メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「風と共に去りぬ」は何故美しい?

 池田信夫氏のブログに、人間の本質には利他的な傾向もあるといった説が紹介されていた。集団として行動する場合、個々が利己的な集団は、利他的な個々が団結した集団との戦いに敗れてしまうため、進化の過程で利他的な性格を発展させてきたそうである。
しかし、国家という集団も、利己的になり過ぎると、国際社会の中で孤立してしまうから、ある程度は利他性も備えていなければならないはずだけれど、冷戦終結後の米国は、あまりにも勝手にやり過ぎているような気もする。
冷戦の時代、米国は、トルコが東側に寝返ることを恐れた所為か、あからさまにトルコの統一を脅かすようなことは試みなかったものの、冷戦が終結するや、大中東プロジェクトなるものを掲げて、クルド勢力の独立等を画策するようになったと言われている。
安価で良質な石油の出る地域には、自分たちの意のままになる国を作り上げて、国際的な石油価格をコントロールし続けるというのが、大中東プロジェクトの本質であるらしい。
それでも、巧妙なプロパガンダと情報操作により、その醜い本質をさらけ出さないように努めてきたが、トランプ大統領の明け透けな言動は、それを台無しにしてしまうかもしれない。果たして、あのどう見ても醜悪なサウジアラビアの皇太子を何処まで擁護するつもりなのだろうか?
映画「風と共に去りぬ」は、もちろんフィクションの世界に過ぎないけれど、あれが美しく見えるのは、スカーレット・オハラの恋する男や家族に対する一途な愛も描いているばかりでなく、利己的なところも決して赤裸々には見せていないからだと思う。
嘘臭い美談にも辟易してしまうが、人間の本質を剥き出しで描いたのでは、気分が悪くなるだけだろう。

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