メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

大陸と島国の違い?

昨年の11月、送迎の運転手を始めるまで、私はネパールについて何も知らなかったに等しい。『インドの一部のようなもので、やはりインド・アーリア系の人たちが暮らしている』ぐらいに思っていた。
そのため、まずはその風貌の多様さに驚かされた。もちろん、インド・アーリア系的な顔立ちが多いものの、日本人と全く変わらない東洋的な容貌のネパール人も決して少なくない。
ネパール人就学生らに尋ねたところ、風貌ばかりでなく、それぞれの文化にも相当な隔たりがあるという。ネパールは、さほど広くない国土に様々な民族が暮らしている多民族国家であるようだ。
しかし、ざっと見た限り、皆仲良くやっていて、民族間の対立など、まずなさそうである。また、お互いに民族・文化が近い者ばかりが集まるという現象も見受けられない。
やたらに結束が固くなっているグループもあるが、それは同じ日本語学校の面々として集まっているだけで、中には濃いインド・アーリア系の顔立ちや、殆ど日本人顔の青年もいる。
彼らは学校も職場のシフトも同じで、強い仲間意識が芽生えてしまっているのか、シフトの変更で他のネパール人就学生がこのグループに加わると、何だか打ち解けるまで結構時間が掛かっているように見える。
他にも、同じ日本語学校で、とても仲の良い女子の3人組がいる。彼女たち、2人はインド・アーリア系と東洋系のネパール人だが、もう一人はスリランカの女性である。
そのため、お互いに日本語で話していたりするが、送迎のバスの中でもいつも固まっていて、彼女らが他のネパール人女性と同席したり、親しく話し合っているのは全く見た覚えがない。
他のネパール人就学生に訊くと、「いやあ、学校でも、言葉が通じるのでネパール人ばかり集まっていますよ」と答えて、彼女たちが特殊な例であるかのように話していたけれど、初めて仕事に来た同じ日本語学校ベトナム人青年の面倒を親しげにみていたネパール人青年もいる。
彼らが、最も長い時間を共に過ごしているのは、日本語学校の教室に違いないから、当然と言えば当然なのかもしれない。日本のように、「日本人・外国人」と区別する意識もそれほどないような気がする。
島国と大陸の国の違いだろうか? ネパール語ではどうなっているのか解らないが、例えばトルコ語の場合、日本語の「外国人」に相当する言葉は見当たらない。
「ヤバンジュ」という言い方はあるものの、これは「他所から来た人」といった意味なので、アンカラからイスタンブールに来たトルコ人は「ヤバンジュ」になってしまうが、私はイエニドアンの街で「ヤバンジュ」と言われたりしなかった。
しかし、ここで良く考えてみると、トルコ語の「ガイリ・ムスリム(非イスラム教徒)」という言葉には、ちょっと「外国人」に近い響きがあるかもしれない・・・。どうなんだろう?