メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

戒厳令~プーチン大統領は法治主義者?

今朝、YouTubeで視聴した「Transatlantik」というトルコの番組で、オメル・タシュプナルという政治学者が、ロシアに併合された4州で戒厳令が発令された問題について語っていた。

タシュプナル氏によれば、この戒厳令は驚くに値しない当然の成り行きだそうである。なぜなら、4州は既にロシア領となったので、ロシアの法が適用されなければならない。プーチン大統領は、何事も法に則って行われていると見せる努力を惜しまないという。4州は未だ不安定な状態でいつ騒乱が起きても不思議ではないが、それを取り締まるためにもロシアの法に則った拠り所が必要となる。そのために戒厳令が発令されたとタシュプナル氏は解説している。

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以下の「ロシアはウクライナの何処で核兵器を使用するのか?/ロシア人にとってウクライナ人とは?」という駄文でも記したように、ロシアは「どのような場合に核兵器を使用できるか」についても、侵攻が始まる前から法律を準備していたらしい。その条件に合わせて核兵器を使用する限り、ロシアでは合法と見做されるそうだ。

一方で、ロシアの人たちはウクライナ人を「同胞」と思っている点を強調した識者もいる。それ故、なるべくウクライナの民衆が受ける被害を最小限に止めようとしてきたらしい。

しかし、ロシアはクリミヤの橋が爆破された報復として、ウクライナ各地の発電所ガスターミナルをミサイルで攻撃し始めている。これから冬が迫る中で、インフラの崩壊はウクライナの民衆にも大きな打撃となるかもしれない。

ロシアは冬期のエネルギー不足に音を上げた欧州を切り崩して停戦に持ち込むという説も聞かれるけれど、厳冬を迎えてから大攻勢に出るのではないかと主張する識者もいる。

ロシア軍は昔から厳冬に強さを発揮するというのである。

そういえば、わざと撤退して相手を呼び込んでから叩くのはロシア軍の常套策などと言われてもいた。ナポレオンのロシア侵攻では、厳冬にモスクワの街を焼き払って撤退し、寒さと飢えに苦しむナポレオンの軍に最終的な勝利を収めるのである。

その辺りの経緯はトルストイの「戦争と平和」に詳しく描かれていた。時間的な余裕があれば、もう一度読み直してみたいが、これも叶わぬ夢だろう。

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