月30日付けのラディカル紙。ネシェ・ドゥゼル氏(女性)がトルコ海軍の退役中将アッティラ・クヤット氏に、イラクおよびキプロスの問題についてインタビューした記事の「前編」です。 クヤット氏は、いよいよイラク戦争が始まるのではないか…

キプロス問題が未解決である限り我々はEUに加盟できない(ラディカル紙/ネシェ・ドゥゼル氏のコラム)

ネシェ・ドゥゼル氏によるトルコ海軍の退役中将アッティラ・クヤット氏へのインタビューの「後編」です。クヤット氏は、EU加盟のためにもキプロス問題は解決されるべきであると主張しています。 ****(以下拙訳) Q:イラクの戦争に話題が集まる一方…