メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

鹿児島の元気なベトナム人実習生

正月、鹿児島では「城山の展望台」にも登って来た。

人気のない遊歩道を登りながら、たまに降りて来た人とすれ違ったりすると、なんとなく「こんにちは」と挨拶したくなってしまう。日本でも、本格的な登山道なら、多分、今でも挨拶を交わし合っているだろうし、トルコでは、それこそ街中でも人気の少ない所であれば、見知らぬ人とも普通に挨拶を交わしていた。

しかし、登山客というより観光客が往来する遊歩道で「こんにちは」なんて挨拶したら、怪訝な表情を向けられたりする。それで、すれ違う相手の様子を窺いながら、場合によっては、軽く会釈するぐらいにしておいた。

ところが、展望台から降りて来る時にすれ違った2人の若者は、向こうから元気に挨拶して来たのである。私も慌てて「こんにちは」と挨拶を返したけれど、若者たちの挨拶は『こんにちは!』じゃなくて『コンニチワ!』という感じだったから、呼び止めて「何処の人?」と訊いてみた。

ベトナム人であると言う。「日本語学校?」と訊いたら、「いや、日本語学校には行ってないです」と恥ずかしそうに笑うので、「それじゃあ、実習生なの?」と重ねて訊いたら、元気に「ハイ、実習生です」と答えてくれた。

技能実習生に関しては、メディアで暗いニュースばかり読んでいるため、なんだか心配になって、「大丈夫なの? 大変じゃない?」なんて余計なことまで訊いてしまったものの、彼らは至って快活に「頑張りま~す!」と声を張り上げ、手を振りながら遊歩道を登って行った。

まあ、私の周囲にいる普通に優しくて常識的な人たちのことを考えたら、実習生らをこき使う悪辣な「日本人」はそれほど多いわけじゃないのかもしれない。

福岡で、ネパールやベトナムの就学生たちと一緒に働いた工場は、なんとも前近代的なシステムで危険を伴う作業もあり、経営者の常識が疑われたけれど、現場の人たちは、皆、親切で就学生らと仲良くなっていた。

また、某急便の配送センターで、いつも定員を守れない派遣屋の運転手だった私は、夜勤のセンター責任者から始終叱責されていたけれど、就学生たちはその責任者と友人のように仲良くやっていた。

送迎車の中で、「昨日は人数が足りなくて、今日は多過ぎ。これじゃあ、また責任者のNさんに怒られてしまうよ」とぼやいていると、ネパール人の就学生に「大丈夫。Nさんは僕の友達だから良く言ってあげるよ」なんて慰められたりした。

実際、配送センターに着いて、いつものように罵倒されていると、彼は「Nさん! あまり運転手さんに怒らないで下さい。運転手さんは僕たちを連れて来るだけですから」などと言いながら弁護してくれたのである。

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