「コロナ騒ぎ」が始まって以来、私はこの騒ぎに何か裏があるのではないかという陰謀論めいたことも考えて来たけれど、上記の田中宇氏の論説「米諜報界が中国のために作る世界政府」は、そんな私の小さな想像力など吹き飛ばしてしまう迫力である。
田中氏は、コロナの発生自体が、米国の自滅を狙う「隠れ多極主義者」という米国内勢力の陰謀ではないかと論じている。
私も以下の駄文に記したように、米国の製薬会社等がさらなる利益を上げるため、コロナ騒ぎを煽っているのではないかと想像を巡らせてみたものの、まさかコロナの発生自体に陰謀があるとは思っていなかった。
しかし、コロナを作り出したのは米国であるという説は、当初より見られたし、最近は取り上げる人も多く、荒唐無稽な陰謀論として片付けられない様相になってきた。とはいえ、私は未だ信じ難い気持ちである。
一方、鹿児島の医師、森田洋之氏は「財務省が『反コロナ・反ワクチン政策』のノロシをあげた3つの理由 」として、財務省官僚の主張を取り上げている。
こちらは陰謀に纏わる話じゃなくて、実際、コロナ対策のためにどのくらいの国家予算が使われたかに基づいて解説されている。その額、令和2年度だけで77兆円だそうである。
おそらく、その中から相当な金額が米国の製薬会社へ流れてしまったのだろう。これほど米国の製薬会社を喜ばせた国は、他(米国も含む)にないかもしれない。
あの異常なコロナ対策を続けていた中国は、自国製のワクチンを使っているから、少なくとも米国製薬会社を儲けさせてはいない。それはロシアも同様じゃないかと思う。
ロシアと言えば、田中氏はウクライナ侵攻も「隠れ多極主義者」が米国を自滅させるために仕組んだ陰謀という説を展開している。
こういった陰謀論を「妄想」と言って、端から無視する人も多いだろう。そもそも、田中氏が論説の中で、自ら「・・・仮説は、私の思いつき(妄想、仮説)である」と断っているくらいである。
しかし、田中氏は、それに続けて「妄想は、あらゆる分析や研究、開発、発明、哲学など知的行為全般の母である」と主張している。確かに、妄想もあれほどスケールが大きくなれば何か生み出す原動力になるかもしれない。
私も「妄想」と断って、以下のように様々な自説をここに書いてきたけれど、私のちっぽけな妄想では何も生まれないだろう。
どうやら、私の妄想の枠はかなり狭いようだ。例えば、田中氏の「隠れ多極主義者」という思いつき(妄想、仮説)には、ちょっと目面くらってしまう。
トルコにも、「世界は多極化して行く」と論じる識者は少なくないけれど、多極化を促進させるかのような米国の失策については、米国の愚かさを指摘するぐらいである。私も失策の要因は愚かさじゃないかと思う。(例えば、余りにも杜撰だった2016年7月のトルコ・クーデター計画の失敗)
ウクライナの情勢もどうなっているのか良く解らないが、米国のプロパガンダほどには巧く行っていないのではないか?
GDPが韓国よりも少ないロシアの経済的な弱さが強調されているけれど、あれはサービス業もGDPに含まれているからだとエマニュエル・トッド氏が指摘していた。確かに粗鋼の生産量では、ロシアが韓国を上回っている。相変わらず重工業には強いらしい。石油を始めとして資源も豊富である。
ウクライナの発電施設はロシアの攻撃により半分近くが破壊されてしまったとウクライナの閣僚が明らかにしている。これから厳冬期を迎えて、下手をすれば凍死者が出てしまう恐れもある。不利な状況に追い込まれているのはウクライナ側、そして欧米の方であるかもしれない。
トルコのサバー紙の主筆メフメット・バルラス氏も「ウクライナ侵攻によってロシアを泥沼に引っ張り込むつもりだったが、気がついて見たら、泥沼に嵌ったのは欧州の方である」と論じていた。
いずれにせよ、田中氏が論じているように、何でも米国の思い通りになる時代は既に終わっている。これは確かじゃないだろうか。
そして、今までの常識が通用しない新しい時代を迎えるのだとしたら、常識にとらわれない妄想を働かせてみなければならなくなる。
歴史が大きく変わる時こそ、まさしく「妄想は知的行為全般の母である」と言えるのではないかと思う。