メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

プリゴジン氏の搭乗機が墜落。これは陰謀なのか?

反乱事件の後、その動向が注目されていたプリゴジン氏のプライベートジェットが墜落し、プリゴジン氏を含む搭乗者全員が死亡したという。

反乱事件の直後、収束までの経過を伝えるトルコの報道番組で、元軍人の評論家が「プリゴジン氏は近いうちに交通事故で死亡する」と断言していたけれど、ほぼその通りの結果になった(自動車の事故ではなかったが・・)。

墜落とプリゴジン氏の死亡を伝える昨日の報道番組では、国際政治学者のハサン・バスリ・ヤルチュン氏が事件の背景を論じている。(以下のYouTube動画)

ヤルチュン氏は、プリゴジン氏が交通事故ではなく、バルコニーから転落して死亡すると予測していたそうだ。ヤルチュン氏のこの発言に対して、他の出演者から「随分と高いバルコニーだったね」と揶揄するような声も聞かれた。

ヤルチュン氏によれば、ウクライナ戦争勃発以来、ロシアでは10人ほどのオリガルヒがバルコニーから転落して死亡したらしい。それがプリゴジン氏の場合、遥かに高い空の上から墜落という事態になってしまったようである。

しかも、雲の間から飛行機が落ちてくる場面を捉えた映像まで配信されている。

これは、墜落を事前に知っていなければ撮影できない映像であり、公開したのは見せしめのためで、もとより隠すつもりなどなかったとヤルチュン氏は解説している。

「陰謀」ではなく、明らかな謀略であり、これを「明謀」と名付けても良さそうである。

ロシアの選挙がどれほど公正に行われているのか解らないが、国家がそれほど世論を気にしていない雰囲気は窺える。

それこそ、ソビエトの時代には「世論」などなかったのではないかと思う。 

そのため、「陰謀」を図る必要もなく、いつでも「明謀」で良かったのだろうけれど、そもそも「陰謀」を図れるほど繊細な感覚がなかったのかもしれない。

情報伝達の手段が多様化した近代から現代の世界で、本当の意味で「陰謀」と言える謀略を成し得たのは米国と英国ぐらいであるような気もする。

一方、この事件との関連は指摘されていないが、プーチン大統領がトルコ訪問に難色を示したため、エルドアン大統領がロシアを訪問する方向で調整が図られているという報道もあった。これでは、和平が議題になることさえ期待できそうもない。