メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

議席数で過半数に達しなかったAKP

トルコでは、産業化にともなって農村から都市へ移り住んだ保守的な人々が、次第に経済力をつけて新興中流層となり、この人たちがAKP政権を支えていると論じられてきた。

保守的な彼らは、伝統的なイスラムの信仰も都市部へ持ち込んだため、スカーフを被った女性が目立つようになったり、新たに建設されたモスクへたくさんの人たちが集まるようになったりして、「トルコのイスラム化」であるとか、「政教分離の危機」が叫ばれたりした。

しかし、その信仰は素朴な伝統として維持されてきたものが多く、「イスラム主義」といったややこしいイデオロギーとは無縁な人々が大半をしめていたのではないかと言われている。

都市へ移り住んで、経済力を手にした家族は、子弟の教育にも力を入れたが、週末のレジャー等も楽しむようになった。ラマダン祭のような宗教的な行事さえも、なんだかレジャーのようになってしまい、これを厳格なイスラムの識者らが戒めるといった事態も現れた。

彼らの子弟に至っては、大学等へ進学して見聞を広め、父母の維持してきた伝統とは異なる発想を得たりして、非常に多様化した。

今回の選挙で、エルドアン大統領は約52%の票を得て再選を果たしたものの、AKPは約42%の得票に留まり、議席数でも過半数に達していない。これは若年層の多様化の現れであると指摘されている。

いずれにせよ、過半数の344議席は、AKPとMHPの連合によって成り立っている。これでは、エルドアン大統領もMHPの意向を無視するわけには行かないだろう。

また、目標に掲げている「強いトルコ」を実現するためには、当然、軍部との協調も不可欠ではないかと思われるけれど、軍部にも支持者が多いとされるMHPとの連合は、この面でも有効であるような気がする。