メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコとアメリカの文民統制

7月17日付けサバー紙のコラムでマフムート・オヴュル氏が明らかにしたところによると、大統領令により参謀本部国防省に従属することになった。
これまでは、1960年の軍事クーデター以来、58年に亘って、参謀本部は大統領府に直属していたそうである。とはいえ、オヴュル氏によれば、これも建前に過ぎず、実態は、ほぼ独立した機構になっていたという。
例えば、予算を取って来るのは国防省でも、その用途は参謀本部が決めて、国防省は蚊帳の外に置かれていたらしい。
オヴュル氏は、この決定により文民統制が強まり、トルコの民主化はさらに進むと論じているものの、その国防省の長には、前参謀総長のフルスィ・アカル氏が任命されている。まずは段階を経て、文民統制を実現して行くということだろうか?
一方、トルコには、アメリカの文民統制にさえ疑念を呈する識者も少なくない。トランプ大統領は、果たしてペンタゴンやCIAをどのくらい掌握しているのかと言うのである。
トランプ大統領は就任前、「もうクーデター等で他国の政府を転覆させたりするのは止めよう」と語っていたそうだけれど、就任後、これについて何も発言していない。ロシアに関する発言も、就任前と後では一変している。つまり、就任後はペンタゴン等の圧力に屈してしまったということらしい。
また、オバマ大統領時代の「オサマ・ビン・ラディン襲撃作戦」も企画制作はペンタゴンであり、大統領はそれを承認せざるを得なかっただけではないかと論じられたりしていた。
トルコでも、北イラク等への越境作戦は、軍部が立案・実行しているのであって、軍事の専門家ではないエルドアン大統領がどのくらい関与しているのか疑問視する向きも少なくない。
しかし、そのトランプ大統領は、いよいよプーチン大統領との会談を実現して、親密な様子を見せつけている。サバー紙のメフメット・バルラス氏は、他国でのクーデター等を企図してきたCIAもトランプ大統領の常軌を逸した言動に困惑して行動を控えているのではないかと分析していたけれど、結構、トランプ大統領にはそれなりの計算があって常軌を外して見せていたのかもしれない。
もしも、トランプ大統領に、「もうクーデター等で他国の政府を転覆させたりするのは止めよう」という意志がまだあるのなら、こちらも是非押し通してもらいたいものである。

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