メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

米国は未だ「官軍」なのだろうか?

この「弱肉強食の世界と国家の利益」という駄文を記した2017年の時点で、私は米国こそが「官軍」であると何の疑いもなく思っていた。

2年前でも、その思い込みに大きな変化はなかった。韓国が中国に接近して北朝鮮との交流を深めて行くのは危険な賭けになるかもしれないと心配していたくらいである。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻以降、「米国は未だ『官軍』なのだろうか?」という疑問が日毎に増してきたように思える。

「勝てば官軍、負ければ賊軍」の倣いからすれば、賊軍を成敗してこそ官軍になる。

イラク戦争で米国は、化学兵器等々の虚構に基づいた大義名分を掲げてイラクへ侵攻し、多くの民間人を殺戮したものの、イラクを完全に制圧、占領して支配下に置き、フセイン大統領を戦犯として処刑する。こうして成敗されてしまったイラクは賊軍になり、米国は官軍としての面目を保った。

今回のウクライナ侵攻においても、米国は「プーチンを戦犯として裁判にかける」と息巻いているけれど、上記の「ウクライナが譲歩する可能性?」でお伝えしたハサン・バスリ・ヤルチュン氏が論じたように、プーチン氏を裁くためにはモスクワを占領して彼を捕まえなければならない。

ロシアもプーチン氏が裁判にかけられて成敗されてしまわない限り「賊軍」の扱いは受けないはずである。

そして、ロシアを成敗できない米国も、もはや「官軍」とは言えなくなるのではないだろうか? 

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