メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

民主主義に第四の波は来るだろうか?

12月18日付けカラル紙のコラムで、イブラヒム・キラス氏は、サミュエル・ハンチントン氏の「第三の波」という著作を紹介しながら、「民主主義に第四の波が来るかもしれない・・・」と民主主義への希望を明らかにしていた。
トルコで“イスラム的な知識人”と見做されることもあるキラス氏は、かつてAKP政権とエルドアン大統領を支持していたものの、最近は民主化の停滞に失望して、かなり批判的になっている。
キラス氏に限らず、政権を支持していたリベラル派の多くは、「強いトルコ」をスローガンに掲げる現在の政権に批判的であるようだ。
 しかし、トランプ大統領の明け透けな発言を聞いていると、アメリカの民主主義も何だかメッキが剥がれてしまったし、世界的に民主主義への希望は色あせてきたのではないだろうか? 
トランプ大統領は、民主的な選挙の制度がなければ、その地位にいられない人(トルコのエルドアン大統領も同様)だから、かえってこの制度の如何わしさに敏感であるかもしれない。また、明け透けな発言の中には、誰もが見ないように努めてきただけで、殆ど真実と言えるものが少なくない。
そのため、トランプ大統領の言葉に耳を傾け、この機会に自分たちの醜い姿を良く見るべきであるような気もする。
特に、我々日本人は良く考えてみなければならないと思う。日本は、かつて資源を求めて大陸へ進出し、アメリカに打ちのめされて撤退を余儀なくされたけれど、戦後は、そのアメリカのお陰で、自らの手を汚すことなく資源を調達し続けている。
石油の仕入先で最も大きな割合を占めているのはサウジアラビアであるらしい。これでは、醜悪なサウジアラビアの皇太子を擁護しているトランプ大統領を一方的に非難するわけにもいかない。
中東で欧米が犯してきた凶行に、日本も間接的に関わって来た。それでも、原子力の割合を高めなければ、相当量の石油を調達しなければならず、中東に依存し続けるよりなさそうである。
いっそのこと、トランプ大統領のように開き直ってしまう方が良いかもしれない。
善と悪など、その時々の都合によって、いくらでも入れ替わるが、弱肉強食の図式は、人類が滅びるまで変わらないと思う。
例えば、アフリカの森に、善いチンパンジーとか悪いチンパンジーがいるだろうか? いるのは強いチンパンジーと弱いチンパンジーだけである。
ボノボのように、チンパンジーほど凶暴性を持たずに進化した別種もいるというけれど、あれは大きな河川に遮られて、チンパンジーと競合せずに済んだためらしい。さもなければ、凶暴なチンパンジーの前に淘汰されてしまったに違いない。生き残ろうとすれば、ゴリラのように大きく強靭な肉体を持たなければならなかったはずだ。